/ Column

「私、デスコア女子になってもいいですか?」はじめましてのデスコア特集

文:田渕竜也

誰よりも華麗なる生活を曝け出して承認欲求を満たしたいアングラ女性のみなさまこんにちは。今日も元気よく病んでいるかい?
アングラというキャラクターを形成するにあたって、一番重要な要素とはなんだろうか?リストカット、レオンのナタリー・ポートマンみたいなファッションと髪型、自分の特異なキャラクター性?いや違う。必要なのはナンセンス性だ。

どんだけ手首を切ろうが、日本人がやってもブルゾンちえみにしかならないレオンのナタリーポートマンみたいな髪型とファッションを真似しようが、エキセントリックなキャラを演じようが結局返して来るものにナンセンス性がないと「「あぁ、やっぱり普通の人か」で終わってしまう。

いくらアングラ、サブカルを着飾っても出て来る答えが「ヤバTサイコー」とか「最近のシティポップまじチルい」っていったりSNSのプロフィール欄で邦楽ロック好きアピールしてもやっぱりナンセンス性がないと思われてその外観でもう中身をみようとも思わないようになってしまうオチである。

それでは例えばイングヴェイが好きかWANIMAが好きか?シティポップか?デスコアか?って聞かれたとしてイングヴェイを取った方とデスコアを取った方がやはりナンセンス性があって、アングラらしい。着飾ったものがこの二択の選択だけで印象がグッと変わるのだからこのナンセンス性はやっぱり重要である。しかしまぁ一番はそんなアングラ、サブカルなんてキャラを捨ててしまって正直に生きるのが一番だけどね。

そこで今回は新年度に新しくキャラクターを作りたい女子、それにともなって女子力をアップアップさせたい人たちに是非おすすめしたいデスコアの世界へお連れしたいと思います。甘酸っぱい音よりも激しい音で酔いしれろ。

それではデスコアと聞いてどんなイメージがあるでしょうか?
一体、いつ風呂に入ったんだろうと思わせるようなむさ苦しさと無駄にガタイがよくてがなりたてる歌い方をするとんこつラーメン屋の従業員みたいなどことなく不衛生なイメージがあるだろう。まぁ、デスメタルバンドならまだイメージはだいたい合っている。だけどデスコアは短髪の人が結構いたり、ファッションもカジカジとかにいそうな服装だし、イケメンがいたり、細マッチョ系でガッツリメタルとはイメージが正反対だ。とんこつラーメン屋とイタリアンシェフ気取りの塩ラーメン屋ぐらい違う。そう、デスコアにはまだ清潔感がある。もちろん不衛生なデスコアだっていますけどね。

ところで「さっきからデスコア、デスコアってデスコアって一体なんだ?」っていう意見もあるだろう。一言で片付けるなら「モッシュパートのあるデスメタル」である。デスメタルをよりフェスやライブに特化したパーティな感じにしたエクストリームミュージックという捉え方をしておけばだいたいOKだと思います。それからヘトバンがやたら縦に深くて、一曲がやたらと長く感じる精神と時の部屋状態なのも特徴的です。

それではデスコアバンドをご紹介していこう。

SUICIDE SILENCE – You Only Live Once


略してスーサイ。決してあのギャルバンドのSilent Sirenではない。全くの真逆なのに僕は何度か間違えたことがあった。

両腕のタトゥーにラーメン屋の湯ぎりのようなヘドバン、そしてブレイクダウンの連発。デスコアとはなんぞや?とまだ疑問に思うならとりあえずボーカルのMitch Luckerが在籍していたこの頃のSUICIDE SILENCEをイメージしておけばほぼほぼ大丈夫だろう。

ボーカルのMitch Luckerは2012年に事故で死んじゃったんだけど、デスコア界はいまだに彼の影響は計り知れない。カリスマ性、アイドル性が半端なくあったボーカリストだったから今のスーサイのボーカルはめっちゃ苦労していると思います。実際、一番新しいアルバムはデス色をほぼ無くした結果、めちゃくちゃに叩かれる結果になってしまった。

