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バンド初心者がまず初めにやるべきコピバン楽曲5選

文:田渕竜也


 もう年の瀬ですね。テレビではケンタッキーのクリスマスのCMが流れ始めおでんや駅前のアル中おやじが飲みそうなワンカップが恋しくなる時期。今年の初めはいつものように「なにか新しいことを」、「今度こそフリーペーパーを」なんて言っている間にあっという間に一年がすぎてしまい、また来年もまるでメリーゴーランドのように同じことを繰り返す。

 そういえばバンド好きそうな人っているじゃないですか。バンT着てたり、髪型が特殊だったり、見た目だけバンギャだったり、音楽だけはやたら詳しいみたいな人。こういう人って意外とバンドを組んだことがない人が多い。もしくは今年こそはバンド組んでやりたいけど楽器が難しいとかメンバーが集まらないだとか、なにからやっらいいのかわからないとか多い。

 まぁはじめからオリジナルなんて確かに敷居が高い。そもそもバンドって人間関係何だからある程度、集団として意思を統一する必要はあるかと思う。全員が全員やりたいことをやってしまったら、スラップバッキバキのシューゲイザーみたいな轟音にグロウルボイスにアフロビートってキメラが生まれてしまう。こうなったらバンドはおしまいだ。だからバンドとしてのまとまりを作るのにはそれなりに時間は必要だ。そのためにもコピバンから始めてみるのがスタンダードではある。
 楽曲をコピーするといってもそりゃ初心者だからね。ドラクエでいうとひのきのぼうしかないような状態だからまずはスライムから倒していかないとバンドとして詰む。コピーする曲もいきなりJudy and maryとかOne ok rockを手を出そうとする人いるけど、そういう人を見ると「おいおいおい、死ぬわ」って思ってしまいます。
 自分の武器はひのきのぼうなのにいきなりゾーマまでは行かなくてもヤマタノオロチなんて最初っから詰んでる。まずはアリアハン周辺でスライムを狩ってメラを覚えたりどうのつるぎが買えるまで経験を積んでいこう。

 だから今回は初心者にも安心できるコピバン楽曲をご紹介したい。

The Stalin – ロマンチスト

 まぁそりゃ分かるよ。東京事変とか周りからかっこいいって言われるような曲をやりたい気持ちは。だけどまずおのれのレベルを考えれば力の差は初期ハンターハンターのゴンとヒソカぐらい、いやよくてドキドキ二択クイズで間違えたやつぐらいの距離がある。

 そんなわけで即席でできる音楽からコピーしていくことをお勧めする。その中でもパンク音楽、これを強く勧められる理由はいくつかある。

 楽曲が簡単というポイントは第一なんどけど、もう一点としてライブでのステージがやりやすいっていうポイントが大きい。

 例えば仮に東京事変のコピーとしてさらにもし仮に演奏もできたとしてもやっぱり弾くことに徹しすぎててステージが映えないケースって多いと思うんですよ。演奏陣はずっと棒立ちで下を向いていたり、ガッチガチに固まっていたり。それじゃあライブ映えはしないしみている側もつまらないしのれない。

 だから勢いだけでもライブ映えするパンク。これを強くおすすめする。バンドって結局うまく弾けることが重要なわけじゃないですからね。ミスなく弾ききっても観客をのらせることができなければいいバンドとは言えないですし。まずは勢いあるライブをやる方法を見つけてほしい。

 そんなわけでパンクということでまずはスターリンをやってみるというのはいかがだろうか?この曲なら結構知っている人もいるだろうし、日本のパンクロックアンセムでもあるし。

大丈夫、覚えるのはこの3つを守ればできる!
・B/G/AとF#/Gのコード進行
・じゃーじゃーじゃじゃっのリズム
・「主義者〜」って叫ぶところ

 ギターはパワーコードで充分。ベースも終始コードのルート追えばいいし、ドラムもエイトビート。
 単純だけど逆に言ってしまえこれさえ揃えばバンド音楽は完成する。これはその後のオリジナル楽曲やるときでも同じことだから勢いよくやってみよう。

The5,6,7,8s-Woo Hoo

 ただまぁ、「パンクって言ってもこれじゃあマジのパンクバンドじゃん。俺、もっと黄色い声援を聞きたいんや。」って思う人もいるだろう。

 そんなあなた方のために改めて色々探してみましたよ。ラッドウィンプス、マキシマムザホルモン。……うん、諦めろ。そもそも楽曲が難しい云々というよりもこの辺りのバンドはアクが強すぎる。それにバンド組みたては機材をろくに持ってないだろうし。

