ぼくらの『ネオ・ヴィジュアル系』世代 ピアスとヴィジュアル系編
ピアスとヴィジュアル系
そもそも“ヴィジュアル系”とは何を指すのだろうか。まず思い浮かぶのはメイクと髪型である。ネオ・ヴィジュアル系以降は“オサレ系”や“コテヴィ系”や“密室系”と呼ばれるヴィジュアル系の世界は多様化したが、どれも共通しているのがやはりメイクと髪型である。このメイクと髪型が両性的、耽美的なヴィジュアル系のシンボルということは“ネオ・ヴィジュアル系”以降も変わっていないのだろう。しかしここで思い出したのがネオ・ヴィジュアル以降のメイクの変化に“ピアス”という存在が定番となったことである。バンド側、ファン側もこぞって皆が耳、下、舌、顔にピアスをじゃらじゃらと開けていた事を思い出す。どこからかと考え ると2000年代中期辺りのバンド、Broqueの登場辺りかと記憶している。”オサレ系”と呼ばれる彼らのジャンルはヴィジュアル系にファッショナブルな要素を取り入れた。ヴィジュアル系を愛好する女性には“原宿系”と呼ばれるファッションを好む人も多く、雑誌“KERA”ではヴィジュアル系バンドのメンバーがモデルとして登場したりしたので、さらにヴィジュアル系ファッションの女性的な部分が注目された。そのためピアスの存在が大きくなった。
さらに2004年以降、ガゼットやナイトメアなど自傷的、退廃的な歌詞や音楽がハードコア化していったバンドたちが登場した。その結果、リストカットやなど自傷行為が登場し過激化するとその濃いハードなバンドのヴィジュアル系ファンたちのピアス行動に拍車を掛けて行き、さらにその自傷的、退廃的な世界観からファンたちはオサレ系を拒み、オサレ系ファンと対立していった。
ネオヴィジュアル系以降、ピアスというものは自傷行為の象徴として成長し、ヴィジュアル系の表現の一部として成り立っていった。
ネオ・ヴィジュアル系は自傷行為的表現をあのピアスと音のハードコア化でもっと示唆していったのだ。