なかむら ひろし

ディープインパクトの時代だからこそ

 ディープインパクト。

 競馬のことをほとんど知らないという方も恐らく名前ぐらいは聞いたことがあるだろうと思います。現役時代は牡馬クラシック三冠をはじめ天皇賞、有馬記念といった主要G1レースを勝ち、国内では敵なし状態。世界最高峰と言われるフランスの凱旋門賞にも出走しました。現役を引退し、種牡馬になっても優秀で、ジェンティルドンナやサトノダイヤモンドなどG1馬を多数輩出しています。また、「とりあえずディープ産駒を買ってれば馬券は当たる」なんて言われるほど、他を圧倒する勝率の高さも特長です。
 現在の日本競馬はディープインパクトの時代と言っても過言ではありません。しかし、「とりあえずディープ産駒を買っとけ」なんていう思考停止では面白くもありませんし、皆が買うことで過剰人気となり、儲かりもしません。ディープインパクトの時代だからこそ、ディープインパクト産駒が得意なレース、苦手なレースを見極めることが重要なのです。

スローペースの決め手勝負に強い

 ディープインパクト産駒の武器といえば、鋭い末脚です。道中は脚を溜めて、最後の直線で他馬を突き放す競馬を得意としているため、スローペースの決め手勝負なら圧倒的な強さを誇ります。これは競馬をやっている方なら常識というレベルなので、ビギナーの方は覚えておきましょう。
 逆にペースが流れるとその鋭い末脚が発揮できないため、凡走するケースが多いです。テンが早くなりやすいスプリントG1が苦手なのはこのためでしょう。他にもダート的な単調なラップを刻むことが多い1400mも得意とは言えません。

マイルから2000mがベスト

 じゃあ距離が長い方が良いのかというと、そうでもありません。スピードやキレ味は一級品なのですが、スタミナ面には不安があります。昨年、サトノダイヤモンドが菊花賞、有馬記念を勝ちましたが、全体的にディープ産駒は長距離だと勝率が落ちるので、本質的に長距離が向いているとは言えません。
 長距離で結果を残しているディープ産駒は、単純に競走馬としての能力が高いという身も蓋もない理由の他に気性の良さが関係してきます。折り合いを欠いてスタミナを浪費することは、スタミナが求められる長距離戦では致命傷になりかねません。ディープ産駒にはそういうマイナスが少ないのが良いのでしょう。
 また、日本ダービーや菊花賞は距離経験のない馬がほとんどなので、スタミナを気にしてスローペースになりやすいのもディープ産駒にとってはプラスに働いています。基本的に長距離戦は3歳限定戦などスローになりやすいレース以外は割り引きで問題ないでしょう。

追込馬よりも先行馬
 
 競馬というのは基本的に道中、前を走る逃げ·先行馬が有利です。後ろを走る差し·追込馬は進路を上手く確保できないなどの不利を受ける確率が上がります。ディープインパクトは気性の良い産駒が多いので、道中の位置取りに苦労しません。先行して、速い上がりを使うという王道ともいえる騎乗をやり易いというのもその勝率の高さの大きなファクターでしょう。
 確かにハープスターが桜花賞を勝った時のように後ろから鋭い末脚を使ってごぼう抜きというレースは印象的ですが、ジェンティルドンナのように先行して速い上がりを使える方が安定感があります。

フレッシュなほど高いパフォーマンスを発揮する

 ディープ産駒は強いが故に馬体への負担も大きく、反動による凡走も少なくありません。強いレースをした後の突然の凡走が多いのも特徴と言えるでしょう。使えば使うほど目減りしていくのでレース間隔や高齢馬には注意しましょう。逆に休み明けの若いディープ産駒は狙い目です。
 他にも昇級戦や初重賞戦などでも力を発揮しやすいという特徴があります。とにかくフレッシュなディープ産駒は普段よりも高いパフォーマンスを発揮する可能性が高いということを頭に入れておきましょう。

不良馬場やダートは苦手

 道悪は稍重やあまりボコボコじゃない重になったばかりぐらいなら気にするほどではありませんが、不良となるとパフォーマンスを落とします。早い上がりに強いので道悪で上がりがかかると、良くないのは明白です。
 ダートは使う側も苦手だと認識しているようで、出走数が芝に比べて明らかに少ないです。実際、ダートの成績は芝よりもずっと悪いです。やっぱりディープ産駒は芝でこそでしょう。

 日本競馬界を席巻するディープ産駒を知ることで、回収率は結構変わってくると思うので、簡単に書いておこうと思ったわけですが、なかなかの長文になって辛い。他にも小回りの直線の短いコースより広くて直線の長いコースの方が良いとか、牡馬よりも牝馬の方が爆発力があるとかあったのですが割愛します。
 最後に言い訳になりますが、「先日の菊花賞なんて不良馬場の長距離なのに人気薄のディープ産駒ポポカテペトルが3着に入ったじゃないか!説得力ないんだよ!」と仰りたい方もいるでしょう。しかし、何でも例外ってあるんですよ。血統は父だけでなく、母系の影響も受けますし、全兄弟でも全然違う馬になることだってあるわけですから、万能ではありません。あくまで統計なので、ひとつの事象だけを切り取ってもあまり意味がないのです。馬柱を見て、典型的なディープ産駒とズレているタイプはディープ産駒が苦手な条件で激走する可能性を秘めていると理解してください。

 あぁ長かった···

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