 そんな中考えたのがこの曲。キルビルでおなじみの曲です。ギターアンプのボリュームをフルスロットルでどかーんですよ。細かいフレーズとか抜きにすれば全然いけるだろうと思う。ドラムは少し苦労するだろうけどね。そこは頑張ろう。

 歌詞も「うふーうふふー」って言っとけばできるので、物覚えの悪いボーカルの方はご一考を。

少年ナイフ-Twist Barbie

 テンポにしても歌メロにしてもコード進行にしても初心者のための曲といってもいいと思うし、オルタナバンドの全てが詰まっていると言っても過言ではない。

 とりあずギターアンプのゲインを強くして轟音で弾ききってみよう。メンバーに「何の曲?」って聞かれたら「NIRVANAのマイナーな曲」って返しといてやれ。実際、カートコバーンもこの曲カバーしてたし。そんなこと誰も気にしちゃいないし、嘘にはならないはずです。

シーナ&ロケッツ – レモンティー

 あとこれとかめっちゃ盛り上がりそうですよね。男の人が歌ってもカッコ良くなりそう。

 シーナ&ロケッツ自身、経験値の高さから、リフはすごくシンプルなんだけどドラムのフィルの入れ方とかギターのフィルの入れ方キメのフレーズなど細かい工夫が多いし、どう考えてもコピバン向けの楽曲ではないけど、まぁソロの部分を完コピじゃなくてペンタトニックでそれっぽいことをやれば楽曲としてそれなりには様になると思う。

 「ふわふわしたサブカルちゃんみたいな女性ボーカルやって人気者になりたいんや」ってそんな人もいるやろうけどももうそんな量産型YUKIみたいなボーカルスタイルはもうレッドオーシャンだ。インパクトはないし、そんなコピバンを見たところで「あぁまたこういうやつか」で終わる。
 実際、僕の学生時代に知り合いのコピバンライブでほとんどがShakarabbits、go!go!7188とJudy and Marryで心底うんざりした憶えがある。そんなゆるふわちゃんの多い昨今の女性ボーカル時代だからこそ野性味のある力強いボーカリストをご紹介にあずかった次第あります。

 それとこんな感じのブルースロックを覚えると結構、スタジオで役に立ったりするのでこの曲でペンタトニックフレーズの有効な使い方を覚えよう。

The La’s – There She Goes

 邦楽もパンクもやだっていうあなた。あなたにはラップはできない。だからRage against the machineのコピーなんてやめておけ。

 ところで洋楽のコピバンといえばGreen dayとかOasisに走りがちだけどなぜかThe La’sの話は全然話題にならない。

 いやむしろ90年代のブリティッシュロックの古典にして原点。めっちゃ古いバンドだけど、メロディーが古臭くなく現代でも違和感なく演奏できるんじゃないだろうか?

終わりに
 とりあえず、即席でなんとかライブに間に合うであろう楽曲を中心にピックアップしてみたがいかがだろうか。

 バンドで何よりも大事なことは自分ができるんじゃくてみんなができること。自分一人がクリアしてもドラムがついてこれないと破綻するし、弾くことに徹しすぎると今度はステージが映えない。ただの演芸になってしまう。
 レッチリのコピーだってベースのスラップができてもジョンフルシアンテのギターを弾けないと破綻する。
 だから組み始めは無理をしないこと。みんながついてこられること。これ本当に重要だから大事にしてほしい。

 タイガーマスクだってあんな空中殺法を初めからできたわけじゃない。まずはマスクの被り方からだ。

 とにかくバンドを長くやっていればそのうち上手くなる。それぞれのレベルが上がればできる範囲も広がるし、曲を作る時の表現方法の幅も広がる。喜びも増える。それは間違いない。苦しいことが7割だけど。

 最後にだれでも失敗はあるしミスはある。僕の場合なんてギターのエフェクター繋ぎすぎて小さなシールドの線が切れて無音になったことがありますから。だから失敗を恐れないというのもバンドにおいての大事なところ。

 あとはガッツあるのみ。

 それでは今回はこの辺で。

田渕竜也のTwitter

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