ギターがうっせぇわ!死にかけていたロックが復興しつつある。
ロックは死んだってよく言われるけど一体何度死んでいることだろうか。
そんな発言を最初に言い出したのは確かSex pistolsのボーカル:ジョン・ライドンだったと思う。
全米ツアー後のシド・ヴィシャスと他のメンバーと仲違いしてグダグダになったSex pistolsの解散宣言時にそんな強烈な一言を放った。この辺りの詳しくは映画のシドアンドナンシーでも見てくれ。多分ネットフリックスか何かにあるはず。映画自体は面白いですよ。
まぁ70年代終わりぎわなんて当時はロックが終わるなんて想像もされていなかったと思う。
MTVの登場とかでロック音楽はどんどんと産業化されていっていたんだからその一言はセンセーショナルだったんだと思う。
そんな衝撃の一言から大体40年以上がたった。結局、ロックは死ぬことはなかった。
その後もアクセルローズとかカートコバーンとかロックスターは生み出されていったから。
それからはというものもう閉店商法とでもいうぐらいロックは死んだというキャッチコピーはもはやただのスローガンみたいな感じになってしまって結局はなかなかしぶとく死ぬことはなかった。
おそらくジョンライドンが放った「死んだ」という意味にはマーケット化していくロック事情も捉えていたんだろうと思いますけどね。
それにしてもロックという音楽がなかなか死なない理由には他にもある。
まず、音楽面で言えばギターサウンドが前提にあるということ。
これはなんやかんやギターの音源って打ち込みでは倍音が違う。例えばシンセに入っているギターのプリセットを弾いてもやっぱり生のギターのような音にはならないし、最近のDAWで使用するソフトでも確かにギターがあるにはあるけどやっぱりギターのサウンドだけは生の音だ。
だからギターサウンドという前提になれば必然的にロックサウンドになってしまうという点でロックが死ななかった理由の一つだろうと思う。
それからバンドというストーリー性が強いということ。
友達でも親族でもなんでもない全く別の関係性が持つストーリー性ってただの歌うまシンガーでは作り出せない。そんな集団がツアーでライブ周りをするのだからやっぱりバックグランドが強いのである。
ほら定期的にバンドのストーリーが映画で大ヒットするじゃないですか?これってポップスでは無理なんですよね。
ストーリー性というよりアイドルとしての成り立ちが強いから。
しかしである。
近年になってEDMやトラップの台頭がロックに致命傷を負わせることになった。
理由としてはEDMの編曲文法がギターサウンドが前提にあるロックとの相性の悪さとギラッギラなシンセサウンドと分厚いバスドラ音源が一躍トレンドとなっていたからだ。
EDM以降、音楽というものが聴かせるものから盛り上がるだけのBGM的なった。その結果、メロディとかテクニックというよりもパーティでどれだけ観客を踊らせるかが重要になった。これはロックバンドの存在意義としては完全に致命的なんですよね。もはやバンドスタイルじゃなくてもCDJで音源を流してそれなりに何かをやっている風であればみんなが盛り上がるなら別に楽器を持たなくてもいいわけだし。それでもEDMのイベントに来るようなパリピな人たちは満足するわけだし。
そうなるとギターサウンドという前提は邪魔になるし、バンドスタイルというのも邪魔になって来る。その結果、トップチャートに入ってくる音楽からバンドというものはどんどん消え失せていっていたのである。
そんなパーティー志向のメインストリーム音楽を吸収しようと当のロックバンドすらEDMを取り入れてギターを弾かなくなった。コールドプレイやimagine dragonsなんかはその筆頭だろうと思う。
Imagine Dragons
だから本当に近年は死んでいたんだろうと思う。
それにヒップホップがメインカルチャーとして台頭し、映画の8mileが成功してからヒップホップの持つ下層から成り上がるバックグラウンドも強烈なストーリー性となった。そんなバックグラウンドという部分ではヒップホップカルチャーに追い抜かれていく形になってしまった。
だから近年、それまで代わりになれないものが新しく台頭してきたから本当にロックが死んだも同然のような時代になっていたのであった。
しかしである。
今、その死んだと思われていたギターサウンドが復活しつつある。
それもあの一番ギターがやかましかった90年代のオルタナティブなあのサウンド。あの頃のサウンドが復興しつつある。
その筆頭になるのがこのMachine Gun Kelly とbeabadoobee である。
Machine Gun Kelly なんかは完全にBlink世代直撃だし、beabadoobee はスマパン世代にど直球かと思う。
Machine Gun Kelly
Machine Gun Kelly自身、元々はラッパーだったけど2020年にいきなりど直球のポップパンクアルバムを発表したから、彼の衝撃はとんでもなかったかと思う。
beabadoobee
このギターサウンドが復興してきた理由はなんだろうか?
やっぱり90年代から00年代の音楽を聞いていた親の子供の時代になってきたからじゃないかと思う。
思い返すと、例えばカーステレオから流れてくる音楽って妙にずっと心の中にあるじゃないですか。その中でもなぜか時代は全く違うのになぜかずっと頭の中にある音楽。
多分、誰しもがそんな音楽があると思う。ミッシェルのCR250を聞くと車酔いを思い出す人もいるかと。
車社会であるアメリカなんかはそういった車から流れてくる音楽の影響ってなおさら強いんだろうなって。
これはサブスクでは作れないんだろうと思うんですよ。なんしか車の中って何にもないから音楽を聞くしかやることがない上にだれかの音楽を半ば強制的に聞く羽目になるなんて車のカーステレオでしかできない。
だから親が聞く音楽ってそれだけ影響力が強い。
そんなわけだからロックというものは意外と死なない。
おそらく親から子へと相伝される一種の伝統芸能とでも言えるぐらい古典となったんじゃないかと思う。
だからロック音楽ってもはや流行りとかの時事ネタではなくなっていて、能とか浪曲とかそんな感じになっているんじゃないかな。
ほら、としを取ってくると演歌が聞けるようになってくるっていうじゃないですか。
これって演歌が古典化しているからなんですよ。演歌には時事性がない。つまりはここでいっている古典化ってどういうことかというと時事から逸れて残っていること。
だからロックっていう音楽って流行っているとかそんなものじゃなく時事から逸れた文化になってきたということなんですよ。
多分これからこのロック音楽というものは進化はしないと思う。それはもはや時事がなくなったからであって死んだことではないのである。
だからロックスターというものはおそらくもう出てこないと思う。カートコバーンやアクセルローズのような燃えるようなスターではなく、ずっと残っているまぁカントリー音楽のような感じになっていくかと思う。
カントリー音楽もなんとなくの要素としてはあるけど、カントリーのスターなんてのはいない。テイラースウィフトなんかはカントリーっていうけどあんなのははじめっからポップスだとは思うけど、多分、アメリカ国内にあるカントリーの前提としてアコギを弾いて田舎臭ければまぁカントリー音楽っていう基準なのだろうかと思う。
まぁこのスターの不在というのがこれからのロック界隈の大きな問題点ではあると思うけどね。
今日はこの辺で
それでは。