2人用ゲームの最高峰『バトルライン』は絶対プレイするべき
私はあまり2人用ゲームはやらないのですが、今回は「これは本当に面白い!」という2人用ゲームを紹介しようと思います。これは本当にオススメです。
ライナー·クニツィア氏の『バトルライン』というゲームです。クニツィア氏自身が手掛けた『Schotten-Totten』というゲームのリメイク作だそうです。こちらは遊んだことはありませんが。
今回紹介するのは新版でカードの名前が日本語表記になっています。個人的には旧版の英語表記の方がカッコ良くて好みなのですが、こちらの方が簡単に入手できますし、内容自体は変わらないので、気になった方はお好きな方をどうぞ。
◎ゲームの内容
古代の戦争をモチーフにしたカードゲームです。部隊カードを組み合わせて、ポーカーのような役(隊列)を作り、5つのフラッグを獲得するか、連続する3つのフラッグを獲得したら勝利です。
◎コンポーネント
·部隊カード60枚(各色1から10までの10枚)
·戦術カード10枚
·木製のフラッグ9個
·説明書1枚
◎準備
プレイヤーが向かい合って座り、9個のフラッグを横一列に並べます。このフラッグを5つ獲得するか、連続した3つを獲得することが勝利条件です。
次に部隊カードをシャッフルし、7枚ずつ配ります。残ったカードは山札にして、フラッグの端に置いておきます。戦術カードも山札にして、部隊カードの山札と反対側に置きます。
説明書によると、カードを配った人が後攻になるようですが、適当な方法でスタートプレイヤーを決めて、準備完了です。ちなみに後攻の方が若干有利だっりします。
◎プレイの手順
基本的な流れとしては、手番プレイヤーが任意のフラッグの前に手札を1枚プレイし、山札から1枚補充したら手番交代の繰り返しです。簡単ですね。
1つのフラッグの前にプレイできる部隊カードは基本的に3枚です。この3枚の部隊カードでポーカーのような役を作り、より強い役を作ったプレイヤーがそのフラッグを獲得します。
◎フォーメーション(役)
このゲームには5種類の役があります。どれもポーカーに似たような役なので、ポーカーをやったことがある人は入りやすいと思います。どのような役があるのか、強い順に紹介していくことにしましょう。
○くさび型(ウェッジ)
同色連番。ポーカーでいうところのストレートフラッシュです。
○方陣(ファランクス)
すべて同じ数字。ポーカーでいうところのスリーカードです。
○大隊(バタリオン)
すべて同色。ポーカーでいうところのフラッシュです。
○散兵(スカーミッシャー)
連番。ポーカーでいうところのストレートです。
○烏合の衆(ホスト)
上記の役ができなかった場合。ポーカーでいうところのブタです。
役が同じだった場合、数字の合計値が大きいプレイヤーがそのフラッグを獲得します。最強の役は「8-9-10のウェッジ」ということになりますね。もし、数字の合計値も同じだった場合、先に役を作ったプレイヤーがそのフラッグを獲得します。
「あれっ?先攻の方が有利じゃね?」と思われた方もいるのではないでしょうか。いやいや、そんなことはありません。先にカードをプレイするということは、先にどんな役を作ろうとしているのか教えているようなものです。出来るだけ先に役を作らせて、それよりも強い役を作ってフラッグを獲得したり、勝てないと思ったらいらないカードを捨てるなんていうテクニックが重要だったりします。だから、後攻が若干有利なんですよね。
◎フラッグの獲得
手番プレイヤーは既に勝負が決まったフラッグを獲得することができます。同じフラッグの前に双方が3枚ずつ部隊カードをプレイしている場合はもちろんなのですが、相手のフォーメーションが完成していなくても、絶対に勝てることを証明できれば、そのフラッグを獲得することができます。いくつか事例を紹介しましょう。
既に最強の役である「8-9-10のウェッジ」が完成しています。同じ役を作っても先に役を完成させたプレイヤーがフラッグを獲得するので、逆転は不可能です。
赤7と緑6から作ることができる最良の役は「6-7-8のスカーミッシャー」なので、ファランクスには勝てません。
「7-8-9または8-9-10のウェッジ」を作ることができれば勝てるのですが、青7と青9が既にプレイされているので、逆転は不可能ということになります。
ひとつ注意しておきたいのが、3つ目の例のように、既にプレイされたカードを使って証明することはできますが、まだプレイしていない手札を証明の材料にすることはできません。「青7と青9を持っているので、このフラッグの勝負はついている」なんてことは言えないわけです。
◎証明によって決着したフラッグ
1つのフラッグの前には3枚の部隊カードをプレイできると書きましたが、既に決着したフラッグの前には例え1枚も部隊カードをプレイしていなかったとしても、もうそこには何のカードもプレイすることができなくなります。これによってプレイできるカードがなくなり、パスするしかなくなったり、まだプレイしたくないカードをプレイするしかないという状況に追い込むことができます。積極的に証明でフラッグを獲得することを目指しましょう。
◎戦術カード
