変心が許されない世の中
「言ってたこととやってることが違う!あいつは信用できない!」なんて批判されている人を一度は見たことがあると思うんだよね。もしかしたら、こんなことを言われたことがある人だって少なくないかもしれない。特に政治家なんかがこういう批判をされることが多いと思うんだけど、ブレずに貫徹することが必ずしも素晴らしいことなのかっていうと、実際にはそうでもない。確かに選挙の時は耳障りの良いことばかり言って、当選した後は政策の実現に着手しないばかりか、全く正反対なことを言い出したら、信用は間違いなくなくなるだろう。ここら辺は政治思想の問題なので、様々な意見が出てくるのは当然なのだが、例えば、ドナルド·トランプ米国大統領が選挙戦の時に公言していたことを全て実現させたとしたらどうだろうか?一部の支持者は歓喜するかもしれないが、あなたは「トランプ最高や!」となるだろうか?
話をもう少し小さくしてみよう。昔から親御さんだったり、教師だったりに「約束は守りなさい」と教育されてきたと思うんだけど、現実には状況によるという但し書きが付く。もし、あなたが子供に学校から寄り道せずに真っ直ぐ帰ってくるように言って、子供は必ずそうすると約束したとする。その子供は帰り道で転んで脚を骨折した友達に助けを求めらたが、真っ直ぐ帰るという約束を守るため、友達を見捨てて帰ってきたとしよう。確かに子供はあなたとの約束は果たしたのだが、あなたはその子供を褒められるだろうか?
約束を守ることは必要ではあるのだが、それは状況によるし、約束を守ったからと言って、その人が人間的に優れているかどうかというのは別問題。だけど、友達を病院まで連れていき、その結果、帰りが遅くなった子供を咎める親みたいな人も少なからずいるんだよね。「約束は必ず守られなくてはいけない」「とにかくブレないことが素晴らしい」「あの人は意志が強いから信用できる」とか、どう考えてもおかしなことを言っているのに、ブレないだけで評価しちゃうような人が。正しいとか間違ってるとかどうでもいいんだよね。他にもその人を批判するために過去の言動を捜査して、「あいつは過去にこんなことを言ってるから信用するな」みたいなことをする人もいて、現在の日本は変心が許されないような世の中に見える。
最初から何が正解かなんてわからないことだらけなのに、試行錯誤すらも許されない。間違いを認めて改めただけで「あいつはブレたから信用できない!」とか言われたら、間違いだとわかっていても後に引けなくなる。これは今に始まったことではないのだが、まだ気が付かないのだろうか?このままでは、また日本が滅んでしまうで。