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てんぷら3年目

文:なかむら ひろし

 読者の皆様、明けまして、おめでとうございます。本年も読者の皆様方にとって、良き年であることを願っております。読者以外の方に関しては、どうでもいいです。ということで、本年も『てんぷら』をよろしくお願いします。

 早いもので、『てんぷら』も結成から3年目となりました。昨年からweb版も始動し、活動の幅も拡がったわけでございますが、本年はさらなる飛躍を求めて、様々な企画を考案中でございます。新たなコーナーだけでなく、LINEスタンプやグッズの製作にも手を出していこうと思っております。「肝心のフリーペーパーの発行が年1回ペースなのに何をやっとんじゃ!」という声が聞こえてきそうな気がしないでもありませんが、もちろんフリーペーパーの方にも力を注いでいきますのでご安心を。

 2015年の目標を書いたところで、2014年を振り返ってみたいと思います。
 私事になりますが、年末になるとTwitter上で、その年で個人的に最も楽しませてくれた人々を各分野ごとに勝手に表彰する「なかむら大賞」の発表、年始には、その年にブームになる人や物などを予想する「ブーム予想」を行っております。
 そんな2014年なかむら大賞俳優部門に輝いた女優の三輪ひとみさんからTwitterで「光栄です」というコメントを戴くという珍事が発生しました。憧れの三輪さんからのコメントに嬉しいやら恥ずかしいやら、複雑な気持ちになったことが私の2014年の一大ニュースでございます。
 
 本日最後に、Twitterでは書かなかったブーム予想をひとつを発表したいと思います。「都都逸」です。俳句は「575」、短歌は「57577」ですが、都都逸は「7775」の音数律で読まれる詩です。主に色恋が題材になるものでしたが、現在は「笑点」の大喜利のお題で使われたり、寄席で使われることが多いのではないでしょうか。
 こうして、言葉で説明してもあまりピンと来ないと方もいらっしゃると思うので、日本近代史を連載している私がひとつ例を挙げるとするならば、「散切頭を 叩いてみれば 文明開化の 音がする」でございます。歴史の授業で聞いたことがあるのではないでしょうか。これも都都逸のひとつなのです。

半髪頭を 叩いてみれば 因循姑息の 音がする
総髪頭を 叩いてみれば 王政復古の 音がする
散切頭を 叩いてみれば 文明開化の 音がする

 「散切頭~」の部分が有名ですが、実は三段構成になっていて、明治初期の人々のスタイルを表しています。
 半髪というのは、ちょんまげをして額の上の部分を剃り上げたもので、これぞTHEちょんまげという、時代劇なんかでもよく目にする髪形です。次に総髪というのは、ちょんまげをしていても額の上の部分を剃らないもので、お相撲さんなんかがこれに当たります。また、ちょんまげをしていなくてもOKで、まげを結う前の逸ノ城のような伸ばした髪をオールバックにする髪型も総髪と呼びました。元々は、医者や学者がする髪型でしたが、幕末に流行し、坂本龍馬や近藤勇なんかも総髪です。最後に散切頭は、ちょんまげは結わない、髪は伸びたら切るという現在ではごく当たり前の髪型です。
 つまり半髪頭は、未だに昔からの慣習にとらわれている時代遅れの人を表しています。総髪頭は、半髪よりは進んでいるが王政復古の大号令が出された時どまりであり、散切頭こそ文明開化を受け入れた今一番進んでいる進歩的な人間なのだという詩なのです。現在のオシャレピープルどもにこんなことを言われたら、虫唾が走りますね。

 近年、俳句や川柳、エロ詩吟なんていうのも流行ったぐらいですから、都都逸も来るのではないと予想した次第でございます。果たして、都都逸がスポットライトを浴びる日がやって来るのか・・・

2015_greeting

なかむら ひろしのTwitter

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