SLAUGHTER TO PREVAIL – Chronic Slaughter


この曲のPVが赤と黒を基調としているのはロシアを意識してなのかどうなのかはわからないけど、ロシアという赤い土地より近年、着実に世界戦略のステップを踏んでいっているデスコアバンド。

ローテンポでひたすら重い。天下一品のこってりぐらいのドロドロ感とダークな雰囲気でほんの数分の曲なんだけど聞き終わったらすごくお腹いっぱいになる。

一曲だけでどんだけブレイクダウンとブラストパートを入れて来るんだってくらいにメチャクチャ楽曲の変化が複雑。ライブで暴れたいキッズたちにとってはノリやすいので音源を聞くというよりライブ映えを意識したバンドだと言える。

なのでモッシュが好きな女子、ビートダウンやブレイクダウンのパートになると思わず頭もしくは腰から上が上下に動き出す女子には是非抑えて欲しいバンドである。

それからこのバンドのドラマーは絶対大変だろうなぁって思います。ていうかドラムのセット少なっ!?

iwrestledabearonce – You know that ain’t them dogs’ real voices


つじあやの風の人がデスボイスをひねり出す衝撃。デスな要素だけじゃなく普通に女性らしいボーカルラインまでなんでも出してしまう。寿司が回ってきたと思ったら次にはハンバーグそして次にはてんぷらが流れて来るようなな回転寿司みたいなバラエティ感だ。どこまでが本気でどこまでが冗談なのかもわからない。

それにデスコアなのかなんなのかも僕にはわからない。ゴシック、エモ、タランティーノの映画で使われてそうな音楽、エレクトロなどもうジャンル分けは無理だ。

挙句の果てには「バンド名は適当だからなんとでも呼んでくれてもいいよ」とバンドメンバーが言ってしまう始末。本当に掴みどころがなさすぎる。

BETRAYING THE MARTYRS – The Resilient


どのデスコアバンドも極悪なサウンド一本調子で「もうデスコアなんてみんな同じじゃん。もう西野カナ聞く」なんて人もいると思うがそんな人におすすめなのがこのフランス産シンフォニックデスコアバンドBETRAYING THE MARTYRSである。

ボーカルのクリーンボイスやバンド全体のサウンドもエモーショナルな上、他のデスコアバンドに比べてダークさや重さが比較的ライトで聞きやすい。

あと余談になるけどこのバンドいろんな慈善団体をサポートしていて動物虐待反対する団体やこどもの自殺を救おうとする団体や地球環境を守ろうとする団体などをサポートしている。デスコアというよりヒューマニズムコアである。

Attila – Pizza


隠な感じのデスコアが多い中、一際チャラさが際立つパリピデスコアバンド。チャラいけどグロウルボイスで高速ラップするこのボーカルのスキルは本物だ。元々はラッパーだったらしいけどね。

是非、このバンドのボーカリストChris Fronzakのインスタを見てやって欲しい。ひたすら車と大金の画像をアップして成り上がりアピールをしていて公私共にチャラい。

Victim of Deception – Mortal Prediction


折角なので、日本のデスコアバンドもご紹介しておこうと思います。ブレイクダウンやビートダウンでライブでのノリを重視したデスコアバンドが多い中、ブラストビートで暴走特急のように疾走し、部分部分でビートを落としてブレイクダウンするメリハリがあって楽曲の完成度が国内随一だと思います。

ボーカルの声の使い分け方も凄まじくかっこいい。是非、覚えていただきたバンドです。

終わりに
様々なデスコアバンドをご紹介いたしましたがお気に召されたバンドはいましたでしょうか?こうやってデスコアを並べるだけでも様々なタイプがあって面白い世界なのがよくわかっていただいたかと思います。

もし、いましたら今すぐにSNSのプロフィール欄に推しバンドに追加しましょう。そして応援してあげてください。

そしてもっとディープな世界に浸って欲しい。

それではまた

田渕竜也のTwitter

ついったウィジェットエリア