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男性アイドル戦国時代突入。戦乱をどう生き抜くか?

文:田渕竜也


独裁者が失脚した後というものは、内政が混乱しがちである。
企業でも芸能界でも権力者が消えるととんでもない混乱が生じる。

パッと思いつくところでいうとリビア。
あの北アフリカの地中海に面した国だ。今から約十年ぐらい前にカダフィ大佐っていう独裁者を倒して民主主義にしようなんて動きが民衆が湧き上がって結果的にカダフィ大佐は殺されることになった。
まぁこの話のオチとしては民主主義という言葉を盾に民衆たちがめちゃくちゃな行動を起こしたから国はめちゃくちゃになったっていうのは記憶している人も多いだろうと思う。
この出来事をアラブの春と革命時は言われていたけど蓋を開けてみればカオスだった。

思うに独裁者っていう権力が集中しているからその権力が倒れると抑え込まれていた私利私欲的なものが一気に噴出する。
だからそれまでずっとカリスマ的に扱われていた権力者が消えると国民の誰しもがトップの座に座る人に対して納得しなくなって戦乱が起きるのではないかと。
故に強大な権力の後の権力はさらなる権力で国民を押さえつける必要がある。だって下手したらここまで代々築き上げた権力者一族が根絶やしにされてしまう可能性が高いから。その上、権力者の側近たちが裏切って行く場合だってある。

さらに歴史で言えば中学の歴史でも出てきただろうと思うけど日本の南北朝時代って源氏という強大な幕府が滅んで国内が動乱になっていったわけじゃないですか。
世界を見ても同じでフランスのルイ王朝が革命で崩壊してその後はロベスピエールらによる恐怖政治を敷いたけど、結局、混乱が大きくなってしまって革命を推進した本人たちが死刑になったり、やっぱり革命後、民衆をどうやって権力に従属させるかが重要になってくる。

まぁそんなんで今のジャニーズってそう言った強権力者亡き後という混乱の真っ只中なのだろうと思う。

最近のニュースでV6が解散するというショッキングな情報があった。
多分、ウルトラマンティガ世代の大きいお友達にとってもV6というグループは結構特別な存在だろう。いうても近年は年一回ぐらいのシングル発表ぐらいであまりグループとしての活動は聞かれなかった。

しかしそれにしてもジャニーズの社長ジャニーが死んでから人気グループの解散の情報がよく飛び込んでくる。

90年代、00年代のアイドル界を席巻した嵐にTOKIOにSMAP。

いくつかは理由は考えられると思いますよ。
まず、ジャニーズ所属アイドルの高齢化問題や事務所のパンドラの箱を開けたら思いの外借金だらけだったとか。それに年上の部下はめんどくさいとか色々あるんじゃないかと思う。

確かに上記の活動が終わるグループなんてもう平均年齢が40代だ。そんなもんドームツアーで踊って歌ってなんてスケジュールは死に直結するし、40代というのは確実に後の残りの人生を考えてしまう。だからアイドルという契りから解放が執拗になってくるんじゃないかな。

そうなるとジャニーズには所属アイドルの若返りが必要になってくるわけ。しかしこれが混迷の始まりなんですよ。
もうポストジャニーズの戦いの火蓋は切られているのである。

まず、昨年のDish//がバンド系アイドルとしてブレイクしたのはジャニーズにとっては想定外だったと思う。
というよりもYoutubeというメディアを過小評価しすぎた。

バンド系ジャニーズといえば関ジャニだ。しかし彼らには代表曲がない。ちょっとやってもらいたいんですけど、関ジャニを頭の中で連想してください。じゃあどうですか?村上信五が出てきませんか?その次にマツコデラックスなんて。
要は音楽よりも先にバラエティがすぐによぎるっていう話。
だから彼らって実際問題、音楽面はかなり弱い。だけどバンド系アイドルだったTOKIOはもう活動ができない。
そんな中でのDish//のブレイクだからこそ衝撃は強いだろうと思う。

衝撃は強かったけど彼らのヒットは『猫』以降はないだろうと思う。まず、その代表曲が他人の曲だからだ。
多分、音楽活動という枠の中での自我というものがないのだろうと思う。事務所がバンドを組めと言われたから組んだ。ただそれだけにしか見えない。
おそらくだけど、男性ファン率は極端に少ないと思う。男版MIWAと思ってもいい。そのぐらいDish//って好きになれない。

