君はゲイラに操られていないか?

文:なかむら ひろし

 先日、消費税が引き上げられたのは記憶に新しい。増税前になると決まって今のうちに買いだめていた方が良いモノとか情報番組なんかで取り上げられる。そして、今回もその影響かどうか知らないけど、駆け込みで様々なものを買いだめている人々の様子がテレビで流れていた。別に買いだめすることを悪いことだとは思わないが、さすがに30分以上もレジに並ぶってどうよ?とは思う。

 例えば、1万円分の商品を買いだめると、増税後と比較して200円の節約になるわけだけど、30分並んでたったの200円。時給換算すると400円で最低賃金にも満たない。レジ打ちしてる人の方が時間を有意義に使ってると思うのは私だけではないはず。

 その200円をどう捉えるのかは人によって様々なんだろうけど、自分にとって本当に有益な行動かどうかをきちんと判断することって大事なことだと思うんだよね。テレビで言ってたとか、皆がやってるからとかいう理由だけで同じように流されるのはいかがなものかと。そんなゲイラに操られてしまっている人はまず頭をフラットにすることから始めてみよう。えっ?ゲイラって誰だって?そんなあなたは今すぐ『北斗の拳』を読んでくれ。

ゲイラ

天帝軍の郡司令のひとり。人を操る催眠術の使い手。「息をするのも面倒でいやだ」と言うほどの怠け者で、自分の脚で歩くこともせず、車椅子を側近に押してもらって移動している。賞金稼ぎのアインを使って、ケンシロウ抹殺を目論む。モデルは映画『スター・ウォーズ』のジャバ·ザ·ハットそのまんま。

 どう見ても強そうじゃないよね。大体、あんな身体でまともに戦えるのかも疑問っていうレベル。そんなゲイラが郡司令にまでなれたのは催眠術が使えるからに他ならない。だけど、極度の怠け者である彼が前線で戦うことなどあるはずがない。どうやって認められたんだ?きっと戦闘以外で催眠術が役に立っているのだろう。

 彼の支配する郡都には賞金首を収容する監獄があると思われる。囚人を連れてきて、ケンシロウを倒せば、ひとつの郡都をくれてやるなんて話をしているし、アインやブゾリといった賞金稼ぎが賞金首を連れて懸賞金を受け取りに来ている。恐らくゲイラは催眠術を用いて囚人たちを大人しくさせることで反乱を防いでいるのではないだろうか。

 ただ、その催眠術がどれ程の効力があるのかはわからない。ケンシロウには効果がなかったわけだし、アインには「コケおどし」呼ばわりされている。催眠術のことは詳しく知らないが、「かかりやすい人」と「かかりにくい人」がいるっていう話だし、いろいろ怪しい部分が多い。そんな不確定要素満載のオカルトチックな能力が評価されたのは謎でしかない。

 まあ単なる人材不足なのかもしれないが、すぐに「〇〇できたら郡都をあげる」とか即決で簡単に言っちゃう連中が上に立っている組織だから、何かしらの成果を上げたというのは間違いないだろう。彼がどのような経緯で郡司令になったのかはわからないが、少なくとも「郡司令であるゲイラはただ者ではないに違いない」と思っている人は相当数いるはずだ。そして、そういう人が多数いるからこそ、ゲイラは常に催眠術を使わずとも郡司令という地位を保持し続けることができる。

 今の時代、テレビや新聞なんかで言ってることを鵜呑みにする人、特に若者は減ってきてはいると思うけど、ネットにシフトしてるだけのように思えるんだよね。結局、権威主義なのは変わってない。何を言っているのかより、誰が言ってるのかっていうのが大事。

 SNSでフォローしてる有名人なんかが拡散希望とかツイートしたら、特に何も考えずにリツイートしたってことはないかな?それで煽り運転の犯人に間違えられる人が出てきてしまったわけで。他にも有名人が絶賛とかネットで話題って商品が粗悪品だったなんてことはよくある話だよね。

 メディアに限ったことではないけど、情報っていうのはまず疑ってかかった方が良い。もっと頭をフラットにして、真偽を判断したり、自分にとって有益であるかを判断すべき。

 例えば、モノを購入するときにネットのレビューを参考にする人は少なくない。高く評価されている=良いモノであるとは限らないっていうのは、レビューを参考にして失敗したことのある人ならすぐ理解できる話だと思う。ただ、大多数の人にとって、本当に良いモノであったとしても自分の求めるモノとはズレていることもある。デザイン性を求める人と機能性を求める人とでは同じ商品に対する評価って少なからず変わってくるよね。

 本当は自分の足で行って、自分の目で見て、自分の手で触れるのが一番なんだけど、記者でもなければ、いちいちそこまで調べるなんてことは現実的には難しい。だからこそ他者からの情報はとても貴重。だけど、記者でさえ現場にも行かず、捏造してしまうわけだから疑うことが重要になってくる。

 あなたはボールペン1本買うのにどれくらいの時間をかけるだろうか?ボールペン1本ごときに悩んでいる時間が勿体無いなんていう方は相当数いると思う。ネットのレビューや友人からの口コミ、お店のオススメ、フィーリングなどでさっさと買うのも結構なことだ。だけど、その1本のボールペンが粗悪品でいざ使おうと思った時にインクが出ないとか、自分の手に合わなくて無駄に疲れるなんていう小さなストレスが積み重なり、仕事や人間関係なんかに気付かないうちに悪影響を及ぼすなんてこともあるかもしれない。一度、自分に合うモノを見付けたら、しばらくは同じものを買い続ければ良いわけだし、長期的に見れば悩んだ時間も有益だったりするかもしれない。

 皆もゲイラに操られないようにまずは疑うことから始めてみよう。様々な視点からロジカルに考えると、見えなかったものが見えてくるってことが結構あるもんだよ。

それでは健闘を祈る。

なかむら ひろしのTwitter

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