繁栄と衰退、そして滅亡
繁栄と衰退そして滅亡
『サピエンス全史』によると人類の歴史の過程には幾つもの人類がいて、数多いた人類が絶滅していって生き残ったのが我々ホモサピエンスという人類らしい。
すべてのものに生と死があるようにあらゆるものにはスタートと終わり、繁栄と衰退というものがあって、あらゆるものには必ず「終わり」というものがやって来る。この世界に永遠というものはない。
いま流行っているものだってそうだ。米津玄師にしてもあいみょんにしてもTikTokにしても時代が去ればもう過去の遺物でしかない。今、みんなこぞって『Lemon』を歌ってる動画をあげて再生回数を稼いでるけど、それもあと少しで過去の遺物になりつつある。
演歌が嫌い
演歌なんかを例に出すとよくわかりやすいだろうと思う。
あれだって元は今で言うところのポップスだったわけだけど、あんなもの現代の若いやつでありがたく歌ってるのは「私、見かけによらず『天城越え』歌えますよ」みたいな古臭い歌を歌えることをハイセンスな私を演じる奇をてらったやつらぐらいだ。今時、マジになって演歌を聞いている十代や二十代はデスメタル、ブラックメタルを聞いてるやつらよりもどうかしている。
まぁなんだかんだいってもかつては流行歌だった演歌がこんなキワモノ的扱いになるのだから随分と落ちぶれたものである。個人的には演歌という大御所の権力しかないようなものは大嫌いなんだけどね。演歌の大御所の人に今、トレンドに上がってるポップスを歌わせて「すごーい」って適当にアイドルに言わせるって場末のガールズバーかっつーの。
まだ『賢者の孫』の「俺、なんかやっちゃいましか?」って言ってしまう主人公のほうがまだ好感をもてるよ。「大人になったら演歌のよさがわかる」なんて大嘘だよ。大人の嫌なところばかりが目につくのが演歌だ。
ここまで演歌をこき下ろしてきたけど、演歌がこんなサブな扱いになったんだから当然、ポップスにもそういう流行の生死の波が押し寄せてくるのも必然だ。
もう00年代の代表格だった浜崎あゆみ、倖田來未の映像を見たらなんとも言えない嫌な鳥肌が立ってしまう。なんだろう?お化けを見たとかよりもいやーな感じがする。彼女らはおそらくもうすでに絶滅してしまった00年代ポップスカルチャーの亡霊でもあるのだろうか。
衰退しつつあるバンドカルチャー
そんな時代の流れだけどポップスだけじゃなく、「バンド」という文化そのものにも衰退の波が押しよせている。今、とにかくバンドをやる若い人ってめっちゃ減ってる。バンドメンバー募集を見ても言う意見だけは一丁前な使い物にならない中高年ばかりだ。
理由はたくさんある。そもそもメンバーを探すのが面倒、ていうか集まらない、集まったとしても人間関係が続かない、スタジオが取れない、練習が面倒、ライブしても金がかかるなどなど本当に書ききれないほどにバンドというものはデメリットが多い。その上に活動するにあたっての効率が非常に悪いし、さらにスタジオ代、ライブするノルマ代などコスパの方面も非常に燃費が悪い。
「バンドを組むメリットを考えろ」って言われてもこれだけDAWソフトとノートパソコンのスペックがめっちゃ上がった現代じゃあどれだけ考えてあまり思い浮かばない。だってDawソフトとノートパソコン、音源ソフトにスピーカー、マイクを買えばせいぜい50万円ぐらいで大体のものが揃えることができる。
だけどバンドとなればギター本体にエフェクター諸々、さらにアンプにシールドなど機材を揃え出したらマジでキリがない。それに曲を作って、その曲を演奏できる形にするまでにすごく時間がかかる。なのでとにかくバンドというものは時間とお金がかかる。
だけどこれだけ機材を揃えて、ライブもして、CDも制作して、Youtubeに載せるためのPVも制作してそれで再生回数せいぜい500再生ぐらいいけば良い方で、かたや適当に「ど田舎のJKが米津玄師の『Lemon』を歌ってみました」みたいな動画やじいさんがポケモンGOをやるだけの動画が1万再生以上いってしまうのがこの世界の現実だ。こんなの目のあたりにしてしまったらバンドなんてやる気うせるに決まってる。だから今、バンドをやるっていう人がめっちゃ減っている。
バンドを組むメリットをない脳をひねり出した結果、挙げられるのはバンドメンバー間でコミュニケーションを直で取れることで枠にとらわれない、もしくはとらわれにくい曲作りがしやすいとか一人じゃないのであまり寂しくならないというところだろうか?
まぁ、なんにせよ今のご時世、「バンドやろうぜ!!」っていうのは時代の流れに逆らうっていうことなのである。アメリカのBillboardチャートなんてほぼ8割ぐらいがヒップホップだよ。多分、バンド活動を頑張る人たちよりも、Youtubeで自前のラップを披露したり、フリースタイルラップで悪口合戦してるほうがまだ世界への窓口があると思う。
ある意味、世界の流れからしたらバンドサウンドというものはもう日本の音楽でいう「演歌」になってきているのだろうか?だからもうその衰退の波は目の前どころかもうすでに肩まで浸かっているかもしれない。
だけど、なぜか下手くそでも音程を外していても、テクニックがなくても熱いエモいバンドに僕は惹かれてしまう。バンドの良い点をもう一点言い忘れていた。バンドの仲間同士でライブをした時や音楽を作っていく時など「熱さ」を共有できるところだ。まぁそんな「熱さ」のあるバンドサウンドが好きな自分はもう立派な演歌人間なのかもしれない。
ニトロデイ “ジェット”