これまであえて触れませんでしたが、戦術カードという特殊かつ強力な効果を発揮するカードがあります。各手番の最後にカードを1枚ドローする際、部隊カードの代わりに戦術カードをドローすることができます。そして、ドローした戦術カードは部隊カードの代わりにプレイすることができます。
ただ、戦術カードは相手プレイヤーがプレイした枚数+1枚しかプレイすることができません。先に戦術カードをプレイしたプレイヤーは相手が戦術カードをプレイするまで次の戦術カードをプレイすることができないわけです。戦術カードばかりドローしているとカードがプレイできなくなる可能性があるので、注意が必要です。
それでは戦術カードにはどんなものがあるのか紹介しましょう。
○リーダーカード(アレキサンダーorダリウス)
部隊カードと同様にプレイします。フラッグを獲得する際、任意の色と数字に化けます。ポーカーでいうところのジョーカーですね。アレキサンダーとダリウスの2枚がありますが、各プレイヤーはリーダーカードを1枚しかプレイできません。敵対する軍のリーダーが同じ軍にいるはずがないですからね。
○援軍騎兵
部隊カードと同様にプレイします。フラッグを獲得する際、任意の色の8に化けます。
○盾
フラッグを獲得する際、任意の色の1,2,3に化けます。
○霧
部隊カードと同様にプレイしますが、プレイした枚数には数えません。このカードがプレイされたフラッグでは全てのフォーメーションが無効化され(実際にはホストという役になるわけですが)、3枚の数字の合計値で決着します。数字の小さいウェッジやファランクスを潰して、数字勝負に持ち込みましょう。
○泥濘(ぬかるみ)
部隊カードと同様にプレイしますが、プレイした枚数には数えません。このカードがプレイされたフラッグでは双方4枚の部隊カードをプレイして決着します。役の成立条件はそのままなので、強い役が作り難くなります。数字の大きいウェッジやファランクスを潰して、バタリオンやスカーミッシャーで逆転を狙いましょう。
○偵察
使い捨てのカードです。部隊カードと戦術カードの山札から任意の組み合わせで3枚ドローし、手札に加えます。その後、手札から任意の2枚を対応する山札のトップに裏を向けて戻します。同じ山札に戻す場合、どちらを上にしてもオッケーです。また、このカードをプレイした手番時のみ手番終了時のドローはパスします。
○配置転換
使い捨てのカードです。まだ決着していないフラッグにプレイされている霧·泥濘以外の任意の自分のカードを1枚、同じくまだ決着していないフラッグの前に移すか、ゲームから取り除くことができます。役を変更して逆転を狙ったり、決着を遅らせるなんて使い方ができます。
○脱走
使い捨てのカードです。まだ決着していないフラッグにプレイされている霧·泥濘以外の任意の相手のカードを1枚、ゲームから取り除くことができます。
○裏切り
使い捨てのカードです。まだ決着していないフラッグにプレイされている任意の相手の部隊カードを1枚、同じくまだ決着していないフラッグの自分の場所に移すことができます。戦術カードは選択できないので、注意しましょう。
戦術カードの注意点として、もうひとつ記載しておくと、まだプレイされていない戦術カードは決着の証明には使えません。戦術カードで覆る可能性があるからまだ決着していないなんてことは言えないわけです。
◎選択ルール
フラッグを獲得できるのは手番の最初、つまりカードをプレイする前に限るという選択ルールがあります。これを導入すると、フラッグ獲得までに1手番の猶予ができるため、負けが確定したフラッグにいらないカードをプレイしたり、戦術カードによる逆転が狙い易くなったりします。個人的には戦術カードを使用せず、運の要素をマイルドにしたガチンコ勝負の方が好みだったりしますが、戦術カードを使用するなら導入した方が面白そうな気がします。
◎総評
オススメ度★★★★★★★
○お手軽なのに深いゲーム性
ルールは簡単、プレイ時間も30分程度の軽量級ゲームですが、とても奥が深いのです。連続した3つのフラッグを獲得したら勝ちなので、どのフラッグを全力で獲りにいくのかが重要です。ただ、狙いがバレると潰されます。他にも手の内を明かさずに相手の狙っている役を知りたいけど、最初から捨てフラッグは作りたくない。自分の持っていないカードは相手の手札か山札にしかない、でも相手がこれを出してこないってことは山札か?なんてことをめちゃくちゃ考えます。
それ故に見た目に反してガチめなゲームだったりします。黙々とプレイしちゃうことも多いので、トークを主体にするようなゲームが好みの方は向かないのかなぁなんて気もします。
○リプレイ性が高い
1回目よりも2回目、3回目と繰り返すほど面白くなります。やっているうちに色々な戦略が浮かんでくるので、試したくなるんですよね。また、対戦相手によって展開が大きく変わったりもします。勝ち筋がひとつではないゲームってやっぱり素晴らしい。
○ゲームと直接関係ないけど
欠点を挙げるなら次の2つ。まず、箱が大き過ぎてデッドスペースだらけ。100均のカードケースに余裕で収まるコンポーネントなので、収まりが悪過ぎます。あと、普通紙に白黒印刷というあまりにもショボい説明書。これらは改善して欲しいところですが、ゲームは間違いなく面白い!