なんだか知らないうちにアメリカで80sポップテイストが流行ってる
そういえば未だにトラップを聞いている人っていますか?
トラップと聞いてピンとこなくても、こういうのを聞けばすぐにわかるかも。
この手のドラムがチキチキ細かいビートと深いバスドラとベース。これがいわゆるトラップサウンドってやつです。
ここ数年のUSヒップホップ界においてどれを聴いても全部これじゃねぇかってくらいこのサウンドばかりだった。
まぁ、ラップの表現が頭打ち状態の中でこういったサウンドはめちゃくちゃ優秀だったとかと思う。深く太いビートでEDMファンもノラせることができるし、曲も簡単にできるし、音楽の知識がなくても最悪ドラムパターンだけでも作れる。
とにかく製作者が手軽に作れて、さらにその上、ラップのスキルもそこまで求められていない。ある意味ではスター状態のマリオ。
そんなトラップがUSチャートを席巻していたこともあって、どのポップスも元バンドだったやつもデスコアだったやつも、みんなトラップサウンドを取り入れた結果、「どれも同じじゃねぇか」ってなった。そんな話みもう2年ぐらい前の話だ。
そう、このトラップサウンドはもう古い。多分、トラヴィス・スコットあたりからブームが始ったとすれば、チャートを席巻するようになってもう約5年ぐらい経っててようやく沈静化が始まった。
そして最近になってUSチャートに新たなブームが巻き起こっている。
本題はここからです。トラップの次に流行しているのは、80sUSポップスリバイバル。
思えば80年代アメリカって強い憧れがあったかと思う。
ゴールデン洋画劇場、金曜ロードショーで流れるハリウッド映画、荒野を馬で駆けるタバコのCM、MTVで流れるミュージックビデオ。なんかよくわからないけど謎のかっこよさがあって80年代のアメリカエンターテイメントのとんでもない強さを極東の日本で強く思わされた。
時代というものは流れて00年代に入り、アメリカは9.11という未曾有の襲撃を受けることになる。そしてイラク戦争という失敗。そのあたりだろうか白人でマッスルなハルクホーガンみたいな強いアメリカ像がもろくも崩れ去ってしまったような気がする。
何というかもっと等身大の近所にいそうなにいちゃん像。それがEMINEMだったりすると思うんだ。だから00年代あたりからUSポップスはヒップホップがやたらとチャートインすることになったんだろうかと。
そんなヒップホップの時代が約10年以上も続いてやっとそれが終わろうとしている。いま、アメリカのポップスで何が起きようとしているのかといえば世界を席巻したあの時代の音楽のルネサンスなのかもしれない。
というのもいま、アメリカでは80sポップス風の楽曲がチャートインしていっているのをご存知だろうか?
そう、あのA-haとかChicとかあぁいう日本でディスコに踊り狂っていたような音楽だ。
その伏線って実は7年ぐらい前からあったんじゃないかと思う。bruno marsの登場である。
Bruno Mars – Treasure
この曲を聴いてもらえばわかるかもしれないけど、完全にディスコ。
だけど歌い方なんというかヒップホップの影響があって完全に古い音楽というより懐かしさを感じるポップスにしっかりと落とし込まれている。これがBruno marsの凄さ。
このかつてMTVで繰り返し流れていたような80年代特有のディスコサウンドがこの2020年代を牽引していくのではないかと言いたい次第であります。
The weeknd
例えばこれなんかは疾走感のある8ビートドラムにキラキラシンセで完全にA-haサウンド。
今っぽさは全くなく誰がどう聴いても80年代の音と答えるだろうと思う。
もうトラップとかラップとかいう以前に80年代ポップスをこの2020年にぶち込んできている。
ということでここからさらに今の80sリバイバル楽曲を紹介していこう。
Dua Lipa – Don’t Start Now
Dua lipaの音楽性をジャンルでいうならディスコに分類されると思うんですが、一定のリズムの下、しっかりとタメるポイントを作っているてクラブ的な要素もちゃんと取り入れている。
The Weekndがガッチガチの80sに対しまだところどころEDMっぽさもあり緩めの80sだけど、他の楽曲にベースのリフが主体の楽曲とかあって、多分、Another bite of dust期のQueenの影響が強い。
こういった80sっぽい音楽性って今の若者にとってどういう捉え方をされているのか、僕はもう若くないからわから推測でしかないけど、まぁ単純に短い動画内で踊りやすいというのが感覚なのではないだろうか。
このレトロなサウンドが若者トレンドに上がるのは非常に面白いと思う。
Harry Styles – Adore You
聴けばわかるけどドラムがすごく80年代してる。
何となくスタイルオブカウンシルとかtear for fearみたいなブルーアイドソウルを彷彿させるようなサウンド。
メロディーラインもそれまでUSで流行るようなリズムありきではなくしっとりとした欧米的なメロディーラインが結構印象的。本当、ヒップホップの要素はほぼない。
これが今売れてるのがある意味、ヒップホップ界がそろそろ幕を閉じようとしてるのではといった印象も感じる。
Doja Cat – Say So
上で紹介してきた人たちのほとんどがアメリカの人ではなく欧米だったりカナダだったりするから必然的にヒップホップ要素が薄くなるけどこのDoja Catはロサンゼルスのラッパーということもありこの曲はバリバリのヒップホップだ。
しかし、この曲に使われているトラックに注目してもらいたい。どうですか?どう聴いてもトラップじゃないでしょ?
何となくソウルトレインとかのオープニングに使われてそうなファンキーなトラックが印象的でこちらも80sリバイバルといってもいいかと思う。
こういったヒップホップガチ勢が80sクサさを引っ張ってくるのは、そういったヒップホップ界隈にもその地盤が固まってきたんじゃないかなと思う。
終わりに
以上が今流行している80sリバイバルです。
この流れもまだまだ始まったばかりだと思うので、おそらくこのままヒップホップ界隈のトラックでもキラキラシンセや機械的な8ビートを取り入れてくるんじゃないかなといのが僕の予想です。
まぁ、世界がどうなるかわからないから当たるも外れるも八卦ですがね。
それでは。