田渕竜也

シネマフィリアvol.10 ポンコツクソ映画特集 『KEEP ON ROCKIN’』


期待できない作品

 もとから期待できない映画とかってあるじゃないですか?先ず、ジャケットは登場人物のバストアップ写真を集めた感じのジャケット。それから監督の実績が『ナースのお仕事 the movie』という元からポンコツだったり、出演者が梨花さんとかTo Be Continuedの岡田浩樹さんだったり、絶妙に微妙な出演者だったり、なぜかゲオとかツタヤでそんな変な映画が自ら進んで借りてしまうことってありませんか?それでこれらの全てが揃っている目に見える地雷がこの『Keep on rockin’』であります。
 あらすじは至ってシンプル。一発売れた後、その後余り売れてもないのに態度だけはロッカーな岡田浩暉が演じる英二はバンド活動に行き詰まりを感じていた。そんな中、更に追い打ちをかけるようにレコード会社からは契約を打ち切られてしまう。英二は故郷へ久しぶりに帰り、病床の父親や同級生たちと再開する。父は故郷で工場を営んでおり、英二とは昔から父と衝突していた過去があった。
 いろいろとあって英二はまた東京へ戻ろうとしたところ、父の容態が急変し、そのまま死んでしまう。父の葬儀が終わると、工場の従業員には不安が残っており、英二の母親は自分の力では工場の経営は不可能と思い、工場閉鎖を決意する。その中で英二からは新しい音楽が生まれた。そして英二は工場を継ぐことを決意するのである。

ていうかどこがロックなんだよ

 いやはじめから期待はしてなかったよ。まぁ、あらすじも何も見ずに見てしまったから仕方ない。それにしてもだ。それにしてもこの映画の中でかかる楽曲に全くロックの要素がないのだ。普通のBGMばかり流れるし、しかもエンディングで新しい自分の音楽が出来たと言う英二が歌う曲はアコギ片手にジャカジャカと弾くフォークソングだし。せめてもう少し劇中の楽曲はもっとロック要素がもっとあればよかったのに。まったく映画の冒頭からロックをキープ出来ていない。
 それから2002年の公開の映画なんだけどもう十数年前の映画にしてもだ。ロックミュージシャンのイメージ像があまりにも古すぎる。もう80年代ぐらいのロックミュージシャン像。いくら2003年の時代でも革パンに革ジャン、タンクトップみたいなネタ的ロックミュージシャンなんていなかったよ。それに自宅で革パン、上半身裸でトゲトゲ首輪なんてその当時のミュージシャンはだれもいなかったよ。もっとラフな格好のバンドマンが多かったよ。もはや英二のロックミュージシャン像が終始コスプレ状態なんだよな。
 それからなんだか作品全体にロック音楽についての知識がなんか乏しいと感じた。バンドの楽曲の作り方とかが、なんかカセットテープとか使ってるし。せめて2002年の時代なんだからプロのロックミュージシャンならMTRとかDAWの知識ぐらいあるだろ。あまりバンドのセッションシーンとかないし。こういうバンドものを見るなら『はじまりのうた』っていう映画をおすすめをする。こっちは監督が元バンドマンなのですごくバンド音楽というものが分かりやすい。兎に角、本当にロックの要素がない。ていうかロックの知識が少なすぎる。

出演者が一々渋すぎる問題

 主役の英二役を演じたのはTo Be Continuedという90年代に一発あてたバンドのフロントマンであった岡田浩暉である。彼は少し前に『牡丹と薔薇2』 で腹上死してしまう人で有名である。それに梨花さんに観月ありさ。
 もうキャストを見るだけでも渋さを感じてしまう。ていうか現役ミュージシャンの一人や二人ぐらいキャスティングしろよ。全然ロックじゃなないじゃないか。

ドラマとしては王道

 いやぁ、もうストーリーが王道すぎて何を言えばいいのか分からないぐらい普通なので、平凡でつまらないと思うが、これはこれでよかったのかもしれない。話自体は嫌みがなく、主人公の周りはいい人しかいないし。ただもっと登場人物にバックグラウンドを持たせれば演出にメリハリが利かすことはできたかもしれない。
 英二のバンドメンバーもただのエキストラ状態だし、梨花さんとの出会いもよく分からないし、そもそもどういう音楽をやるためにギター一本で上京してきたのかもよく分からないし。
 映画って大体、約90分〜2時間で作品を語らないといけないじゃないですか?ただこの映画で描かれているのは英二と病気の父との話しかないんだよな。これなら別にロックミュージシャンっていう主人公の設定って特に意味もないし、別にこれが政治家でもサラリーマンでも保育士でもなんでも良い訳である。これではロックミュージシャンという設定が宙に浮いてしまうのである。そもそも監督が元々がドラマ畑の人なので映画というフォーマットに適してないんじゃないかと思う。

良かった点ってあったの?

 作品自体は特に悪い作品ではないんだけど、どうも話全体の内容が薄い。別に笑いどころがあるわけでもなし、バンドのライブシーンで興奮するようなシーンも始めのシーンではあるけど一瞬だけだし、泣ける話でもないし。見終わって出てくる感想は「ふーん」っていう程度。
 なんていうか、もし見るのであれば眠るときに何かテレビに映像流したいなっていうときの映像代わりにするといいかもしれません。本当にロックの要素がカルピスの原液の1/1000ぐらいしかないので。っていうかこれなら見た内に入らないか。

この記事をシェアする