キャラが薄いのは自己主張をしないからだ

文:なかむら ひろし

 どうやら世の中にはキャラが薄いことで悩んでいる方がいるらしい。お笑い芸人じゃないんだからキャラクターとか考える必要なんてない、陰キャ上等だろなんて思うのだが、悩んでいる方がいるならお節介にも助けてあげるのが我々てんぷらの活動だ。

 そもそもキャラクターが薄いって何なんや?っていう話になるが、一般的にはあまり印象に残らない、面白みを感じない人のことを指すようだ。影が薄いなんて言い替えることができるのかな?

 そういうことなら、うってつけの先生がいる。ゴンズ様だ。何?ゴンズ様を知らない?そんなあなたは今すぐ『北斗の拳』を読んでくれ。

ゴンズ様

元拳王軍。拳王様が姿を消した後、ある街を支配していたお頭と呼ばれる男の部下。額に十字架の刺青を入れた髭面の大男だが、髪型はツインテール。話す言葉は名古屋訛り(?)で、人間を鎖で繋いでハンマー投げの要領で投げるエクストリームスポーツの世界記録(?)保持者。己の身体でケンシロウに記録を破られたが、蹴り飛ばしていたので、参考記録ということにしておこう。

 キャラクターが薄いとお悩みなら、ゴンズ様をお手本に外見から入ってみるのが手っ取り早い。ほんの数ページしか出てこないのに、見た目だけでここまで印象に残るキャラクターはなかなかいない。

 額に刺青を入れるのはなかなかハードルが高いと思うので、まずはツインテールにしてみよう。女性でも20歳を超えてツインテールっていうのはなかなか痛い感じになってくるのに、男性がツインテールにしたらもう痛いなんて通り越してキャラが立ちまくりだろう。髭も伸ばした方がベターだ。

 短髪の方は髪を伸ばすのに1年以上はかかってしまうと思うので、即効性を求めるのなら短髪でもできる何か目立つ髪型を各々考えてみて欲しい。ちなみにこれを書いている私はモヒカンだ。世紀末なら埋没してしまうが、現代社会なら目立つし、個性的だと言われるぞ。

 髪型を決めたら次は服装だ。世紀末のヒャッハーたちはとてもファッショナブルなので、好きなファッションを真似ると良いだろう。上半身裸にプロテクターというのがトレンドのようだが、既製品ではなかなか再現が難しそうなので、オーダーメイドが必要になりそうだ。金銭的に厳しいようであれば、無難(?)にパンクススタイルが良いだろう。

 奇抜な格好をすることで印象に残りやすい人になれるっていうことは間違いないし、即効性はあるんだけど、無理して奇をてらうのは精神衛生上良くない。好意的に受け止めてくれる人もいるかもしれないが、良くて変な人という評価、嫌悪感を抱かれたり、嘲笑の対象になるのが大半だと思っておいた方が良いだろう。

 そして、何より自分が望まないファッションを決めるのはなかなか辛い。もちろん奇抜なファッションに興味があるのなら、それはやったら良いと思う。世紀末ファッションじゃなくても。まあ、そんな人は恐らくキャラクターが薄いことで悩んでいないと思うが。

 じゃあ、ファッション意外でキャラクターを立たせるにはどうすれば良いかというと、適度に自己主張することだと思うんだよね。キャラクターが薄いっていうのは自己表現が苦手な人に多い。空気を読んで自己主張をせず、合わせてくれる人って基本的に良い人なんだけど、印象に残らないのは都合の良い人になっちゃってるからだ。

 他者の顔色を窺うような生き方をしてきた人がいきなり自己主張しろって言われても難しいと思うので、まずは本当にやりたいことはやりたいと言おう、本当にやりたくないことはやりたくないと言おうぐらいの自分の中である程度の線引きをしていくことから始めると良いんじゃないかな。

 キャラクターが濃いとか陽キャって言われるような人って、基本的に自己主張が強いんだよね。他人のパーソナルな部分にも土足でズカズカ入っていけるようなサイコパス性を持ってるわけ。

 例えば、相手の気持ちや都合を考えずにガンガン女性を口説こうとするチャラ男なんて絶対サイコだよね。あなたはそんなサイコ野郎を目指す必要なんてない。ただ、相手の気持ちや都合ばかり考えて、一切口説こうとしなければ、お付き合いは一生できないっていうのもまた事実。何かを手に入れるには自己主張は必要なんだよね。

 ちょっとで良いから自己主張すれば、相手もあなたがどのような人間か分かってくるかもしれない。そしたら、それがあなたのキャラクターとして他者から認識される。最初はなかなか勇気のいることかもしれないが、少しずつ頑張ってみて欲しい。

 もし、夕食に焼き肉に誘われてもあなたが中華を食べたいなら「中華が食べたいんだよね」と言ってみよう。その時は結果的に焼き肉に行くことになったとしてもそれはそれで良い。小さなことから始めてみよう。

 最後に自己主張する時のテクニックをひとつ。相手の意見を否定して、自分の意見の方が正しいなんて言い方をしないこと。相手の意見ももっともだが、こんな意見もありますよって感じでやんわり自己主張すると良い。

 それでは健闘を祈る。

なかむら ひろしのTwitter

ついったウィジェットエリア