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気が付けば無間地獄『ケミストリー·フラックス』

文:なかむら ひろし

 今回紹介するのは『ケミストリー·フラックス』というカードゲーム。元々『フラックス』というゲームがあって、そこから派生した作品です。「化学」がモチーフということで、「元素記号」や「化学式」なんかがメインになっているので、情操教育にもそれなりに役立つかもしれません。
 他にも自然をモチーフにした『ネイチャー·フラックス』やクトゥルフ神話をモチーフにした『クトゥルフの呼び声·フラックス』なんていう作品もあります。特にモチーフのない無印を含め、細かい違いはあるものの、基本的なゲームの内容は変わらないので、興味のある方はご自身が好きなモチーフのものを選べば間違いありません。まぁ私は別に化学が好きってわけでもないのですが。

◎コンポーネント

・カード100枚
・ルールシート1枚

◎プレイ人数 2人~6人

◎プレイ時間 5分~30分

◎準備

 基本ルールカードを真ん中に置き、各プレイヤーにカードをシャッフルして3枚ずつ配ります。残ったカードは裏面にして山札にします。(メタルールカードは選択ルールなので、使用する場合は基本ルールカードの横に置き、使用しない場合は箱にしまっておきましょう)
 最後にスタートプレイヤーを適当な方法で決めたら準備は完了です。

◎プレイの手順

 手番プレイヤーは山札からカードを1枚引き、手札の中から1枚プレイ、カードの効果を解決したら手番終了です。「30秒で覚えられるルール」と詠っているだけあって、非常にシンプルで分かりやすいですね。まぁこれが無間地獄への誘い水だったりするわけですが。

◎勝利条件

 ゲーム開始時には存在しません。どういうこっちゃ?トランキーロ!焦ってはいけません。まずはカードの種類を説明します。

◎カードの種類

○アイテムカード

 アイテムカードをプレイしたら、自分の場にオープンした状態で置いておきます。特殊な効果はありませんが、勝つために必要になります。それで勝利条件は?次に説明します。

○ゴールカード

 ゴールカードをプレイすることで初めて勝利条件が決まります。基本的には特定のアイテムカードが2枚もしくは3枚、自分の場に出ていたら勝利という感じです。ゴールカードがセットされた状態でアイテムカードを揃えても、アイテムカードを揃えた状態でゴールカードをプレイしてもオッケーです。
 間違えてはいけないのが、このゴールカードは個人の勝利条件ではなく、全プレイヤー共通の勝利条件になります。基本ルールカードの側にセットしてください。また、ゴールカードは基本的に1枚しかセット出来ません。新しくゴールカードをプレイした場合、既にセットされていたゴールカードは捨て札になり、勝利条件が上書きされます。

◎新ルールカード

 新ルールカードをプレイすると、その瞬間からルールが変わります。山札から引く枚数やプレイしなければならない枚数が変化します。

 ドローやプレイの枚数に関する新ルールカードは基本ルールカードに重ねるようにセットします。それ以外のカードは横にセットします。

 新たに新ルールカードをプレイした時、既にセットされている新ルールカードと矛盾してしまうことがあります。例えば、「2枚ドローする」という新ルールカードがセットされている時に「3枚ドローする」という新ルールカードをプレイした場合、ゴールカードと同様、先にセットされている新ルールカードを捨て札にして、ルールを上書きします。

 新ルールカードには手番プレイヤー以外の手札やアイテムカードの枚数を制限するものがあります。これらのカードが出された時はすぐさま手札やアイテムカードの枚数を調整しなければいけません。超えた分は捨て札にします。手番プレイヤーはルールで決められた枚数のカードをプレイした後、手札やアイテムカードの枚数を調整します。

○アクションカード

 アクションカードをプレイすると、カードに書かれた効果を発揮し、捨て札します。手札を増やしたり、アイテムカードを奪ったり、新ルールカードを破棄したり、様々なカードがあります。時にはプレイすると自分が不利になることもあります。

◎ゲームの終了

 誰かがゴールカードの条件を満たせば、その瞬間ゲーム終了です。そのプレイヤーが勝者となります。どうですか?簡単でしょう?

◎総評

オススメ度★★☆☆☆☆☆

○ルール自体は超簡単

 各カードに書かれた内容も理解しやすいので、経験者が1人でもいたら「とりあえず、やってみよう」で出来てしまうほど簡単なルールです。一見遊びやすいように思えますが、繋ぎとしてプレイするのはリスキーだったりします。理由は後述。

○勝敗もプレイ時間も運次第

 ルールも勝利条件もコロコロ変わるので、あっという間に終わることもあれば、いつまで経っても終わらないなんてこともあります。ドロー枚数が増えまくって、手札を全てプレイしなければならないルールになると、「ずっと俺のターンだ」状態になります。しかも、それでもゲームが終わらないという無間地獄に陥ることも。戦略も立てにくいので、運の要素が強いゲームが苦手な人はあまり楽しめないかもしれません。

○雰囲気を楽しむゲーム

 地獄のマゾゲー状態になっても、その雰囲気を楽しめるならオッケーだとしましょう。なるべく気心の知れた人とプレイするのが無難かな?あまりにもだれたら強制終了とかしちゃえば良いんですよ。もちろん、同意の上でですが。

なかむら ひろしのTwitter

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