群れとなる現代オタクたち vol.2 世代別のオタクと二次創作
五世代のオタク
現在の「オタク系文化」には今日に至るまで5つの世代に分かれている。その5つというのは、六〇年前後生まれを中心とした『宇宙戦艦ヤマト』を見ていた第一世代、七〇年代前後生まれを中心とした『機動戦士ガンダム』を一〇代で見ていた第二世代、八〇年代前後生まれを中心とし,『エヴァンゲリオン』ブームのときに中高生だった第三世代、九〇年代前後生まれの『涼宮ハルヒ』を中高生のときに見ていた第四世代、そして00年代生まれを中心とした『けものフレンズ』の世代とでも分けられるもので、この四つのグループの趣味指向はそれぞれ微妙に異なる。
たとえば第一世代、第二世代でSFやB級映画に向けられていた関心は、第三世代以降ではおおむねミステリやPCゲーム、第四世代、第五世代ではライトノベルやネットゲームへの関心に置き換えられている。また第三、第四世代はインターネットの普及を迎えており、その結果、彼らの同人活動の中心がネット世界に、イラストの中心はCGに変わり、第四、第五世代以降はTwitter、Pixivやニコニコ動画やyou tubeなどのソーシャルな場へ移行した。先行世代とは流通や表現形式も大きく変わっている。特に第五世代の特徴としてはリアルタイムに盛り上がる「実況」という手段でアニメの台詞を用いて集団で盛り上がるようになった。例えば『けものフレンズ』の「すごーい」や「君も○○のフレンズなんだね」などの台詞をTwitterのツイートで盛り上がる。言ってしまえば第五世代のアニメの楽しみ方は短いフレーズでTwitterなどのSNSで煽れるフレーズのアニメが好まれるようになった。
二次創作文化とオタク
オタク系文化において「二次創作」という存在がある。二次創作とは原作を読み替えて制作され、売買される同人誌や同人ゲーム、同人フィギュアなどの総称のことである。幕張メッセで年二回夏と冬で開催されるコミックマーケットでの同人誌の即売会が有名である。基本的に、アマチュアベースであるとはいえ、この三〇年、オタク系文化の中核を占め、オタク系文化の動向は、商業ベースで発表される作品や企画だけではなく、それらアマチュアベースの二次創作まで視野に入れないと捉えられない。特に第四世代以降はその活動がPixvやニコニコ画などのネット世界で匿名的に活動することが特徴的である。
これら二次創作により、作品や商品のオリジナルとコピーの区別が弱くなり、原作もパロディもともに等価値で消費するオタクたちの価値判断は、「シミュラークル」という中間形態のレベルで働いているように思われる。