/ Column

アイドルについて考えよう

文:田渕竜也


日常における見えざる力に頼ろうとすること

みなさん何かお布施をしたりしてますか?自分の罪を許してもらうため、免罪符なんか買ったりしてますか?「そんな馬鹿げたことをする奴なんてマイナー系だろ?」って言う人は結構いるかもしれません。よく日本人は宗教嫌いは多いっていう。だけど日常をよく見てみればそういったことは生活にかなり浸透している。だって正月に神社行って初詣行って賽銭とかおみくじとかするでしょ?あれってお布施ですよね。お守りだってそう。お守りを買って守ってもらうって免罪符と一緒。死んだ後に坊さんに戒名なんて死んだ後に金払って坊さんに名前をつけてもらうなんて滅茶苦茶なお布施じゃないですか?

この国って宗教嫌いって言っても、気づかないだけで、この国ってよく見てみると思っている以上にスピリチュアルなものって日常に浸透しているんですよ。だって賽銭をしたからって何になる?見えざる力に頼ろうとして何になる?みんながやっているからなんとなく自分もなんとなくスッキリした気持ちになるだけの話。しかし別に「お布施、免罪符みたいな行為ってなんだか嫌だよね」とかいう話ではない。だってそれでお布施した本人がスッキリして幸せになっているのならそれでいいではないか。まぁ、お布施って「金を出して救われるなら安いもん」っていう意味でもあるわけだし。話はそこからめっちゃ飛んでこの「救い」が現在のアイドルやネットの分野では重要なキーワードになっているのではないか?というのが今回の話だ。

なんでハマるのか?

与えられる「救い」

なぜアイドルにハマるのだろうか?Perfumeの登場以降、アイドルはいわゆるロキノン系の分野にも進出するようになり、今では「アイドルの音楽とかも結構好きだよ」なんてことも割と誰にでも言えるようになってきた。ロッキングオンフェスなんて見て見なよ、ほぼアイドルフェスですぜ。しかし依然として「アイドルオタ」となれば話は別で、アイドルグッズや握手券を買うため同じCDを大量に買ったり、ライブで群れとなって踊ったりすることに関してはメディアや巷では特殊な行為として見られている。
しかしどうだろうか?彼らアイドルオタク達の行動というものは変わったことだろうか?例えば宝くじを買う人と握手券を求めて大量にCDを買う人と何が違うのだろうか?どちらも「救い」を求めて買っているはずだ。宝くじならどうにか「大金が入らないか」という救い。握手券ならどうにかあのアイドルの子と直に触れ合いたいみたいという「救い」。どちらも求めるのもがそういった「救い」であればやってることって同じことなのである。一緒にアイドルと写真をとる「チェキ」にしても同じことだ。たった1,000円ぐらいでなんとなくファンが救われるならまだ安いものとも考えることはできるのではないだろうか?

迫害されるものは団結しやすい

「恋は激しいほどよく燃える」とよく言う。この言葉通りアイドルへの愛が強ければ強いほど外部から「お前らキモい」「うわー、アイドルとかwww」なんて言われる。そんな批判にムキになるオタたちは少なからずいる。だけどこの「お前らキモい」みたいな外部の一方的な批判はむしろオタたちの結束を強めることになる。例えばイエスだったり親鸞だったり日蓮なんかが受けた迫害が現在では迫害にも負けず教えを守った美談、伝説として語り継がれ組織の結束強化に繋がっている。

それと同じでオタたちの結束は世間からの白い目ありきの話で「オタってる俺たち」という自分たちは特殊な組織に所属しているのだって言う実感を持つことで団結する。イベントとかに行ってみなで特殊な衣装で歌って踊って、自分たちが愛するアイドルを中心に群れると楽しい。そしてさらにアイドルへハマっていくのである。

君もアイドルになってみよう

アイドルになるってどういうことだろうか?

アイドルというとどうしていかがわしいイメージがつきまとってきますよね。握手会にファンとの交流、CDを大量に売りつけたり、チェキをとったり、アイドルってダメな人間がハマって搾取していくっていうイメージ。そんなこととんでもない。アイドルはそんなダメな人間を「幸せ」にするのが仕事だ。

例えば上場企業の偉いさんがいじめや自殺について何か言っても、上から目線の胡散臭さしかない。ところがアイドルだったらどうか?例えばでんぱ組なんかは「ひきこもり」「ネットゲーマー」「不登校」を肯定することでダメ人間たちを「幸せ」にした。アイドルになるということはダメ人間を「幸せ」にするということなのである。

それに上場企業の偉いさんとは違い、アイドルの場合、自身のファンが団結していくという社会的影響力がついてくる。今でいうところのインフルエンサーっていうやつですね。価値主義と呼ばれるSNSのフォロワーやいいねの数でその人の価値が決まるというこの考え方。そんな世界ならアイドルという仕事がこそ適切ではないだろうか。

アイドルが成立するプロセス

もうアイドルという言葉の意味に関してはいろんなところに書かれているのでWikipediaなんかでも調べてください。

そんでアイドルになることには別に特殊な能力とか資格とかめっちゃ容姿が優れているとかは関係ない。じゃあどういう形がアイドルかっていうことをめっちゃ簡単にいうと「何かを言う人」と「受け取る人」がいればアイドルというものは成立する。

アイドルを始めるならとりあえずイベントを開いていくことがいいでしょう。別にいきなりライブハウスとかクラブを貸し切ってなんかじゃなくてもいい。その辺の公園で踊ったり歌ったり、今の時代なら動画生配信とかSNSで募った人たちとガストでお茶会でもすればいいわけだし。とにかく1人でも「コミュニティ」を形成できればアイドルとしての土台は出来上がる。例えば公園で踊っている人たちAグループがいるとして、それを眺める傍観者B、これでアイドルというものは成立する。ちなみにこのグループはももいろクローバーZと言います。もしも公園で踊っていなかったら、そこに傍観者がいなかったらももいろクローバーZは存在しなかったかもしれません。こうやって見ると音楽で食っていくっていうなら、バンドをやるよりアイドルの方がコストが安く済むところもメリットですよね。

あと補足ですがアイドルっていう分野は歌って踊る以外でも成立する。例えば落合陽一がやっているようなオンラインサロン見たいな形でも成立しますよ。先でも言ったように「何かを言う人」と「それを受け取る人」がいれば成立するのがアイドルなのですから。スナックのママなんてのもアイドルって言ってもいいですよね。

団結しやすいファンの弊害

アイドルのファンは団結しやすい。それ故にアイドルに人間味が出てくると反逆されやすくなる弊害も確かにある。筆頭すべきは異性との交際なんかはよく折角獲得した自身のファンから攻撃されてしまう。しかしそれならもうはじめっからアイドルとしての立ち振る舞いを恋愛しやすい立ち振る舞いにすればいいということも考えることもできる。例えば西野カナに交際の報道が出たところで誰が怒る?スナックのママに誰がキレる?

アイドルに必要なのは何度も言うように「何かを言う人」と「それを受け取る人」がいれば成立するのだから、別にAKBとか乃木坂みたいな処女性を押し出すことがアイドルではない。恋愛について肯定的な人を救済すればいいだけの話である。

ここまで書いてきたけど、人に尊敬されたい、必要とされたい、率いたいなんて思っているのならぜひ、アイドルという職業をオススメする。

以上、アイドル最強説でした。

田渕竜也のTwitter

ついったウィジェットエリア