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“邦楽ロック”とかいう弱さを売りにしたジャンルについて

文:田渕竜也


もし「世界ロック闘技武術大会」が開催されるなら我が国日本国はおそらく世界大会にこぎつける前に予選敗退ものだろうと思う。
Twenty one pilotsのドラマーなんかメッチャ強そうだし、Murcus kingのフロントマンもガタイがデカくて強そう。
まだ我が国のパンク、メタル界隈なら兀突骨とかワールドエンドマンとかマッスル要員が多数なのでまだ有望だけど、問題は”邦楽ロック”という分野にある。

そう、どう考えても”邦楽ロック”という集まりには強さが何一つ感じられないのだ。

邦楽ロックとは何か?

読んで字のごとく、もともとは日本のロックバンド全体を指す言葉だったはずだった。パンクだってメタルだって広範囲では邦楽ロックの一部だったし、ヴィジュアル系バンドもその内の一つだったはずだ。
だけどこの言葉がだんだんとロッキンオンに載っているようなバンドを指す言葉になってきたのは、ここ数年の話である。いつの頃からか細身のやつがテレキャスでなんかシャカシャカしてて、キノコヘアーのもやし男全般を指す1ジャンルとして形成され、現在のイメージにまで至っている。
だいたいkeytalkとかマイヘアイズバッド辺りのイメージを思い浮かべてくれたらわかりやすいかもしれない。このあたりが今日の邦楽ロック界隈の具体的なイメージ。

やっぱり弱そうだ。どいつもこいつもガリガリで中性的。女性ファンからは「かわいい」なんて言われて悦に浸る。こんなことがあっていいのだろうか?だって強さが微塵にも感じられないじゃないか。ケンシロウじゃなくても指先一つでダウンできそうだ。とにかく弱そう。

かっこよさの中には強さっていうものが組み込まれているものかと思えば邦楽ロック界隈ではそうではないらしい。むしろその逆。強さが全く何も意味を持たない弱さを押し出していると言っても過言ではないかもしれない。それが今の邦楽ロックの現状だ。

今のいわゆる邦楽ロックっていつ頃からこの”弱さ”の流れになったのだろうか?

決定打は活動がフェスやサーキットフェス中心で観客との距離がめちゃくちゃに近くなったことによるものが大きいんじゃないかと思う。キャーキャー言ってくれる黄色い声援が第一になってきたこと。まぁ女性ファンの獲得がノルマ達成のキーポイントだからね。弱そうな見た目を押し出して母性をくすぐってファンを獲得する。いかにも合理的。
だから演奏力なんて二の次になりがちでエモーショナル性だけが特化しすぎて演奏、メロディが中途半端ってケースが多いのも邦楽ロックの特徴でもあるわけだし。

先日、ワケあって、普段はハードコアとかデスメタルのイベントに行く僕なんだけどたまたま邦楽ロックと言われている人たちがたくさん出てくるイベントを見る機会があった。
だけどやっぱり感想は「みんな同じようなことやってんな」なんですよ。メンバーは細身のキノコヘアーか陰毛みたいなパーマで使っているギターはテレキャス、それでちゃかちゃかカッティングしているようなやつ。なんか熱そうなこと言ってたりしているんだけど弱そうだし雑魚そう。シャレにならんぐらい説得力がない。
もういい加減にしろよと。なんでどいつもこいつも同じような見た目なんだ。
なんとなく受け取ったフライヤーに載っていたツイッターなんかを覗いてみたら「2020年の目標は収益化」みたいなことが書いてあった。妙に売れようとしているのもこの界隈の特徴でもあるんですよね。
ハードコアなんかはハナからアングラっていうものがあるんだけど、不思議とそう言った量産型の邦楽ロックバンドって「ワンチャンあるんじゃねぇか」みたいな魂胆が見え隠れしているんですよ。だけどそんなバンドが売れる未来なんて見えてこない。

確かに今のトレンドである女性ファンから「かわいい」なんて黄色い声で言われるようなバンドって一定数のファンは獲得できるかもしれない。だけどそれってただの”弱そう”な邦楽ロックというフォーマットを模倣しただけであって音楽ではないし、長続きするような人気にはならないと思うんですよね。というより売れるために売れるダサいフォーマットを使うなんて考え方自体が浅すぎる。じゃあ次の邦楽ロックのトレンドが強さになったらめっちゃ筋トレすんのかって話。
日本語オルタナロックとか言っているバンドは注意したほうがいい。だいたいこの界隈に収まっている対したことのないバンドやりがちだからね。そもそもオルタナロックってなんだと思っているんだよ。まずはPixiesでも聞いてやり直せクソキノコ。

だけどこれをよしとしているのがフェスとかライブハウスに通いつめている「邦楽ロック好き」みたいなことを抜かしているファン層にあるワケでもあるんですよ。この何をやってもキャーキャー言ってくる存在がこの界隈をダメにする。だって売れるキャラ付けをするだけでキャーキャー言ってくれるんですよ。第二第三のマイヘア、第五のKeytalkであれば群がってくる。こんな楽な存在はいない。
だからここにウケようとバンド運営をしたら絶対に潰れる。だって彼ら彼女らはいわゆる弱そうな邦楽ロックバンドであれば満足する存在だから。そんなイナゴの群れは次のトレンドがきたらすぐにそっちに行ってしまう。僕はサブカル畑でその光景を目の当たりをした。だからすぐに食いついてくれる人たちにウケを狙っちゃダメなんですよ。多分、君たちを見ていない。弱そうな邦楽ロックの程をなしているかだけなんだ。あいつらが見ているのは。

終わりに

別に他者の音楽なんだから僕がとやかくいう筋合いはないかもしれないけど、今のこの邦楽ロックという流れは正直うんざりさせられるところがある。

だからManowarを聞こう!もっとマッスルを!それでは!

田渕竜也のTwitter

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