/ 現代社会の闇

誹謗中傷から身を守る方法

文:なかむら ひろし

 毎年、約2万人が自らその命を絶つ自殺大国、日本。そんな我が国を新型コロナウイルスが襲った。経済活動が制限され、貧困に陥る人々が増えることで自殺者が増加するのではないかと言われていたわけだが、自粛期間中の自殺率は大幅に減少したという。

 日本における自殺に至ってしまった原因として多いのが、上から健康問題、貧困、家族関係、仕事となっている。自殺の原因は複合的なものなので、どれかひとつが全てだというわけではない。過重労働により勤めていた会社を退職、それによって貧困に陥り、家族関係が悪化、ついには鬱病を発症して自殺というケースは健康問題が直接的な原因かもしれないが、過重労働がなければ、自殺は起こらなかったのかもしれないと考えることができる。

 今回、自殺率が低下したのは何故なのだろうか?まず、健康問題だが、コロナ禍が原因で健康問題が減少したとは考えにくい。次に貧困だが、これもむしろ経済的に苦しくなった人々が増えたわけだから適当ではなさそうだ。いや、経済的に苦しんでいるのは自分だけじゃないという、ネガティブな安心感が自殺を食い止めた可能性はなきにしもあらずか。家族関係にしても外出自粛で一緒に過ごす時間が増えてギスギスするようになったなんて話もあるぐらいだし、やっぱり仕事のストレスが軽減されたというのが大きな原因なのではないかと邪推してしまう。

 我々が生活していて、一番ストレスを感じるのは対人関係だと思う。特に職場や学校というのは自由が制限され、ストレスを受けることが多いはずだ。テレワークの導入や休校はこの対人ストレスを軽減するには最適なのだろう。嫌いな人間と顔を合わせないで済むって素晴らしいじゃないか。学校は別にしてもテレワークが可能なら続けたら良いと思うよ。本当に今まで無駄な出社をさせていたんだなと痛感する。やろうと思えばできるってことが分かったのはコロナ禍による産物だろう。しかし、緊急事態宣言が解除された途端にまた無駄な出社をさせる企業も···って話は今回の話と趣旨がズレるので止めておこう。

 ただ、嫌いな人間と顔を合わせなければ、対人ストレスがゼロになるわけじゃない。SNSの存在は無視できないわけで。先日、プロレスラーの木村花さんが自殺で亡くなった。私はこの方のことは詳しく知らないが、どうやらSNSによる誹謗中傷が原因ではないかと言われている。これがきっかけなのか、SNSによる誹謗中傷の厳罰化などが検討されるようになったという。

 普段、社会問題に何の手も打とうとしない国も人が死ぬと動くようになるっていうのはいつものパターンだよね。特に若い女性が被害者となれば尚更だ。しかし、この誹謗中傷の厳罰化っていうのから何とも嫌な香りがする。どこからどこまでが誹謗中傷の範疇に収まるのか?難しいよね。ハラスメントの問題とも似ている。ここら辺のガイドラインをきっちり用意できるなんてとても思えないわけで。

 そうなってくると、我々も誹謗中傷を受けるリスクはもちろん、加害者となって、起訴されてしまうリスクだって当然生まれる。当サイトも名指しした方から誹謗中傷と言われてしまう恐れだってゼロではないよね。ここでは誹謗中傷から身を守る方法を書いておこう。ポイントは大きく分けて2つある。

1.きな臭い話題には口を挟まない

 賛否が別れるような話題っていろいろあると思う。代表的なのが「差別」関連の話だよね。私自身、うんざりする話題の大半がこれ。自己責任論なんかもそうかな。こういう話題は様々な意見を持っている人がいる。下手なことを言ったら、自身は些細な一言だと思っても針のむしろになってしまう可能性はゼロじゃない。とにかくセンシティブな話題には口を挟んではいけない。その正義感は危険。

2.嫌いな人間を視界に入れない

 あなたに怒りの感情を呼び覚ませるような人間を見ないことで、誹謗中傷の加害者となることを防ぐだけでなく、貴重な時間を大変有意義に使うことができる。Twitterならトレンドワードを開かない、LINEならブロック&ミュート、YouTubeやテレビなら嫌いな有名人の出演する動画、番組を見ない。嫌いな人間を観察し続けるなんて精神異常やで。そうでなければ、もうファンだよ。素直に応援しようぜ。

 この2つを実践するだけでかなり状況は変わってくると思う。究極、SNSなんてやらないって選択肢もあるが、なかなか難しいと思うんだよね。特にLINEなんかは仕事や交流に必須とまでは言えなくても、やってないだけでかなり変人扱いされるので。TwitterやInstagramなんかに関しては、己の精神状態によって、開くか開かないか判断しても良い。ポジティブな感情で溢れている時は開いても良いが、ネガティブな感情で溢れている時は開かないなど。

 自分にとって負の感情を抱かせるような情報は全て遮断するという方法は即効性があって、効果的ではあるんだけど、それは最早仙人のような生活だ。大多数の人間がそうなってしまうと、誰も社会問題に目を向けなくなり、逆に皆の生活を苦しいものへと変貌させてしまう危険性を孕んでいる。

 モラルやマナー、他者への寛容は学ぶことでしか得ることができない。そういう意味では我が国もまだまだ教育レベルが高いなんて言えないよな。愚民にならないためにも日々勉強ですな。

なかむら ひろしのTwitter

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