Brave Fencer 武蔵伝
1998年、SQUARESOFTから発売されたPS用アクションRPGです。『FF8』の体験版が付いていて、『体験版のおまけ』などと酷評されたゲームで、検索エンジンでもスペースを押すと「クソゲー」と出てくる始末。ただ、当の『FF8』もクソゲーとして名高いのが今となっては笑えてくるわけですが。ちなみに『エアガイツ』の体験版も一緒になっていて、こちらの方はそこそこ好評だった模様。
話を『武蔵伝』に戻すと、シナリオ自体は凶悪な帝国にさらわれたお姫様を助けにいくという、しょうもないというか王道展開過ぎて、やや面白みに欠ける。取説にも載ってる主要キャラと思っていた人がよくわからんままフェードアウトしてしまうところもなんだかなぁという感じですが、シナリオが破綻しているわけではないので、及第点ということにしておきましょう。また、全体的に軽いシナリオなわけですが、ゾンビに襲われた少年を制限時間内に助けることができなければ、その少年がゾンビ化してしまうという後味の悪い展開もあることはあります。まぁそこまでストーリー性を追求しないで、重厚なシナリオに疲れたときの気分転換にはちょうど良いんじゃないでしょうか。
アクションの方は3Dゲームの黎明期ということもあり、ポリゴンが荒すぎたりで距離感が掴みにくい。『クラッシュ・バンディクー』でもそうだったように、慣れるまでは何度も空振りや落下を繰り返しました。特にスチームウッドという蒸気機関の暴走を止めるときは制限時間もあってかなり苦労しました。また、アクションが上手い人は関係ないかもしれませんが、十字キーとアナログスティックの使い分けが必要だったりします。十字キーだと加速に時間がかかりすぎる反面、操作は安定しますが、アナログスティックだと加速は速いのですが、ツルツル滑って操作が安定しません。最適な方を選択することで少しは快適に進めるようになるかも。それでも、見た目に反してアクションが結構難しいので、アクションが苦手な方はご注意を。
個人的に一番難しかったのはラスボスの第二形態。まず、塔の周りの足場を二段ジャンプで登っていくところがあるのですが、そのラスボスが塔に突っ込んできて足場を壊す際にラグが発生してジャンプのタイミングが狂うんですよ。落下したらまた最初から・・・なかなかの苦行でした。あと、戦闘の方もなかなかきつい。攻撃するタイミングがなかなかシビアで、少しでもずれるとすぐに掴まれて投げられます。回復アイテムを温存しておけばなんてことはないのですが、イライラすること間違いなし。
このゲームの目玉といえるものにゲット・インシステムというものがあります。敵の特殊能力を吸収して、使えるようになるというものです。ただ、敵の種類がそれほど豊富でないことやその能力を使わないと先に進めないという場面以外ではほとんど使える能力がないというシステムを完全に活かしきれていないところが残念ではあります。その点、『星のカービィ』には感心させられますね。
また、『五輪の書』という5つのアイテムがあって、それぞれを装備することで対応した特殊能力を使用することができます。例えば「地の書」を装備すると地震を起こすことができるという感じで。これもゲット・インシステムと同様、先に進むために必要というだけで、普通の戦闘ではほとんど役に立ちません。こちらももっと使い道が用意されていれば面白かったのになぁなんて思っちゃいます。
最後に書いておきたいのが出演する声優陣が結構豪華だったりします。声優にあまり関心がない私でも聞いたことのある声ばかりです。主人公の武蔵は『ポケットモンスター』のサトシ役をやってらっしゃる方です。ムサシなのにサトシ。いつ「ゲットだぜぇ!」と言うのかワクワクしていましたが、言うことはありませんでした。ちなみにピカチュウの方も出ています。あと『ポケットモンスター』だけでなく『エヴァンゲリオン』からも多く出演しているのが時代を感じます。98年っていったら劇場版が公開されて、社会現象にもなっていたあたりだったはず。
あまり褒めるところがないゲームですが、「体験版のおまけ」とまで酷評されるようなゲームでは決してありません。少なくとも『FF8』よりは面白い。フィギュアを集めるというやり込み要素もありますし、アクションや謎解き(というほどでもないが)もそれなりに歯ごたえがあります。しかも1000円以下どころか100円以下で買えるというコスト面での利点も大きいです。結構売れたゲームなのでプレイ済みの方も多いと思いますが、未プレイの方は暇つぶしくらいにはなると思うので是非。