そろそろHIDEを成仏させてやったらどうや?

文:田渕竜也

もうお腹いっぱい。トリビュートアルバム商法
2018年6月にまたHideのトリビュートアルバムが出るみたいだ。1枚目のトリビュートのときは確かに心が踊ったけど、流石に何枚も出るともう正直お腹いっぱいな感じになってしまう。許せても精々2、3枚ぐらいが限度じゃないだろうか?まぁHideの場合はもう8枚も出ている。2013年は特にHideの15回忌ということもあって出し過ぎっていうものもあるけど。
今年はHideのドキュメンタリー映画、『Hurry Go Round』が公開されている。まぁ20回忌と言うアニバーサリーイヤーだから仕方ないのもある。それにしてもまたX関連の映画だ。去年は『We’re X』が公開されていたのにまたHideの葬式のシーンが流れる映画を公開する。何度同じ映像を見てきたことか。それよりも早くXの新アルバムをだな…。まぁこの希望は「HUNTER×HUNTERで暗黒大陸はよ」って言うぐらい無謀な希望か…。

トリビュートという意味
1999年発売された1枚目のHideトリビュートアルバム『hide TRIBUTE SPIRITS』は本当に名盤だった。特に布袋寅泰の『ロケットダイブ』はもはや布袋寅泰の曲になっているぐらいにハマっていた。まぁ、Hide自身も『ロケットダイブ』を布袋さんを意識して作ったと思うけど、このトリビュートの曲は完全に布袋寅泰の色に染まっていた。それでいて最後の「赤い髪のエイリアン」の歌詞でHideへの追悼の曲にもなっているのでもうこれ以上のHideトリビュートが出てくるはずもない。Hide自身も布袋寅泰を尊敬していたし。

次に清春の『beauty&stupid』もHideトリビュートの中では名曲だ。原曲のbeauty&stupidよりダークでヘヴィなアレンジだけどしっかりと原曲の雰囲気とリフを上手いこと清春色に染めているところがやっぱりトリビュートと言うテーマでは重要なことではないだろうか?それにしてもこの時代の清春さんはかっこいいな。

このアルバムはちゃんと生前のHideと交流のあったLuna seaやOblivion Dust、BUCK-TICKなんかが参加していたのでアルバムの制作する商売の企画性というではないHideへの称賛、敬意というトリビュートの意味もちゃんとある。よくあるだた原曲をそのままコピーしてしまうとかもう何がしたいのか、名画にクソでも塗りたくったようなめちゃくちゃなアレンジをしてしまうような曲、ただいろんなバンドを呼んで作ったトリビュートアルバムではトリビュートという意味にはならないのではないだろうか?「トリビュートアルバム」を調べると意味としては、まずトリビュートという意味が「称賛・賛辞・尊敬・感謝」といった意味で、自分自身に大きく影響を与えたり、尊敬していたり、あこがれの存在だったアーティストに対して敬意を表すアルバムという意味である。
そういった「尊敬」という意味で考えると、2013年に発売されたHideのトリビュートアルバム『hide TRIBUTE VI-Female SPIRITS-』はほとんどトリビュートという意味になっていないと思うんだよな。だって参加歌手が青山テルマに倖田來未、小柳ゆきってもうHideと関係なさすぎて「トリビュートっていう看板を掲げる作品か?もはやリミックスアルバムじゃん」ということだ。まぁ企画は女性ボーカルのトリビュートアルバムという企画としてもだな、あまりにも参加者のバラエティが豊かすぎて企画のテーマみたいなものがもうミスト状態だよ。

『子ギャル』という曲はなぜダメだったか
Hide没後15年を記念して作られた『子ギャル』って言う曲が2013年に発表された。だけど絶対あんな曲、Hideが生きていたら作らないと思う。なんとなく90年代丸出しのくそ古臭いサウンド。なんかそこがダメだったんだろうなと思う。もし仮にHideが今も生きていたとしたら、ボーカロイド技術は取り入れていたとしても多分、その時代ならEDMとかDUBSTEPとかTRAPの要素は絶対吸収しているだろうし、あんな古臭いデジタルロックは作ってないと思うんだよね。いち早くグランジとかオルタナティブなロックサウンドを吸収していたわけだし。
それに『子ギャル』のシングルの体で出しておきながら、新曲一曲とボーナストラックで3000円ってボーナストラックの意味わかってのか?っていう話だ。収録している曲も今までのHideのベスト盤みたいな内容だった。こんな商法ももしHideが生きていたならやっていないだろう。

引きずる悲劇
Hideももう没後20年となった。それでもいまだにXのライブにせよ、X関連の映画にせよ、Hideの亡霊を映し出すように葬式のシーンを使ったり、ライブのステージにHideのギターを置いたりしている演出をしていたりしている。正直こういうものをみると一体いつまで悲劇を引きずってんだというより、Hideの亡霊を背負ってしまっているのだろうと思ってしまう。今年はHideの20回忌ということでいろんな音楽雑誌がHideの関係者のINAとかのインタビューなんかを掲載しているけど何も目新しい話はないし。もう20回忌ということで本当にHideの亡霊を成仏させてやったらどうや?そんな話だ。

田渕竜也のTwitter

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