紅白のOfficial髭男dismにみるライブバンドが不利である現実
年が明けて結構日が経ちましたが、みなさんはどうお過ごしでしょうか?まぁ世間では「人々の暮らしが変わり」なんて言っているけど、勝手に変わったのは僕ら人間側の話なわけで、それでも世界は廻り続けるわけでまぁどうやら2021年も何やら騒がしい一年になりそうですが本年も何卒よろしくお願いします。
それにしても、年末年始というものは早いものですよね。
餅食って、酒飲んで、また餅食っているうちにもう年末年始というものは過ぎ去っている。体型がジャバザハットになってしまって今は何月で何日で何曜日かも感覚がなくなって、気づいた頃には「時を戻そう」なんて言ってしまった時点でもう時はとっくにすぎている。そしてまたいつもと同じ終わりなき日常の中で労働に勤しむこととなるのである。
ところで昨年の大晦日はみなさんは何を見ていたでしょうか?
もはやオールスター感謝祭化したガキの使いでしょうか?それともベタな紅白歌合戦でしょうか?もっとひねたところで言うともはや格闘技とは言えないただのショービズ化してしまったライジングでしょうか?
僕個人としてはガキの使いは大御所に叫ばせば笑えるだろうという筋書きがどうにも面白いとは思えないし、ライジングに関してはあれを格闘技といってもいいのかも難しいところ。
なんでユーチューバーの遊びを見せられなならんのだ。もっと格闘技としていい人っているだろうに。
少なくともボクシングの井岡はかっこよかったぞ。
ちなみに昨年の大晦日、僕は紅白歌合戦を見ていました。
面白かったですよね昨年の紅白は。
大泉洋のボケはちょっと外してしまっている感は否めなかったけど、瑛人やYoasobi、NiziUなど昨年を彩った人たちやいつもの定番を聞かせてくれる大御所まで一堂にこの日のためにNHKに集まっていたからやっぱり番組としては一強になるのは当然のことだろうと思う。
それも今年に関してはダンスやモノマネなどSNSでバズった人たちがほぼ主役だったからやっぱりそのあたりの注目度も高かっただろうと思う。あとRadiocrazyもカウントダウンジャパンも中止だったのも今回の紅白が注目された追い風になったと僕個人としては思っています。
今回の紅白、みなさんは誰がベストアクトでしたか?五木ひろしですか?それとも三山ひろしですか?
色々豪華なメンツの中、僕的には今回のベストアクトはOfficial髭男dismでした。
いやマジでかっこよかった。一度でもいいからあんなかっこよくイヤフォンモニターを外して見たいと思いました。
けど、その後インターネットでのOfficial髭男dismの評価はイマイチ評価が高くなく、むしろ批判のマトとなっていた。
その内容も「声が出てない」とか「音外してる」とか。
思ったんですけど、紅白だけじゃなく近年のメディア上の舞台って完璧な「歌」を求められてしまうのではないだろうか。
完璧な「歌」というものはつまりは音源通りの音楽。
これって要はライブバンドにとってはかなり不利な舞台になるわけなんですよ。
そもそもバンドボーカリストとボーカリストは違うし、バンドメンバーもいわゆる楽器のプロではなく、バンドのプロだから。ここのプロの違いって、簡単にいえばバンドという集合体と個人技としての違いだ。だから根本的にバンドとソロボーカリストって全く別物と考えたほうがいいかと思う。
思い返すとこの紅白という舞台に出てきたライブハウスあがりのバンドってここ数年、よく火傷して帰っていく。それはサチモスしかりKing gnuしかり、皆、不評というレッテルを刻印されてしまっている。それもこれもバンドというものを体現しようとしたからだ。そうなると一般視聴者が理解しにくい世界観に置き換わってしまう。
それはなぜかと思えば、さっき言ったように一般側の完璧な「歌」を求める姿勢の問題なんですよ。
一般とはライブハウスとかライブというものをあまり経験してこない層のこと。
まぁライブハウスという空間って結構特殊なもんで、うまいだけのバンドが光るような舞台ではない。つまりはどれだけ身を削って音を表現しようとする部分が大きい。
多分だけどYoutubeやSNSが広がりすぎた結果、生の音楽を触れなくても音楽に関してはそれなりに知識を持つ層が随分と増えた。ライブハウスなんかは行ったことないけど、バンドが好きだとか、なんとなく知っているような人たち。
これがFirst takeなんかが流行ってきたところにも繋がってくるかと思う。
だから「原曲通りの音程じゃない」と言って批判する人たちって言ってみれば見ればセックスもしたこともないのに挿入を語っているような人たちだ。
だから音楽童貞や処女が増えてしまったばかりに完璧なものを要求されるようなったのではないかと思う。現場を知らないから無想でミスのないものをいいとすることになってしまう。言うなれば童貞の人ほど容姿に厳しく、処女の人ほど他人に対する期待値が高いのと同じである。
バンド音楽ってとにかく魂を体全体で表現する音楽じゃないですか。そうなるとメロディーラインを外してでも気持ちを込めるわけですよ。バンドってそう言った想定外なところがかっこいいわけで、それがないバンドってただのシーケンサーと同じなんですよ。ここがライブハウスあがりの不利になるポイント。
だけど世間というものはそこを見れないんですよ。見れて顔が可愛いとか歌がうまいとか。そんなもんな。
僕がOfficial髭男dismをかっこいいと感じたのはこのライブの感覚を大きな舞台で出してくれたから。そこに「かっこいい」と感じたわけなんですよ。
結局は自分たちの想定内で完結できることじゃないと今の時代にフィットしない。だから今後、ライブバンドが紅白に出るのって結構リスクが伴うかもしれないというお話です。