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現実というクソゲーに嫌気がさしたら神様の嘘。でも聞いてリラックスしろ

文:田渕竜也

 家庭にも会社でも学校でも居場所がなくて自分の存在が認められていないと思っているてんぷら読者諸君。君たちならこの社会の息苦しさは分かっているはずだ。

 特に二十代終盤という若いのか若くないのか人生詰んでいるのかまだイケるのかすごく微妙な年齢の人たちならたくさんいると思う。
自分たちがこの世界で息苦しさを感じるから「この世界が悪い」って言って色々と反社会的なことを考える。

 まだ十代の頃ならタバコ一本吸ったりピアスを開けるだけで反社会的な行動になって少しはこの世界の息苦しさを拭うことができた。だけどもう二十代終盤となれば反社会的行為は法律という制御システムが大きな抑止力となって結局、ストロングゼロを一気飲みすることぐらいしかできない。

 「現実」という名のクソゲーには『NHKにようこそ』のように終わりなき日常に突然、岬ちゃんのような美少女がやってくるはずはない。だから今日もまた「この世界が悪い」と言って何も変われないし変わることができない自分にまたうんざりしてこの世界に息苦しさを感じていく毎日なのである。

 小学生の頃を思い出して欲しい。何もしなくても何故かテストで100点取って、家族は幸せで友達も多いやつっているじゃないですか?逆にいじめられてテスト赤点で友人もいないやつもいる。このように現実という世界はパワーバランスの崩れたクソゲーそのものだ。いきなりエクスカリバーを持ってるやつもいれば、最後まで棍棒のやつもいる。一体、どの宗教の神がこんなクソゲーを作り出したのだろうか?本当に神がいるとするなら皆、平等であるべきであるはずだ。だけど現実は残酷でそんなのは不可能だ。不幸なやつがいるから幸せなやつがいるし、ゆうこすみたいなやつもいれば自分のリストカットをインスタにのせるやつもいる。

 だけど神の前で平等は不可能だけどEDMサウンド+アイドルの前ではたいていの人はバカになることはできる。ほら、「踊る阿呆も見る阿呆も踊らにゃ損損」っていうじゃないですか。普段はモッシュやツーステップを踏むことに躊躇する人でも一度グロウルベースの音がなれば自然と体が動く。

 もう「この世界が悪い」と放言を免罪符にしかできない人たち。まぁアイドルなんてそういう人たちのためにあると言っても過言ではないと思う。別にひどい偏見でもレッテル貼りでもない。何かに依存しようとする人たちに抱くイメージって実際こんなものだ。何か社会に反抗したいから依存する。アル中がストロング飲んで自分の問題を忘れようとするのと同じ。
 だからアイドルに依存する人たちが変人に思われるのはわからん話ではない。アイドルのイベント見にいく人ってみんな私服が黒くてFF7の二ブルヘルムの人たちみたいだし。

 表層をなぞるとこんな感じだけど、中身を開けると彼らはファン同士でコミュニティは作るし、ライブで暴れまわるし、なんだったらモッシュはするし円陣組んで回ったりノリはパンクスやハードコアで完全に社会に対して反抗的だ。

 話は変わってドルオタにせよアイドルにせよ依存的な人って元気だなって僕はいつも思う。毎日SNSで自分が依存しているアイドルを拡散したり、ライブで暴れまわったり、そのアイドル集会へ行く金を調達しに働いたり本当にいい意味で元気だなと。
依存をしているから元気なのかそれともただただ好きな女の子の前で全力疾走するようなものなのか。

 思うに人間みな上で述べたようにどこかこの社会に対して反抗的、依存的な心って持っているんじゃないかな。
 神様の嘘。の音楽ってそんな人間たちの反抗的な部分の偏差値を下げることができる音楽だ。アイドルという括りのデメリットは黒服のドルオタ専用みたいなイメージがどうしても付きまとうけど、アイドルに本格的なEDMサウンドが融合したサウンドは人を選ばずいい意味で偏差値を下げることができる音楽である。ガンガンでゴリゴリサウンドに女の子が踊るだけで様になるし、観客はそれを見て踊ったり、暴れまわったりでみんなバカになってハッピーだ。それでいいじゃないか。

お祓いたい


 EDM、トラップにビッグルームってみんなパターン吉本新喜劇のシナリオぐらい一緒なんですよ。ぐーんってサイレン音が伸びてドラム連打でズドーンとドロップする。吉本新喜劇でいえば「お邪魔しまか?」って言って一同がズッコケルようなものである。だから頭の悪い人でも音楽的にまったく無関心なギャルでも「なるほどここでみんな盛り上がるのか」ってすごく親切な設計である。

 この曲もがっつりEDM設計である。謎めいた歌詞のリフレインとドロップ。「ここ!ここで盛り上がりますよ」と全てのパートが親切だ。だから皆平等に暴れることもできるし、踊ることも、バカになることができる。

嘘つきは神様の始まり。


 これはさっきの曲よりもキャッチーでノリやすいライブ映えしやすい四つ打ち楽曲に、和風メロディー。

 割とアイドルっぽいストレートな四つ打ちダンスサウンドだけど、アイドル楽曲にありがちな長時間聞くと脳細胞が死んでいくお電波的な楽曲じゃなくて、普通にダンスミュージックとして聞いてちゃんと楽しめる楽曲になってる。

特に途中でトラップのブレイクダウンをさむことでやっぱり無意識的に聴衆をノラせることができる。お約束の展開といえばそうなんだけど、お約束があるからこそこの展開が盛り上がるし楽曲として成立するのである。

神嘘術中


 スクリレックスが流行った頃に比べて脳みそがやられそうなこんな感じのワブルベースって随分と減った。

 かっこいいんだけど展開が難しい上に、リズムパターン、音がみんな同じに聞こえるので楽曲が全て同じように聞こえてしまう。だからみんな飽きて減っていったのかなと思う。

 そのうち、トラップサウンドの将来も同じようなことになるだろうな。ってもうなってるか。

終わりに
 それぞれの楽曲のコンセプトに嘘つきや指切り、お祓いとかあってオカルトな世界観。だけど神様の嘘。というユニットは“宗教アイドル”がコンセプトらしいです。

 アイドルって人をハッピーにしてなんぼの世界だと思うんですよ。宗教だって本来の目的は人をハッピーにすることだ。どちらもチェキにお布施、みんなハッピーになれるから金を払いアイドルにしても宗教にしてもファンが依存していく。

 世間ではこういった“依存”という状態は異常だという。別にいいじゃないですか依存しちゃって。僕は僕でアイドルではないにしろデスコアとかに依存しちゃってるわけだし。なのでみなさん勝手に依存して幸せになってください。

と今回は以上です。

それではまた次回。

田渕竜也のTwitter

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