/ Column

世界に広がるデスメタルの輪/インド編

文:田渕竜也

世界で最も盛んな音楽ジャンルってなんだろう?ヒップホップ?パンク?EDM?ロックンロール?全部違う。世界ではデスメタルが盛んであるということをご存知だろうか?デスメタルと聞くと「うるさい」、「声が怖い」なんて言われるアンダーグランドなジャンルである。しかしこのジャンルは様々な国々でアジア、アフリカ、ヨーロッパ、南米、中米、北米、オセアニアとほぼ全ての地域で聞くことができる。「発展途上国まで聞くことができるバンドサウンドなんてデスメタルぐらいじゃねぇの?」っていうぐらい世界中で浸透している。世間一般的なデスメタルのイメージって教会燃やしたり、人殺したり、なんか変な儀式とか暴力的なイメージがあるかもしれない。でもそれはデスメタルじゃなくて北欧の一部過激派の悪魔崇拝系ブラックメタルな。しかも犯罪率でいうとどのジャンルよりも悪そうなやつらはだいたい友達のヒップホップ界隈のギャングスターな連中の方がえげつないぞ。アメリカ銃社会なめんな。そう思うと途上国にも広がるデスメタルというものはまだ平和的な音楽ジャンルかもしれない。それでは今回は世界に広がるデスメタルの輪ということで様々な国々のデスメタル事情を何回かに分けて紹介していきたい。

アジアに広がるデスメタルの輪/インド編



インドと言えば映画である。よく踊るあの映画だ。ボリウッドなんていってインド全体が映画産業が活発となっていて、インド国内に於ける映画の興行はハリウッドも凌ぐほどだ。近年、インターネットの普及により00年代以降、インドのメタル界は本格的に盛り上がりを見せている。インドデスメタル界は今やUSやヨーロッパに負けないほどキャラの濃いいいバンドが実は多い。かつてジョージ・ハリスン、ブライアン・ジョーンズ、ジミー・ペイジーといったサイケデリックな人たちを魅せたインド音楽の豊富な音階とリズムとミニマル性。その独特なリズムと不協和音を用いたデスメタルバンドが特徴的なバンドが多い。その中からいくつかバンドを挙げて見よう。

Demonic Resurrection – Full Show – Live at Wacken Open Air 2014


シンフォニック・デスメタル系のバンド。欧米とかの場合、クラシカルっぽい感じとかオペラっぽい感じがシンフォニック系の定番なんだけど、このバンドの場合はインド音楽の音階を取り入れたり、シタール、タブラなんかを取り入れてめちゃくちゃ独特なシンフォニック感を醸し出している。その上演奏力も結構高い。2000年に結成以降、現在までに5枚アルバムも出したり、海外でライブをしたりWACKEN OPEN AIRに参加したりとかなり精力的に活動しているバンド。

Gaijin-Dead Planet


もう何拍子とかどんな音階とかもはや関係なしでぶっ込めるフレーズはどんどんリフにぶっ込んでいくのがテクニカル系デスメタルの特徴なのだが、このバンドのギターのソロになるとこれまでぶっ込んでいたフレーズから一気に音数を減らして聞かせる。このアレンジセンスがただものではない。あとガイジンっていうバンド名らしい。インドではどういう意味なんだろう?

Third Sovereign – Sakei Ai Hla / Grave Of Humanity


インドのデスメタル界ではかなり重鎮らしい。曲のプローチとリフのフレージングなんかcannibal corpseとかのオールドスクールなデスメタルなんだけど。このリズム感は今までのデスメタルのどれを見ても似ているものはいない。呪術的なボーカルのグロウルボイスとどこかグルーヴィなドラムにバンド自体の演奏力の高さがハンパねぇ。

PLAGUE THROAT- Fallible Transgression


こちらもWACKEN OPEN AIRに参加経験があるバンドである。ObituaryとかCarcassにDeathなんかのブラストビートに不協和音を基調としたリフワーク、トレモロピッキングで弾くメロディ。オールドスクール系デスメタルバンドの要素、全て兼ねそろえているのがこのバンドである。90年代デスメタル好きにはおすすめのバンド。

Metal Bharat Ep. 2


インド映画、バーフバリがこの春に日本でもヒットする中、インドではこんなへんてこなメタル番組があるみたいだ。なんかレクチャーを受けてる人たちのバンTがどこに売ってんねんっていうぐらいのどマイナーバンドのバンTを着ているのがなんかウケる。メタル侍のデッさんよりはしっかりとメタルをやっているのでご安心を。ただ、インドの英語でもない言語なので雰囲気で話は受け止めよう。今後、サブカルクソ野郎の間でも流行ってきそう。

とまぁ今回紹介したバンドはこんなもんだ。インドと言えば映画にダンス、カレー、スパイスなんてイメージが多いがインド産デスメタルはノーマークな人は結構いるのではないだろうか?以外と賑わっているインドデスメタル界。先日、バーフバリを見にいったら絵に描いたようなサブカルクソ野郎が沢山いた。インドカルチャーにふれることでサブカルぶってるやつらもこれを機にインド産デスメタルでもふれて新しい境地に立つのもいいかもしれないぞ。そうしたら一皮剥けたアングラクソ野郎になれるかもしれないぞ。

バーフバリもよろしく

田渕竜也のTwitter

ついったウィジェットエリア