ぼくらの『ネオ・ヴィジュアル系』世代 バンギャのライブシーン”仕切り”編
バンギャのライブシーンと仕切り
2000年代中盤以降、様々なタイプのヴィジュアル系バンドたちがあらわれた。
新宿二丁目のゲイカルチャーやメンタルヘルスな病的なCaligari、コスプレを全開にしたサイコルシェルムやリストカットやエログロを押し出しその開き直りを売りにしたMerry go roundや蜉蝣などもネオヴィジュアル系の精神、後のバンギャと呼ばれるヴィジュアル系ファンたちの精神面において繋がるものがある。
バンギャという存在は他のバンドシーンでも特異な存在だ。バンギャとは一般的にヴィジュアル系バンドの熱狂的な女性ファンのことだが、ここでは男女含めて“バンギャ”と呼ぶ。ネオ・ヴィジュアル系以降このバンギャという存在の意味が大きくなった。
旧来のヴィジュアル系ファンに比べ女性ファン層が厚くなったネオ・ヴィジュアル時代のライブシーンはバンギャたちの“仕切り”というものが現れた。例えば基本、仕切りを担当する人は客側の前列センターにいるのだが、そのバンドファン同士たちに客席右側や左側など振り分ける。つまり仕切りが舞台前列の左右を振り分けるのである。
また、この舞台前列に立とうとするならその仕切りの人に挨拶が必要などがある。この仕切りの文化はライブハウスの対バンと呼ばれる複数のバンドが舞台に立つのに、一々それぞれのバンドファンが交代していくより、誰かがその最前列を統括して交渉して入れてもらった方が効率がいいということから生まれたみたいだが、いってしまえばいえば最前列のダフ屋みたいなものである。
もしこのルールを破るとSNS上に晒したり、ライブ中に嫌がらせをしたりと様々なトラブルもあるみたいだ。どうもママ友の関係にも似ているようで、マイナーなバンド程、こういった傾向になっている。
mixiの登場
そもそも彼ら彼女らはバンギャになりたかったのか。その心理、概念は僕のネオ・ヴィジュアル系時代つまり2006年辺りはなかった。バンギャという概念がタグとなっていったのはmixi登場以降の話だ。そこのmixi内にあるコミュニティがいわば「部活」のような感じで、より先輩バンギャたちとの距離が近くなり、有名バンギャがライブいると「おおぉぉ!」となる感じになった。Mixi登場以前のバンギャという言葉は侮蔑に近いものがあったが、mixiのコミュニティが大きくなっていくことと有名バンギャたちが大きくなっていくことでむしろ「なりたいもの」としてなっていった。さらに有名バンギャの出現でライブシーンに”仕切り”が生まれていった。