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最近のコカコーラのCMを見ると変な寒気がするっていう話

文:田渕竜也


誰かが恥をかいてるシーンや見てて恥ずかしくなるシーンって皆さん見れますか?例えばドラマGTO、第3話。この話ではアイドル志望のトロコがオーディションを受ける話なんだけど、あの話、直視できないんですよね。話の流れがもうしくじって恥をかくのわかってるし、その上、ガー子とガン吉という人形劇みたいなやりとりをするシーンなんて見てて恥ずかしくなるからもう見れない。また、コンビニとか飲食店なんかで新人アルバイトが怒られているところも見てられない。
「別に気にしなくていいじゃん」とか「ただのフィクションじゃん」っていう声も上がるかもしれなけど、あいにく「共感性羞恥」という現象はそんなお気軽なものではない。「あっ、この人は確実に恥をかく」や「あっ、この人、これからめっちゃ怒られるんだろうな」ってシーンに出くわすのとにかくイヤっていう感覚、ドラマの恥ずかしいシーンや他人のミスを目の当たりした時に自分もなぜか恥ずかしい思いをした感覚になることを「共感性羞恥」という。この感覚が発生している時、脳の中はあたかも自分も失敗しているように感じる。だからドラマGTOの第3話や誰かが怒られている場面が見れない、もしくは逃げ出したくなるのである。

それでは話を本題に入ろう。2018年夏のワールドカップや甲子園のCMで流れていた、綾瀬はるかさんのコカコーラのCMが本当に無理だ。

もうこのCMが流れただけで拒絶反応が凄まじい。うわってなる感じ。そこそこ美人が間抜けで頭逝っちゃった感じ。その上、何か見てはいけない何かを見ているような感じがしてこっちが恥ずかしくなる。別に綾瀬はるかさんには罪はないけどこのCMのどこまでもどこまでも本当に寒い。その上、このCMが流れると逃げ出したくなる。
今回はこのコカコーラのこの問題作について言いたいことを言っていこうかと思います。

まずタイアップソングが古臭い

「世界はあなたに笑いかけている」っていう曲名でもう生理的にダメ。この曲の歌詞に出てくる「笑顔」や「世界を惹きつける力」とか「Smile together」なんかはどこぞの意識の高い主婦みたいに「笑顔があれば世界は変わる」とか「一期一会、みんなに感謝」のようなアメーバブログにでも出てきそうなキーワードを見たときと同じ気持ちになる。やたらこういうキーワードを使う人って変な水を飲んだり、変な数珠とかつけてて、変なものを売りつけてきそう。
それから過剰なまでに自己啓発的なポジティブばこの曲の歌詞は例えば孤独で精神的参ってて何も捨てるものがない無敵の人にこの曲を聞かせると大変なことになると思うんですよね。だってもう何もない人に「ほら、笑って〜」とか「笑顔があれば世界は変わる」なんて歌われたら、やばいことになること間違いなし。
歌詞について散々なことを言ったけど、楽曲としてはどうなのか。というとゴスペル基調な曲だから手拍子しやすくて、めちゃくちゃキャッチーなメロディーとボーカル隊の声量と声の力強さが夏のコカコーラのCMソングとしてはすごく計算し尽くされている。だけど楽曲単位で考えるよ個人的にはめっちゃ古臭い曲だなって思う。


『天使にラブソングを』の名シーンを見比べてみるとやっぱりゴスペルの猿真似だなっていう話で済んでしまうよな。そもそもゴスペル基調のJ-popは小室サウンドとともに90年代にやり尽くされている訳で、そこも古臭さを感じる要因の一つ。今回のLittle Glee Monsterの楽曲からはすごく目新しいものは一切ない。


何年か前の椎名林檎のタイアップはサンバのサウンドと現代的なサウンドが合致していてすごくタイアップソングとしても椎名林檎の楽曲としてもものすごくカッコよかったなーって個人的には思う。映像もコカ・コーラのイメージカラーとトロピカルな色彩のアニメーションでかっこいい。

でも、こんな古臭い曲でもしっかりと耳に残るものを持ってくるっていうところがCMタイアップソングとしてのこの「世界はあなたに笑いかけている」という曲のすごいところ。だってクソ胡散臭い過剰までにポジティブ啓発的歌詞にこのストリングスのアレンジもコードのパターンも、もうやり尽くされたアイデアなのにやたらと記憶に残る。それと力強い声量のあるボーカルとメロディがなぜか耳に残ってしまうのだ。
しかし、やっぱり楽曲全体が古臭いのと歌詞が生理的にキツイ。万人がいいっていう曲でも個人的にこの曲がダメなのだ。ひょっとしたらいしわたり淳治の歌詞が個人的にダメなのかもしれない。

なぜこのパッパラパーなコカ・コーラのCMは寒いのか?

なんというか。いつから綾瀬はるかさんはこんな頭逝っちゃった感じになったのだろうか?と思ったけどそう言えば元はバラエティ番組のアホキャラでしたね。

そんでCMの話。突然、何の前触れもなくウグイス嬢のマネを始めたり、テレビの前で絶叫したり…。このCMでの綾瀬はるかさんの姿は「さすがにこれを演じるのはキツくないか?」とまるで奇行にしか見えないこの演出は少し心配になる。
このCMは全体的にハイテンションな「あざとさ」が本当に寒い。というか製作陣が完全にスベってる。「永久不滅ノ4番、コカ・コーラ選手…」のあたりで本当にこのCMから逃げ出したくなる。見ているこっちが恥ずかしい。しかも目線が視聴者に向けているから目が合う分、余計にキツい。このCMの終盤に「ホーム、ラ~~ン!!!」と絶叫するシーンには恐怖すら覚えてしまうレベルである。CMのバックで「ほら、笑ってぇ〜🎵」ってLittele Glee Monsterのタイアップソングが流れるけど笑えないよ。
そんでこの空回りのハイテンションで脳みそパッパラパーなCM演出は恐らく彼氏視点であることから「男性ウケ」をモロに狙っているのが丸見え。もうCM製作のおっさんが「可愛らしい」演出を一生懸命考えました感がすごい。このCMのハイテンションが「あざとさ」の重要なポイントではないかと勝手に思っている。
このCM製作のおっさんたちの考える「可愛らしい」というハイテンションなあざとい演出があまりにも過剰すぎるため、このCMは限界突破してしまった。だって彼氏視点というリアリティが重要な視点でこんな漫画やアニメ、ドラマでしか見かけない動作をされると「あざとさ」を突っ切って「不自然さ」になってしまう。その結果、CMを見ている視聴者との温度差が発生したため駄々滑りで寒いCMになってしまった。これがこのCMがなぜ寒いかという結論である。
別に綾瀬はるかさんは何も悪いことをしていない。ドラマでもアホキャラばっかだし、出演する映画も『プリンセス・トヨトミ』とか『おっぱいバレー』とかろくでもないものばかりだけど、このCMの企画に携わった訳でもないし、ただ演技をしただけである。本当に脳みそパッパラパーなのは視聴者のテンションも考えないこのCMの製作陣である。何が悲しくて『熱闘甲子園』のVTR直後にこのCMを見なければならないのか…。しかしCMというのは酷なもので記憶に残ったものが勝ちなのです。はい、このCMについて文章を書くぐらい記憶に残っている私は完全に負けです。ありがとうございました。

田渕竜也のTwitter

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