世界に広がるデスメタルの輪/ミャンマー編
バンドを組んだことのある人って結構いますよね。パンクバンドだったりポップなバンドだったり、Judy and Maryのコピバンという無茶なことをして自爆してしまったり、学祭のライブでRed hot chili peppersの曲をコピーしてその場をヒエッヒエに凍らしたり。そんなバンドにまつわる思い出がある人は本人を含め、皆さんの周りに結構いるのではないだろうか?
バンドに組むときには大体二つのパターンに別れることがある
楽しさ重視のパリピタイプのバンド
だって折角、学校なんかの友人たちとバンドをするなら楽しい方がいい。それならキャッチーで楽しい方がいい。なのでグリーンデイのコピーしたり、チャットモンチーのコピーだったりNIRVANAのコピーなんかをするタイプがこのタイプだろう。しかしレベルを見誤って、楽曲のキャッチーさに騙されてJUDY AND MARYのコピーをして自爆してしまうバンドも多数いる。このタイプは「ウェーイ」なのりが多いので女性問題に特に気をつけないといけない。メンバーが男女混合バンドだったり、やたらとバンド練習に彼女を連れてくるようなバンドはその辺りが要注意だ。最悪の場合、泥沼の愛憎劇になってしまう。バンドどころじゃねぇぜ。
修行タイプのバンド
基本的に速弾き、スラップ厨のテクニカルなバンドをやりたがる人たちである。Dream Theaterのコピーしたり、Mr.BIGのコピーしたりCasiopeaのコピーなどもはや苦行に匹敵するような楽曲をコピーに選曲してしまう。このタイプはオリジナル曲を作るときに苦労する。バンドというものは一つのまとまりになって初めて完成するものだ。修行タイプは何せみんな自己主張が強いので、速弾きにスラップ、変拍子、みんなテクニカルをやりたがるのでもう楽曲がめちゃくちゃになりやすいのである。なのでこのタイプのバンドは空中分解して結局ライブもやらずに終わってしまうパターンが多い。
バンドを組んだときの二つのパターンをご紹介したけど、皆さんの周りにはデスメタルバンドを組んでたっていう人はいるだろうか?やっとここで本題に入るが、それでは今回はミャンマーのデスメタルについてご紹介する。
アジアに広がるデスメタルの輪/ミャンマー編
ミャンマーは現在、いろんな意味で注目されている場所である。かつては軍事政権で言論の自由が認められず、集会も自由に開くことはできなかったり、1990年、軍事政権が総選挙を無効とし、民主化勢力を率いるノーベル平和賞受賞者、アウン=サン=スーチーを自宅軟禁状態にしたりしていた国だった。しかし2011年に民政移管後、徐々に民主化が進み、2015年11月8日に実施した総選挙ではスーチー率いる国民民主連盟が圧倒的な勝利を収め、2016年3月、新政権にスーチーが入閣することになったことで事実上のアウン=サン=スーチー政権が誕生した。さらに民主化が進むと期待されたミャンマー新政権だったけど、言論統制は政府に批判的な記事を報じることができるなるなど、従来の言論統制は大きく緩和されたけど、インターネット上については、発言や投稿を厳しく規制する法律が残っている。それにミャンマー国民として認められていない、ロヒンギャに対する問題も大きな問題として世界的に注目されてる。
そんないろんな問題が多く残るミャンマーだけどもちろんアングラ文化はある。どの国にしても、悪化する情勢に声をあげるのはアングラ側の人たちだ。
SENANGA PRIVUTA- Pate Tar Wut
ミャンマーデスメタル界では北島三郎ぐらいの大御所なバンドらしい。ブルータル命なサウンドは高度なテクニックより粗暴さだである。正直、リフの音色なんかも全くわからないし、音はドラムの叩きつける音がデカい。なのにやっぱりかっこいいし、謎のグルーヴ感がある。それになぜか東南アジアではブルータルデスメタルバンドの数が多い。なぜだろうか?湿気のせいなのか、洪水のせいなのか?おそらく常に命の危機にある環境下にあるからこそブルータルデスメタルができるのだろう。
Last Days Of Beethoven-New Beginning
貴重なミャンマーメタルコアバンドのライブ映像である。ボーカルがめっちゃ細身なのが気になる。重めの重厚なリフワークは割とLamb of Godの影響がありそう。それにリズムチェンジもすごくテクニカルでグッジョブ。あと東南アジアの観客の暴れ具合が熱狂的すぎてびびる。
ちなみにこのバンド、ミャンマーのヤンゴンではかなり人気のバンドで2014年にミャンマーミュージックアワードの最優秀メタルソング賞を受賞している。
All Else I Fail – The Story
本人たちはメロディックメタルコアと言っているけど、ほぼデスコアである。楽曲のクオリティ、ギターの音もいい。だけどこのPVの画質は一体なんだ。荒い荒すぎるぞ。メンバーの顔も判別できない。だけど本当に楽曲はめっちゃいいし、演奏力も高い。
Nightmare-Parasite
ミャンマーって結構メタルコアバンド多い。上記のLast Days Of Beethovenよりも、もっとどストレートなメタルコア的でキャッチーさを兼ね揃えブレイクダウンのパートも揃えたメタルコアの王道的なバンド。所々に「Come on!!」っていう掛け声がKillswitch Engageを少し彷彿とさせる。
Take My Last Breath- REGRET
もうバンド名から漂うKillswitch Engage感。クリーンボイスとデスボイス、さらにブレイクダウンともう火の玉ストレートなメタルコア。PVはみんな黒服で雰囲気が何となくカラオケのPVみたいで面白い。
まとめ
いろいろ紹介していったけど、デスメタルというよりメタルコアなバンドがミャンマーには多い印象がある。ミャンマーと聞いて思い浮かべるのは仏教国でもっと堅い保守的な雰囲気を思い浮かべるけど、ミャンマーのヤンゴンではどストレートに欧米、アメリカのサウンドを取り入れている柔軟性のあるメタルコアバンドが多い。まぁこれはアングラな文化の範囲だからこそかもしれないけど。
あれだけ「アウン=サン=スーチーフリー!!」なんて掛け声でスーチー解放を求める運動が世界中にあった。しかし民主化以降、蓋を開けて見たら言論統制や民族問題など様々な問題が前にできている。現政権の基盤が弱いっていうのも理由にはあるだろう。結局、自由とか民主化って何なんでしょうね。だけどアングラ文化はどの国だって自由なんだよな。
ミャンマーのことを知るならパンクスから見たミャンマーの『My Buddha is Punk』がオススメ
ヤンゴンのパンクバンドThe Rebel Riot Bandのギター兼ボーカリストの人を中心に話は進み、ブッダの教えとパンクを結びつけた独自の考え、バンドメンバーや若者の葛藤なんかが記録されているドキュメンタリー映画。ちなみにこの映画、ミャンマー国内では公開できず、タイのバンコクで公開された。