90年代アニメのYOSHIKI図鑑
YOSHIKIという人間
もうすでに周知の通りかもれないのだけど、YOSHIKI自らが持っている特殊な世間での共通認識、つまりYOSHIKIが「どういう風に見られたいか」っていうことは盲目的なファンでなくてもなんとなくわかる。プロフィールを秘密主義にしたミステリアスな部分やクラシック音楽の素養、Rastynailでの薔薇や破滅のイメージのミュージックビデオ、カレーが辛いといって帰ったりとまぁ、シャワーが熱いとか盲目状態のファンは置いといて普通の一般の人にとってYOSHIKIのイメージとは変な人である。GACKTも然りだけど。よくYOSHIKIのワンマンバンドだと言われているけど正直言って、HIDEとTAIJIという優秀なアレンジャーがいなかったらX JAPANもここまでメジャーシーンに来ることができなかっただろうと思う。まぁその辺は別の機会に話すとしておこう。
こういう「変な人」という共通認識で現在のYOSHIKIはTOSHIほどではないにしろなんとなく世間のおもちゃになっているけど、ヴィジュアル系の話は何度もしているので今回はもっと別の次元に踏み込んでいきたい。筆者が不思議に思うのはYOSHIKIってあんなに自分のイメージを薔薇と死と破滅という明らかにアニメや漫画的なイメージで見られたがっているのに、アニメとは一定の距離を保っていたことである。最近になって『進撃の巨人』のオープニングを担当したりしているけど、90年代にアニメやマンガに関わったのはCLAMP原作の劇場版『X』での『FOEVER LOVE』ぐらいである。ガンダムオタクを打ち出すGacktやアニメオタクを打ち出すTM RevolutionそしてHYDEしかしYOSHIKIは一度も自身のことを「オタク」と発言していない。しかし思い返せば90年代アニメやマンガにはやたらとYOSHIKIが出演しているのである。
今回はそんな90年代に出演したアニメ・マンガ世界でのYOSHIKIの数々の姿を見ていこう。
90年代アニメYOSHIKIラインナップ
1.『忍空』黄純
アニメ・漫画の世界でのYOSHIKIといったら外せないのはなんて言ったってこの『忍空』の黄純。
物語においてもリストカットなどの自傷行為を繰り返したり、kiss meというバンドを組んでたり、ピアノを弾いたりとそのまんまXの『Jelousy』あたりの頃のYOSHIKIのイメージである。
ちなみにアニメでは敵だけど原作ではただの自殺キャラで味方である。そのギャップがまた面白い。
2.『疾風伝説 特攻の拓』千冬慎
このマンガの舞台が神奈川県というところがなんとなくYOSHIKIっぽい
自身のことを「美しい」と言われることは好きだというキャラがもうYOSHIKIですね。
決して、今、巷で言われているBLだとかLGBTだとか男の娘的な「美しさ」ではなく、ヤンキーの中にある破滅性と耽美性の「美しさ」である。
他にも当時のヴィジュアル系のバンドマンっぽいキャラクターが登場するマンガなのだけど、恐らく、陣野 平蔵っていうキャラはZi:killのTUSKさんだと思います。
あとこの漫画、ヤンキー漫画としてではなく昔の単車を知るのにもいい資料になります。
3.『勇者警察ジェイデッカー』幾何井田(きかいだ)三兄弟
ギターのソロはめちゃかっこいいけどピアノソロがめっちゃ長く感じる約30分にも及ぶ超大作『Art of life』を発表したその翌年、94年というX JAPANの暗黒期というか迷走期に入ったあたりに放送されたアニメである。
タカラトミーが「トランスフォーマー」に代わるロボットアニメとして企画された『勇者シリーズ』の内の一つ。その第13話「ロボット強盗団を追え」に悪役としてピアノを弾きながら登場するのが幾何井田(きかいだ)三兄弟の長男、名前はヨシキ。そのまんまやんけ。このヨシキが使うデスメタルというロボットのマシンプログラムの名前が「紅X」やっぱりそのまんまやんけ。
4.『幽☆遊☆白書』鴉
「トリートメントはしているか?」などいろいろとあやしい名言を残している鴉だが、暗黒武術会編の鞍馬と鴉の対決は『幽☆遊☆白書』のベストバウトとしてよくあげられる。髪が黒いときただのコテヴィ系のバンドマンみたいだけど、マスクを取ると金髪になってYOSHIKIになる。美しいものに固執したり、吸血植物によって死んだところもなんとなくYOSHIKIっぽい人である。
5.『ファイブスター物語』ファルク・ユーゲントリッヒ・ログナー
最終回がマリアナ海溝の底ぐらい人類にとって遠い漫画だけど、一度だけ劇場アニメを公開している。それももう30年近く前である。それなのに完結するどころか作者が設定をアップデートしすぎて設定についていけなくなった人って結構多いと思う。
一応、この物語においては最強の剣士であり、死んだ瞬間に記憶・経験・人格の全てを保持したまま、新たなるクローン体に再生することができるという事実上の不死の存在である。
6.『Rasty Nail』YOSHIKI
締めはやっぱりご本人に登場していただこう。
もう世紀末っていうか完全にマッドマックス2とか北斗の拳のそれだよ。謎のバックベアードみたいな目玉の侵略者にドラクエ2のハーゴンみたいな服を着たHIDEは操られていて、TOSHIは素手、HEATHはナイフ、PATAはマシンガンで戦うけどやっぱりX JAPAN内の存在感が弱いからHIDEにみんな負けてしまう。というよりTOSHIの攻撃が素手なのはさすがにかわいそうだと思います。まさにX JAPANの力関係そのまんま。だけどここにTAIJIがいれば勝てたかもしれない。まぁ、最終的にはなんかYOSHIKIが出てきてHIDEの洗脳を解いて、なんかYOSHIKIが世界を救って、咲いた薔薇が赤いということでどこかへ帰っていく話。HIDEの洗脳よりもTOSHIをなんとかしてやれよとは思うけど…。1撃でへたり込むのもYOSHIKIらしい。あと終盤あたりのPATAの顔、なんか横に太くなってない?
元はアニメ映画のパイロット版として作られたフィルムみたいだけど、結局、X JAPAN自身の迷走期に入ったことなどからこの企画自体がお蔵入りになってしまった。その結果、もったいないから再編集して作られ、ベストアルバムの特典としてついたのがこのRasty nailのPVである。いやー、公開しなくてよかったな。
終わりに
どうでしょうか?いろんな作品に出演していましたね。
いろんなYOSHIKIを見ましたが、どれのキャラクターにも共通していることは「美しい」という耽美性がキーワードになっていること。
今ではもうお笑いネタのようになってしまったYOSHIKIの耽美性だけど90年代はその「美しい」という耽美性のシンボリック的存在になっていたんだなって思います。
それでは今回はこのへんで
以上、90年代アニメのYOSHIKI図鑑でした。