地方からオーサカにやってくる不思議。そして吉本的ノリという闇
二日酔いの朝、何気なくテレビをつけてみるとZIPにめざましテレビがやってる。無駄に多い出演者にキラキラした雰囲気、それなりに嫌な気分になる。実に精神衛生によろしくない。なんでめざましテレビに尾崎世界観が出るんだ?そして二日酔いの頭痛はさらに増す。
不快感の原因は東京色だ。「ここのレストランがオススメで…」、「新宿のデパートに来ています…」。ずっとキラキラした東京についての内容ばかりだ。そりゃ、だって東京のランチとかイベントを紹介されてもこちとら関西だよ。大阪だよ。たこ焼きだよ。
なんだ?そんなタピオカ丼とやらを食べるために新幹線で3時間半かけて東京へ行けっていうのかい?キャッサバ由来のタピオカをご飯の上にのっけて食べるなんて、お好み焼きとご飯を食べる定食と同じだよ。よくもお好み焼き定食を笑ってくれたな。炭水化物同士でメシ食って何が悪い。こちとら現代病に恐れずにお好み焼きとご飯、そして焼きそばを食ってんだ。いやタピオカ自体は結構好きだけどな。
しかし、考えてみれば都市中心の話題って東京に限った話ではない。関西ひとつ見ても和歌山の南端でも京都の北端でも流れてくるものは大阪の情報ばかりだ。ちちんぷいぷいにせよ、おはよう朝日にせよ結局は主要都市からの情報発信だから関西でも大阪以外の土地は置いてけぼりになる。
関西人みんなタイガースが好きだと思うなよ。
ここからが本題になるんだけど、そんな関西を代表する大阪でさえも東京とは経済規模の差は大きすぎる。幕下と横綱、宇良と白鵬ぐらいの差がある。ありすぎる。
みんなが憧れるトーキョー。夜行バスで新宿についた早朝は街の大きさにマジでビビる。どこを見てもビル、何時になってもど深夜になっても人がいる。そしてカラスもでかい。なんだよあの大きさ、カラスじゃねぇよ。もはやガメラ3のギャオスだよ。
だけどなぜか街の規模は劣る大阪に夢を追っかけてきてやってくる人がいる。僕はそんな人を不思議に思ってしまうのだ。だってせっかく田舎からやってくるのなら一番栄えているところへ行った方がいいはず。
情報、人の多さ、イベントの多さは東京が圧倒的。本当にズルイレベルの極致集中。東京オリンピックのニュースが流れる度に東京を呪うのが大阪人の性。恐らく大阪人の99%以上はオリンピック失敗しろと思っていると思って間違いありません。そのぐらい東京へのジェラシーがすごい。
見たいライブ、行きたいイベントはみんな東京。なぜこんな粉もんと吉本とやしきたかじんしかないような大阪という街にやってくるのか?お笑い芸人ならいざ知らずだけど、漫画家志望やバンドマン志望、デザイナー志望の人がやってきたりする。やっぱり不思議だ。
昔、バイト先にいた沖縄からやってきたバンドマンにそんな質問をぶつけたことがある。すると「大阪が好きだから」とごく普通の回答が返ってきた。じゃなきゃこんな街に来ないわな。多分それ以外の理由はないだろうと思う。恐らく吉本的なノリに憧れてやって来たのだろう。
じゃあ上京することが一番の正解か?と考えると多分そうだろうと思う。
例えば大阪に来てまでバンドをやるメリットって考えてみてもなかなか思いつかない。ライブハウスの数、知り合える人の数、情報の多さ、イベントの数から考えて絶対に東京へ行ったほうがいい。そりゃ、東京へ行くデメリットもありますよ。家賃は高いから生活が苦しいとか人で溢れすぎているところとかいろいろありますよ。だけど同じ仲間を見つけやすいという一番のメリットがでかすぎる。
大阪に来ようとしている人に少し助言しておくと大阪という土地はメッチャ保守的な街だ。いつまで経っても街のイメージは吉本とたこ焼きとたかじん。アイドルはたこやきレインボー。そんな街で少しでも標準語を喋ろうなら「おい、東京かぶれ」って言って弾圧を食らうことになる。
どうやらたこ焼きを離乳食がわりに、吉本新喜劇を子守唄にしていた大阪の人たちからしたら標準語のイントネーションはカンに触るらしい。だから標準語を話す人はまずこの標準語いじりに耐えられるかどうかの試練がある。いじりという大義ができればいじめにならないというお笑いの闇の側面があるからね。
だから地方からの人で溢れている東京ならまだ保守性はマシではないだろうか?まぁ喋る口調でマウントは取られることはないだろうと思う。
関西の番組って四六時中、吉本芸人が出てくるから生活レベルで吉本的ノリを求められてくる。これが俗にいう「大阪っぽい」という特色。何かボケて突っ込んでオチをつける会話術、まるでトロピカルフルーツのような派手な色をしているババアなんかも恐らく吉本由来のボケなのだろう。
誰かがボケてツッコむこれをみんな待っているのだ。そしてこれがかなりめんどくさい。会話にオチなんてねぇよ。ていうかこれができないとこの街では生きて行けない。アメリカのゲットーでラップができないやつと同じだ。
だから大阪って地方から移り住んでくるのにかなり苦労すると思う。金銭で苦しむというよりこの吉本的ノリという生活様式に苦しむと思う。実際、「大阪が好きだから」と答えた沖縄のバンドマンは沖縄に帰っちゃったし。そんな街なんですよ大阪は。溶け込めない人にはとことん冷たい。人情もヘッタクレもない。
終わりに
ここで言っているのはお笑い目的以外で大阪という街を目指すのは考え直した方がいいということ。いや地方から出て来て頑張るところではない。
しかし例外はある。そう保守的すぎるゆえに、地元出身の人は熱烈的に応援されているのだ。僕の地元なんかでもYonigeが街をあげて熱狂的に応援されている。
とにかく大阪人という自分が好きでヤンキー的思考なんですよ大阪って。地元が同じだから自分と同じカテゴリーに勝手に入れてくる。だからめんどくさい。
あと大阪の郷土愛の話だけど、これもまたややこしい市町村ごとでの特色があるからこの辺りは省いておこう。
それでは