オタサーの姫化する紅一点バンド

文:田渕竜也

こんにちは、皆さんはサブカルクソ野郎に中指突き立ててますか?

現代の日本人うち5人に1人がオタクと言われているそうなんですけど、最近話題になっている『ぽぷてぴぴっく』を見ているぐらいではもはやオタクとは言わないらしい。確かにもうアニメ、漫画の世界に於いてはもう「オタク」なんて言う言葉は使えないぐらいアニメを見る、コスプレをする、同人誌を買う、フィギュアを買う、アイドルの曲を聞く、などそんな旧来のオタク的行為は今ではただの一般的な「遊び」の領域となっている。そしてさらにその「遊び」は人と人を繋げるコミュニケーションツールの一つとして成り立ち「オタク」というものはカジュアルなものになってきた。旧劇場版ヱヴァンゲリヲンの時代とは大違いだな。Twitterなんかのプロフィールでオタクアピールしている人を見たら「あぁ、なんだただのネットでどこかの国の動画サイトアニメを見て、Wikipediaで情報を調べたサブカルくそ野郎か」と中指突き立ててやるといいぞ。そんでカジュアルになったアニメや漫画やコスプレなんかの文化がコミュニケーションツールになった現代だから共通の話題で結束を高め合うバンドマンにとって旧来のオタク文化が両者ともに親和性が深めることができた。これがオタ系ミュージシャンが増えた要因の一つではないだろうか?

それではなぜバンドマンは旧来のオタとの親和性が強くなったのっていつ頃からだろうか?

思い当たるものとして2006年辺りの涼宮ハルヒの劇中歌『God knows』とYouTubeが活気づいてきた頃だろう。そのころからバンドマンがアニメの主題歌を弾いたり歌ったりしているのを自撮りをしてYouTubeにアップして知名度を上げるなんてことも増えてきた。しかもみんな部屋に篭って練習漬けの練習厨なので演奏が上手い。そもそもで言うとピロピロと速弾きギターを弾ける、バチバチとベースでスラップできる奴らなんてみんな「オタク」に決まっている。「楽器オタク」だ。しかもそういう奴らってyoung guitarなんかで練習しまくって青春を捧げているので、そもそも友達も少ないに決まっている。速弾きでモテるなんて思ったら大間違いだ。そんな楽器で練習というセンズリこいていたやつらが女性ボーカル志望の人から「バンド組みませんか?」なんて言われたらどうだろうか?スクールカーストの下層で非モテの時期が長かったやつらが「オタク」に多い上、悶々としてエロをこじらせているのだから、そんな甘い言葉をかけられれば舞い上がるに決まっている。ここで仮に五人組バンドの場合を考えてみよう。4人男に対して、女1人だ。この4人の男たちが一人の「姫」を祭りの神輿のように担ぎ上げていく。これが紅一点バンドの女性メンバーの「オタサーの姫化」が始まりの始まりなのである。

オキシトシンとシャーデンフロイデそしてオタサーの姫の誕生

話は変わるが「シャーデンフロイデ」というドイツ語の言葉がある。平たく言えば他人の不幸やある人の地位や名誉が滑り落ちたところを笑って喜ぶ所謂「メシウマ」っていうやつだ。例えばシンプソンズのファーマーが近所の幸せそうな家族を見て毒を吐く。この感情が「シャーデンフロイデ」である。みなさんも結構こういう感情になったりはしてはいないだろうか?それともこの感情は異常だと思うだろうか?しかしこの負の感情は、「オキシトシン」という”愛と絆のホルモン”と呼ばれるものが密接に関わっている。オキシトシンは愛し合ったり、仲間を大切にしたいという気持ちが湧いてきたり、安心感や活力、幸福感をもたらすなど心理的な影響だけではなく、身体の修復や成長を促したりするなど肉体的にも影響を及ぼす。それからオキシトシンは女性ホルモンであるエストロゲンによって働きが増幅するので、女性的なものとされる包容力とか、協調性、人と仲良くなることを好むなどの性質が強く現れる。まさにオタサーの姫が必要とされるものに強く影響を及ぼす。ちなみにオキシトシンは男性の脳にも存在する。サークルという狭い世界で発生する「オタサーの姫」そして「サークルクラッシャー」という現象はこのオキシトシンとシャーデンフロイデの一連の動きで説明がつく。

姫と平等主義

さっきの五人バンドの場合っていわば4人男、1人女という男だけの島に女性一人みたいな状態なんだよね。そしたらどうなるか?みなその女性に対してあの手この手で待遇をよくするはずだ。そんでよくしすぎて女王のように振る舞うようになったら「オタサーの姫」の出来上がりである。そんでその姫に忠誠を示している人たちにはきっとこう思っているのではないだろうか?「おれがいないとあいつはだめだ」とか「おれがなんとかしてあげないと」とか謎の自己犠牲の精神。これってもうこの男の人たちはオキシトシンがドバドバ状態で幸福感でマックスの神輿をソイヤーって担いでる状態。そんでオタサーの姫はこのメンバーの関係と現状維持、自分の王位のため、彼らをつなぎ止める手段として肉体関係も厭わないし、この関係にツッコミを入れようとするやつは排除しようとする。これがオタサーの姫がメンヘラ系と呼ばれるところではないだろうか?だから紅一点バンドにはメンヘラ売りのバンドが多いのだろう。しかしこの関係ってオキシトシンによって仲間を大切にする気持ちから発生するものではないだろうか?ある意味、オタサーの姫ってアンパンマンみたいなもんだよな。自分の顔という肉体を平等に与え、バイキンマンという異端を排除する。自分の世界を守っている保守的な状態なのである。

「サークルクラッシャー」という泥沼化するまで

しかしこのそれぞれの平等が崩れて来た時、今度は「世界ランク」というものが発生する。みなさんも経験はないだろうか?『月曜からよふかし』なんかを見て、「ここに出てくる変なやつらより自分の方がまだ世間では上の方だな」みたいな感じ。これは自分の意思関係なく勝手にこの世界の登場人物をランク付けしている。ここでオタサーの姫が1人の男性を優遇していくとするとその他3名の男性の世界ランクが下がることになる。それが発生したときが泥沼のサークルクラッシャーの誕生になる。これが一番色濃くでたメジャーどころのバンドでいうとJudy and Maryなんかが一番いい例のような気がする。詳しくは適当に「Judy and mary 解散 理由」グーグルでも調べて見てください。

こんな面倒に巻き込まれないようにできること

この春から新生活が始まる人は多いかと思います。大学入学してサークルにはいってバンドを組んだりする人も結構いるかと思います。しかしその楽しいだろうと思って希望に胸を高鳴らせて入った軽音サークルがとんでもないことになるかもしれない。これ以上、ルサンチマン抱く人たちを増やさないために、今回は「オタサーの姫の発生」と「サークルクラッシャーの誕生」について綴った。
ちなみにとあるバンドに筆者がベーシストとして加入したときの経験では、ギターのやつがボーカルと付き合って別れて、その後、ドラムのやつとボーカルのやつが付き合って、その余波で解散。こんないらぬ修羅場をくぐり抜けるぐらいならまず男女混合バンドはやめておこう。特に10代の場合はね。

それではみなさんに快適なバンドライフと楽しい学生生活を!
また次回。

田渕竜也のTwitter

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