奥義を伝承するのも楽じゃないよ
前回、友人のクソ上司の話をしたけど、仕事にしろ部活にしろ、ある程度続けていくと、必ず自分が上の立場に回ることになる。下っ端だった時は上司や先輩をクソだと思っていても、いざ自分が同じ立場になった時、部下や後輩からクソ呼ばわりされてるようじゃいけないよね。(いきなりクソクソうるさくてすまんな)
上司とか先輩としての仕事っていろいろあると思うんだけど、仕事を教えるっていうのがひとつの大きな仕事だと思うんだよね。仕事の教え方が下手だったり、それこそ友人の上司みたいに「仕事は教わるんじゃなくて盗め」みたいに言われたりすると、入ったばかりで右も左もわからないような新人は不安でしかないはず。
特に人手が不足している企業なんかに入ってしまうと、十分な研修が行われなかったり、上司は上司で自分の仕事で手一杯になってしまって、OJTで部下に仕事を教えるための時間を割くことができないなんて話もあるようだけど、そういう企業こそ教育に力を入れるべきだと思うんだよね。だから、人がすぐに辞めて、また人手不足になるというスパイラルに陥るんだよと。
技術の伝承が上手くいっていない企業は確実に衰退していくし、上司として評価もされないと思う。ラオウ、トキ、ケンシロウという逸材を育て上げたリュウケンのようにならないといけないんだよな。
え?リュウケンリュウケンを知らない?そんなあなたは今すぐ『北斗の拳』を読んでくれ。
リュウケン
北斗神拳第63代伝承者。男児に恵まれなかったため、ラオウ、トキ、ケンシロウを養子に迎え、徹底的に育て上げた。あれ?なんかもう1人いたような気がするけど、まあいいや。作中では既にお亡くなりになっているため、登場はすべて回想シーン。アニメ『サザエさん』の波平さんの回想シーン並みに髪の毛の量が安定しない。
作中の最強キャラクター3人を育てたわけだから、その育成能力は群を抜いているはず。素材が良かっただけとか、3人を連れてきたジュウケイのスカウト能力がすごいとか言われそうだが、いくら人事が良い人材を連れてきてくれたところで、教育担当者が無能だと才能は伸びなかったり、その企業に絶望して辞めていってしまうなんてケースはいくらでもあるわけで。まあ確かにあそこまで強くなったのは素材のおかげと言わざるを得ない部分もあるけど、やっぱり教育する人間の育成能力は重要と言わざるを得ないよね。
じゃあ、リュウケンはどのように3人を育てたのか改めて読んでみると、これがまた本当に酷い。10歳ぐらいの子供を崖の下に突き落としたり、ボッコボコに殴り倒したり、ラジバンダリ。今日日SNSに投稿したら炎上間違いなしのスパルタ教育どころかただの虐待。こんなことをしているから、ラオウが暴走してしまったり、ケンシロウからどんどん表情が失われていったんじゃないかと思うよね。
私も小学生くらいまでは教師に叩かれるなんて普通だったし、そこから学んだこともあるわけだけど、決して良い教育だとは思わない。世間的にもそんな風潮だろう。現代版リュウケンになるには違ったアプローチが必要だろう。そこで今回は私が教育する側に回った時に心がけていることを紹介しようと思う。良かったら、参考にしてみてくれ。
【全体像を伝える】
最初に仕事の全体像を伝えておくと、教育を受ける側が情報の整理をしやすくなると思うんだよね。何のためにやってるのかわからない作業ほど忘れたり、間違えたりしやすいって思わない?また、頭から順番に説明してしまうと「これがどうなるんだろう?」なんて考えながら話を聞いてしまうので、話を聞くことに集中できないんだよね。
例えば、お使いを頼まれたときに今晩はカレーだと伝えられていたら、いちいち牛肉、ジャガイモ、ニンジン···なんてひとつひとつ丁寧にメモしなくても買い忘れは起こりにくいと思う。だけど、カレーと伝えていなかったら、材料をひとつひとつメモしていかないといけないし、しゃぶしゃぶ用の牛肉を買ってくるなんてミスはカレーを作ることを知っていたら起こらないんだよね。
【詰め込み過ぎない】
人手が足りていない企業ほど、一刻も早く独り立ちさせたいので、詰め込み過ぎてしまいがちだけど、これが逆効果。一週間そこらで全ての業務を覚えて、あとは一人でやれなんて無理な話だよね。ひとつひとつ確実にできることを増やしていく方が遠回りに見えて実は効率的。
入ったばっかりの人って、自分が役に立っていないことに負い目を感じることが多いと思う。それがひとつでも確実にできるようになることで軽減され、自発的に次のステップへ進もうとしてくれるようにもなる。これってすごく大事なことなんだよね。
また、詰め込み過ぎると間違えたまま覚えてしまって、そこから致命的なミスに発展する可能性もある。そんな時に責任を取らされるのは上司であるあなたですよって話。
【同じ質問でも怒らず答える】
一度教えたことを質問されることってあると思うんだけど、その時に怒らないことも大事。最初に「一回しか言わないぞ」とかいうプレッシャーをかけるのも止めた方が良い。よほどヤバい奴でもない限り、何十回も同じ質問をしてくる人はいない。その時は手間でも後々自分が楽になるし、自分の評価にも繋がる。こういう上司、先輩がひとりいるだけでも、新人は本当に働きやすくなるよ。
【注意する時は柔らかく】
ミスをした時にいきなり怒鳴り付けたり、ネチネチした注意の仕方は良くない。ミスをすることに恐怖心を与え過ぎてしまうと、ミスをした時にパニクってしまって、冷静に対処できなくなってしまうんだよね。注意する時は感情的にならず、原因や対策、リカバリー方法なんかを柔らかく指導してあげた方が良い。普通は一回ミスをしたら、それが記憶に強く残るので、同じミスをしないように頭を働かせるようになるんだけど、注意の仕方を間違えると、自分の落ち度よりも「あの人怖い」「あの人ムカつく」なんていう方がより強く記憶に残ってしまうんだよね。
まあ、大体こんな感じかな。私が昔勤めていた企業の上司はリュウケンみたいに崖の下に突き落としてくるようなスパルタだったんだけど、それがすごく嫌だったんだよね。仕事を早く覚えることよりも「あいつムカつくわ」っていう感情が勝つぐらい。それがあったから、自分が教える立場になったときは反面教師にはなったよね。自分は気さくに接してるつもりでも、新人なんかは特に思っている以上にビビってたりするんで、そこら辺のケアは大事かなって。
あなたも現代版リュウケンとなって、ケンシロウやトキ、ラオウを生み出して欲しい。ん?ラオウはダメか?まあそういう私はやっぱり上司と折り合わずに辞めることになったわけだけど。
それでは、健闘を祈る!