/ 現代社会の闇

アイドルのインフレーションは社会システムが生んだのでは?

文:なかむら ひろし

 アイドル戦国時代と言われる昨今だが、そのほとんどは名も知れぬ有象無象。特別ルックスが良いわけでもなく、歌唱力やダンスの技術が飛びぬけているわけでもない所謂「普通の女の子」がアイドルを名乗っている。これは群雄割拠の戦国時代というよりもアイドルのインフレーション化と呼んだ方が正しいのではないだろうか。
 個人的にアイドルに限らず芸能界を目指す人間っていうのは異常な人間だと思っている。有名人願望を持つことは異常なことではないが、生き残る厳しさを考えると躊躇するのが普通の感覚だろう。たとえそこそこ売れたとしても、プライバシーは制限され、ネットではアンチが湧くかもしれない、最悪の場合、一生生き恥を晒すことになるかもしれない。それなのに芸能界を目指すっていうのは、なかなかの覚悟がいることだろう。しかし、有象無象のアイドルを見ていると、そんな覚悟も感じられない。街で有名な美少女とかならまだしもそこそこのブスでさえもバイト感覚でアイドルになろうとする。正直、「こいつらバカじゃねえの?」と思っていた。しかし、最近その考えが少し変化してきた。
 現在の日本は、女性の社会進出に関して大きな不具合がある。社会に出て、経済的に自立している女性なんてほんの一握り。そう考えると、やりたいことがあったり、学力や専門的な技術があったりでもしない限り、そこそこのルックスさえあれば、一般企業に就職しようが、アイドルになろうが一緒なんだよね。どっちを選ぼうが、将来成功する保障なんてないのだったら、好きなことをやって、そこそこの充実感を得られるアイドルを選ぶのは、理にかなっていると言えなくもない。アイドルという箔をつければ、ミーハーな経済力のある男性との出会いの場も増えるだろう。あれっ?AKBにそんな人っていたっけ?

なかむら ひろしのTwitter

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