/ Column

音楽業界高齢化が深刻すぎる

文:田渕竜也

神格化されるいつものメンツ

まず書店屋へ行ってみるじゃろ。そこに音楽雑誌などが置いてある雑誌コーナーがあるじゃろ。その中から一つ音楽雑誌を選んでみるじゃろ。そしたらU2、ノエル・ギャラガー、リアム・ギャラガーもう面倒くさいからオアシス。それにBump of chickenにエレファントカシマシ。「お前らどんだけ同じことを総力特集してんだ」と言わんかばかりのおなじみのメンツがそこには揃っておるじゃろ。そんで今度はサマーソニックのメンツを見てみるじゃろ。ヘッドライナーにはベック、ノエル・ギャラガーってもうこの辺りは豪華メンツというより、紅白歌合戦でいったら演歌勢みたいなもん。フジロックもエイフェックス・ツインにビョーク、ゴリラズ。なんか全然旬じゃないような気がする。まぁ、ゴリラズは新譜出していたからマシだけど。どちらのフェスにしても2010年代で組むメンツじゃない。それだけは確かだ。
こうして見てみると、どうも近年の音楽業界はイベント、広報、記事の企画をしているが高齢化の波み飲まれているような気がする。だって今のビルボードチャートとか見てみると、ブルーノ・マーズにエド・シーラン、イマジン・ドラゴンだったりもうギターロックサウンドはなんか余りみられない。基本的にヒップホップだったりダンスホール的なビート強めの楽曲が多数だ。だけどロッキングオンなどの音楽雑誌がそれらをあまり取り上げようともしない。むしろ未だにレッド・ツェッペリンを始めとした70年代ロックサウンドやニルヴァーナ、ダイナソー・Jrなどの90年代オルタナロックサウンドを崇拝すらしているような気がする。一体、いつまでジミヘンとか言ってウッドストックを神格化しているつもりなのだろう?結局、おっさん同士が企画会議で選んだメンツなのだからこういった偏り方をしてフレッシュさがなくなるのは当然と言えば当然。

演歌、歌謡曲化するJ-POP

そんでその高齢化の波って邦楽チャートにも及んでいる。皆さんは今から十五年前の2003年にヒットした曲で何を思い浮かべますか?森山直太朗の「さくら(独唱)」、宇多田ヒカルの「COLORS」、EXILEの「Together」、福山雅治の「虹」、I wishの「明日への扉」。現在のチャートの曲と比べてみてどうだろう?そんなに古くささとかないと思いませんか?今、発売してもヒットしそうじゃないですか?では2003年からさらに15年遡ってみるとテレサ・テンの「別れの予感」、瀬川瑛子の「命くれない」、田原俊彦の「抱きしめてTONIGHT」、美空ひばりの「みだれ髪」とめっちゃ古くさいとかんじませんか?何が言いたいかというと現在の2018年と十五年前の2003年と比べると邦楽サウンドってほとんど進化していないと感じるのですよ。だって2003年の頃、中坊だった筆者はテレサ・テンに美空ひばりなんて名前が出た時点でもう過去の人物だったし、彼らの音楽は「演歌」として音楽を捉えていて、そんな音楽はじいさん、ばあさんが聞く「ダサイもの」という認識だった。それで未だにEXILEや宇多田ヒカル、福山雅治が第一線で活躍している現状、15年前のサウンドを未だに使い続けるJ-POPシーンってあまりにもフレッシュさがないと思いませんか?
結局、こういった進化のないJ-POPだからこそ若者の音楽離れなんて言われる原因になっているのではないかと思う。つまり、J-POPが演歌、歌謡曲化しているということである。その結果、コンテンツを一番消費する流行ものを追いかけるパーティピーポーと呼ばれる層が古くさいJ-POPから海外の新しいクラブミュージックであるEDMの方へ行ってしまったから衰退しているのではないかと思う。でないと2017年にエド・シーランの楽曲が日本で大ヒットしたことが説明がつかない。

アングラシーンはどうか?

こういった演歌、歌謡曲化はJ-POPシーンだけではなくバンドシーンでも同じである。新しいバンドがプッシュされ始めたと思えば下北系のギターをかき鳴らすロックサウンド。「いつまでそんな音楽をやったんだ」ってレベル。チャットモンチーみたいなガールズバンドにメロコア。こんな十年以上前にトレンドだったバンドスタイルを未だにプッシュしているのは異常事態である。
こうやってみて行くとやっぱりヒットチャートにランクインするような楽曲は古くさい。しかしアングラシーンでは頑張って新しいサウンドを取り入れているところもある。それが以外にもヴィジュアル系業界とアイドル業界だったりする。ヴィジュアル系バンドではNOCTURNAL BLOODLUSTが海外のデスコアと呼ばれるエクストリーム音楽をいち早く取り入れたり、アイドル業界ではCY8ERというグループがいち早くフューチャーポップという新しいクラブサウンドを取り入れたりしている。現在のメインストリーム音楽に飽きた方は一度、ヴィジュアル系、アイドル音楽方面へ一時的に行ってみるのもいいかもしれない。しかしアングラの過剰摂取はよろしくない。

田渕竜也のTwitter

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