行きはよいよい帰りは怖い『海底探険』
過去2回はアメリカ、ドイツのゲームを紹介しましたが、今回は国産ゲームを紹介します。日本は欧米、特にドイツと比べると、コンピュータゲームが主流でボードゲーム市場は小さなものです。それでも昨今の国産ボードゲームは良く出来ているものも多く、まったく侮れません。まだまだ市場規模が小さいので、大型ゲームは多くありませんが。
今回紹介するのは、オインクゲームズの『海底探険』です。オインクゲームズといえば、タバコの箱を一回り大きくしたぐらいの小箱が印象的です。
ゲームの概要はというと、探検家たちが海底に眠る財宝を持ち帰るのが目的なわけですが、潜水艦の空気タンクは共用という、ハチャメチャな設定です。しかも、協力ゲームというわけではなく、たくさん財宝を持って帰還したプレイヤーが勝利、「己だけが助かれば良いんや!」という、椅子の下で脚を蹴り合うゲームであります。
コンポーネントは、潜水艦ボード1枚·遺跡チップ32枚·ブランクチップ16枚·6面ダイス2個(木製)·探検家コマ6個(木製)·空気マーカー1個(木製)と箱の大きさの割りになかなかボリューミーだったりします。あと、遊び方説明書が6カ国語に対応していて、各言語1枚ずつの計6枚入っています。海外に進出していく上で大事な試みですね。
セットアップするとこんな感じです。潜水艦から近い順に三角形·四角形·五角形·六角形の遺跡チップを並べていきます。この遺跡チップの裏面には得点が書いてあって、潜水艦から遠いほど得点も高くなっています。探検家なら当然六角形のチップを狙うよな?
スタートプレイヤーをジャンケンなど適当な方法で決めてゲームスタート。6面ダイスを2個振って、出目の合計分、双六の要領でコマを進めていきます。この6面ダイスがちょっと特殊で、「1から3の目が2面ずつ」になっています。つまり最低2·最高6マス進めて、4が一番出やすいわけです。
進める際の注意点は、他のプレイヤーのコマが置いてあるマスはカウントしないということです。スタートプレイヤーが2マス進んだ後、次のプレイヤーがダイスで2を出した場合、スタートプレイヤーのコマが置いてある潜水艦から数えて2マス目はカウントしないので、2番目のプレイヤーは潜水艦から数えて3マス目のところまで進むことになります。これ結構重要です。
手番プレイヤーは、ダイスを振ってコマを進めた後、止まった遺跡チップを拾うかスルーするか決めます。拾った遺跡チップは自分の手元に置いておくわけですが、この時点でまだ点数を確認してはいけません。点数を確認できるのは獲得が確定してからです。遺跡チップは潜水艦に持って帰って初めて獲得が確定します。
遺跡チップを拾った場合、自分のコマの下にブランクチップという丸いチップを置きます。このブランクチップに止まると、遺跡チップを拾うアクションはできません。
2週目からはダイスを振る前に「海底に進む」か「潜水艦に戻る」かを宣言してください。もし、この宣言を忘れた場合は、「海底に進む」と宣言したものと見なしてください。尚、一度「潜水艦に戻る」と宣言したプレイヤーは、再度「海底に進む」ことはできません。方向転換は一度しか出来ないのです。ちなみに潜水艦に戻る途中でも遺跡チップの上に乗れば、それを拾うことができます。これも結構重要です。
そして、ダイスを振る前にしなければいけないことがもうひとつあります。手番プレイヤーがまだ獲得が確定していない遺跡チップを持っていた場合、その数だけ潜水艦ボードの空気を減らします。この時、空気が0以下になったら、その手番が終わったと同時にそのラウンドが終了します。
また、まだ獲得が確定していない遺跡チップを持っていた場合、移動にも制限がかかります。遺跡チップ1枚につき進めるマスが1減るのです。例えば、遺跡チップを2枚持っている状態でダイスで4を出しても2マスしか進めないわけです。あんまり欲張って6枚も遺跡チップを拾うと、まったく動けなくなるので、注意しましょう。まあ、そんな人はいませんが。
「遺跡チップを拾い過ぎて、全然進めない」という状況になっても一応の救済処置があります。移動してブランクチップに止まった場合(ブランクチップの上で1マスも動けなかった場合も含みます)、拾った遺跡チップと交換することができます。この時、どの遺跡チップを戻してもオッケーです。本来、四角形のチップが置いてあったところに三角形のチップを置いても良いわけです。これも上手く活用しましょう。
潜水艦の空気がなくなるか、全プレイヤーが潜水艦に帰還したら、1ラウンド終了です。帰還できたプレイヤーは、拾った遺跡チップの獲得が確定します。点数が書かれた面を表にして手元に置いておきましょう。残念ながら潜水艦に帰還できなかったプレイヤーは拾った遺跡チップを没収されてしまいます。
この没収されたチップは3枚1組にして海底の一番底に並べていきます。(端数が出たら2枚1組や1枚にして最後尾に並べます)これらのチップは2ラウンド目以降、1組で1枚として扱われます。実際には3枚持っていても、空気も移動も1しか減りません。
また、ブランクチップはすべて取り除き、空いたところは詰めていきます。つまり、2ラウンド目以降はより大きな得点を望める遺跡チップが拾いやすくなるわけです。逆転要素っちゅうやつです。
このようにして3ラウンドが終了した時点でゲーム終了です。最も得点を稼いだプレイヤーの勝利です。初めてプレイする方でも1ラウンドでもプレイしたらルールは理解できると思います。1ラウンド目で勝負が決まるなんて状況にはほとんどならないので、インストがてらに1ラウンドやって、そのまま続行しても問題ないでしょう。
オススメ度★★★★☆☆
○抜群の遊びやすさ
軽い·小さい·場所も取らない。その上、ルールもシンプルでプレイ時間も30分程度と短いので、非常に遊びやすいです。飲み会に持参して遊んでも盛り上がるのではないでしょうか。
○適度な運要素で駆け引きをより楽しめる
1から3のダイスを2個使用することで、ダイス運に大きな開きが出にくくなっています。何てことのないようなアイデアですが、よく考えられていると思います。
運要素を上手く緩和したことで、どこで引くのかという駆け引きがより重要になりました。一緒にプレイする人によって、立ち回り方が変化するのも面白いです。ギャンブラーが多いとビックリするぐらい死にまくりますし、堅実なプレイを好む方が多いのにギャンブラーが1人いるだけでやっぱり死にまくったり。何故だか死にまくる方が盛り上がるゲームです。
○お洒落で可愛いコンポーネント
実際は『死にゲー』とまでは言いませんが、死にまくった方が盛り上がる『大日本プロレス』のようなゲームなのですが(語弊はありますが)、探検家コマを始め、洒落たコンポーネントのためなのか、意外と女の子ウケが良かったりします。そんなものは求めていない?そんな君とは友達になれるかもしれないね。
まぁ、前回紹介した『5本のキュウリ』より女の子と一緒に遊ぶ場合はオススメ。デザインとかの問題じゃない。タイトルだ。これ以上は聞くなよ。