自分の意見を言わない人を信用してはいけない

文:なかむら ひろし

 前回、「他者を納得させる方法」について書いたんだけど、そのひとつに「自分の意見を交える」ということを挙げた。当サイトではもっと自己主張しようぜって話を何度もしているが、今回もそのシリーズ。本当に自己主張っていうか、自己表現が上手くできないと損するんで、何度でも書いていく。

 今回は自分の意見を言わないことによるデメリットを挙げていこうと思う。日本は文化的に自己主張が難しいなんて言われるが、それを乗り越えて、少しでも考えが改まってくれたら幸いだ。

 「いやいや、自分はそんなことはない」という方は別にそのままで結構なんだけど、意外と多いのが「勝ち馬に乗ろうとする」人なんだよね。風見鶏のように場の多数意見を窺って、それに乗っかろうとする人。それは自分の意見を発信してるわけじゃない。フリをしてるだけ。そんな人は信用に値しないぞ。

 まず、自分の意見が言えない原因として考えられるのは、「バカだと思われたくない」「センスを疑われたくない」という恥を恐れるタイプだ。的外れなことを言うと、それはまあ恥をかくわけだが、まだまだ傷は浅い。分かったフリをする方が地獄。納得できないまま、他者の意思決定に従って行動するのって辛いよね。しかも、そういう人に限って、上手くいかなかった時に後から文句を言ったりする。

 変なプライドは捨てて、「自分はバカでセンスないから、納得できるような説明が欲しいです」ぐらいのスタンスの方が双方ともに有益だよね。もしかしたら、グッドなアイデアと採用される可能性だってワンチャンあるで。まあ本音を言うと、あまりにも的外れな質問で会議なんかを引き伸ばされるのもなかなかのストレスなんだが、後から大きなミスでも犯して問題が起こるよりかはマシ。そういう寛容さがないのも原因なんだよな。

 次に考えられる原因は「場と違う意見を言って揉めたくない」ってところだ。これもさっきと同じで、上手くいかなかったら、どうせ後から文句を言って、揉めることになるわけだから、先に言っとけって話だよね。何でもかんでも他者の意見に従ってると、ちょっとしたストレスが累積していく。自分の意見を言わないのは自分自身を徐々に絞め殺していくようなもの。自分の意見を言っても、何でも頭ごなしに否定されるような環境なら、それはその環境があなたに合わないだけ。そんな人とは離れることをオススメする。

 最後は「責任を取りたくない」という理由で自分の意見を言わないっていうパターン。これをやられると本当に面倒なんだよな。どんだけ無関心なんだよと。確かに責任から逃れて、他者の意思決定に従うのは、ある意味では楽かもしれない。だけど、それは一生他者に使われるという意味でもあるわけだ。責任の大きさはリターンの大きさでもあるし、決定権を持つ者が強者なんだよな。

 こちらの話を本当に理解してるのかわからない、こちらの話に穴があることがわかっていても揉めたくないからと指摘してくれない、失敗しても責任は取りたくない。こんな人をあなたは信用できるだろうか?大きな仕事を任せようと思うだろうか?自分の意見を言わないと、一生搾取される側の人間であり続けることになるよね。

 じゃあ、自称ご意見番みたいなズバズバモノが言える人が偉いのかっていうと、そういうわけでもない。極端な話、こちらの意見を否定ばかりして、自分の意見が通るまで引き下がらない人って、正直うざいよね。会社で偉いさんにそんなことをしてたら、恐らく出世できないだろうし、何事もバランスだよね。ただ、そんなリスクを取るからリターンが取れるのも事実。それを忘れてはいけない。

なかむら ひろしのTwitter

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