上記のDishはスターダストプロモーション所属だ。ももいろクローバーとか恵比寿中学など女性アイドルグループが強いって印象のある事務所である。これが今後、男性アイドル界でもかなり動きそうだからその動向は注視した方がいい。

なにせももクロって限りなく地下や大きいお友達のイメージが強かったけどその地下なパフォーマンスがお茶の間に持ってきた手腕がある。
そこにはオールドウェーブからニューウェーブに流れを持ってくる巧みな戦略がある。
要はアンチオールドウェーブを口コミで取り込んで行く戦略。
アイドルは好きな方だけどAKBは嫌いみたいな人たちや売れてから興味が薄くなった層を芸能人よりも文化人を使って誘導していったのがうまいなぁって思いました。

しかし昨今の現状、女性アイドルという業界は縮小されて行く。それはもうこのころの女性アイドル戦国時代のスターたちがもはやアイドルっていう年齢ではなくなってきた上に、女性アイドルがグロウルボイスで歌う時代になってしまってもうこれ以上の音楽的革新がなくなったところもあるだろう。
だからスターダストプロモーションが男性アイドルに力を入れ始めるのは必然であって、アイドルの男性部門って意外とまだまだ音楽的には開拓されていない。
しかもジャニーズの組織力が下がっている昨今ならなおのことだろう。

その上で考えるなら超特急というグループなんかは完全に雰囲気はポストジャニーズだ。多分、この人たちがジャニーズですと言われても「あぁそうか」ってなる。

戦乱に参加しているのはスターダストプロモーションだけじゃない。

LAPONEエンタテインメントっていう吉本興業が提携しているK-pop系アイドルも徐々に強くなっている気がする。
K-popファンの強さってSNSでごりっごりに拡散させたり、FMラジオでごりっごりにリクエストして行くところにある。
「周りから嫌われても好きなグループが拡散されるなら」ていうホストに貢ぐようなメンタルの屈強さは本当にすごいなと思うばかりであります。

あとはフォーチュンエンターテイメントのBOYS AND MENや声優ラップユニットのヒプシスノマイクも忘れてはいけない。

まぁ色々と考えていってみたけどやっぱりどれも僕個人としてそれは男としてこの業界は好きにはなれない。
結局何でしょうか?今のところどれもジャニーズの模倣でしかないんですよ。Dishにしてもそうだけど彼らはTOKIOだし、その他にしてもキラキラしたポップソングを歌わせて嵐とかの線をトレースしているにしか過ぎないと思うんですよね。
これからその音楽面が開拓されて行くのかもしれないですけど。

だから僕が思うにWACKこそ男性アイドル業界に殴り込みをかけたらメチャクチャ面白いんじゃないかと。
それで作詞作曲に9mm parabellum bulletとかマキシマム ザ ホルモンとかを起用したら面白いんじゃないかと。
なぜBishが女性から支持を得られたか?それはアイドルという括りの中でハードサウンドとハードな世界観を作り上げたからなんですよ。
結局、音楽に興奮するのは甘ったるいポップスじゃないんですよ。

じゃあ今、男性アイドルの戦乱の中、同性から支持を得られるグループがいるかと思うとそれはない。同性の場合は顔じゃなく世界観とか音楽にあるわけだから。
だから今後はそうやってジャニーズが描き切った線のトレースからいかに自由絵画に持っていくがこの業界の課題だろうと思う。

だけどハードな世界感ってそれはもうネオヴィジュアル系バンドがやってね?って思うけど、WACKならやれると思います。

あと余談ですがこれからのジャニーズの方向性での予測だけど、お笑い芸人が現れるんじゃないかなって思う。それは今の体当たりなバラエティに出てくるジャニーズタレントをみると何と無くそう感じる。ひょっとしたらM-1は無理でもR-1ぐらいには出てくるのではないかなと。もしくはジャニーズ新喜劇とか。それはそれですごく面白いと思いますけどね。

今日はこの辺で。

それでは。

田渕竜也のTwitter

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