なかむら ひろし

基本善戦、時には一発のハーツクライ

 血統シリーズ第三段。今回はハーツクライを紹介します。以前紹介したディープインパクト、キングカメハメハと比較すると若干地味ではありますが、毎年リーディング上位に入る名血です。
 現役時代、当時最強と呼ばれたディープインパクトに国内で唯一土をつけたのがハーツクライ。その後、国外G1ドバイシーマクラシックを勝つなど、海外でも活躍しました。種牡馬となってからはジャスタウェイ、ワンアンドオンリー、ヌーヴォレコルト、最近ではシュヴァルグランというG1ホースを出しています。

成長力ならディープ以上

 ハーツクライ自身が古馬になってから本格化したように産駒も同じような傾向があります。日本ダービー、神戸新聞杯を勝った後はさっぱりだったワンアンドオンリーのように母系の方が強く出てしまうパターンもありますが、基本的には成長力がある馬が多いです。ジャスタウェイなんかがその良い例ではないだしょうか。また、カレンミロティックやフェイムゲームのよう高齢になってもG1で激走する馬もいます。
 2,3歳時から活躍する馬も多いのですが、更なる成長が見込める血統なので、伸び悩んでいても見限るのはまだ早いかもという、なかなか悩まされる血統です。ディープインパクトやキングカメハメハはほど過剰に人気しないのが救いですが、ハーツクライの取捨は結構重要だったりします。

トニービンの血を強く受け継いでいる

 90年代にサンデーサイレンス、ノーザンテーストと共に流行したトニービンはハーツクライの母父です。(父はサンデーサイレンス)トニービンといえば、『東京の鬼』と呼ばれるほど、東京コースが得意でした。ここでは詳しくは書きませんが、グレイソヴリン系というスピードの持続力に優れた血統の中では例外的に瞬発力がある種牡馬で、豊富なスタミナも特長です。
 ハーツクライは、そのトニービンの血を強く受け継いでおり、産駒のG1勝ちはすべて東京コースだったりします。東京で行われるG1レースでは人気がなくても無視できない存在です。トニービン直仔の種牡馬が少なくなった今、ハーツクライ=トニービンと言っても過言ではないかもしれません。

短距離よりも中長距離

 トニービンの血を強く受け継いでいるので、スタミナも豊富です。狙うなら短距離よりも2000mを超える中長距離でしょう。ジャスタウェイが安田記念を勝ちましたが、この時は不良馬場で自力が要求されるレースでしたし、元々安田記念はマイルでありながらスタミナが要求されるので、本質的にはマイルよりも中長距離です。
 ダイヤモンドステークスを連覇したフェイムゲームがいるように3000mを超えるような長距離も問題ありません。極端に長い距離だとパフォーマンスを落とすディープインパクトやキングカメハメハと大きく異なるところです。

一発もあるG1善戦マン

 ハーツクライも瞬発力がある産駒の方が活躍します。これは日本競馬では当然の話です。ただ、このハーツクライの瞬発力はディープインパクトのものとは少し毛色が異なります。
 ディープインパクトは一気に出し切るイメージなのに対して、ハーツクライは二段階に分けて出し切るイメージです。これが原因してか、最後まで伸び切っても捕まえ切れない、または差し切られてしまい、G1で善戦しながらも勝ち切れないことが多いのです。
 しかし、ただの善戦マンでは終わらないのもまたハーツクライ。自身がディープインパクトを破ったように、ヌーヴォレコルトがハープスターを、シュヴァルグランがキタサンブラックを破るという大物食いも時にはやってのけます。

平場までならダートもこなす

 ハーツクライ産駒のほとんどは芝に行くので、ダート適性はイマイチだというイメージがありましたが、条件戦レベルなら十分通用します。さすがにオープン、重賞レベルだと苦しいのですが、平場なら狙っても良いでしょう。ただ、最近その傾向が広く知られるようになったためか、かつてほどおいしいオッズにはならなくなりました。

 ハーツクライという種牡馬はなかなか勝ち切れないイメージが強いのですが、複勝率的には優秀なので、参考にしてみてください。一発を狙うなら高齢馬ですが、4,5歳を狙ってチマチマ稼ぐ方が安定すると思います。

この記事をシェアする