30代バンドマンという絶望感の壁。そしてそれを乗り越えるには。
「なんでそんなこと続けてんの?」
20代中盤ぐらいなら押し寄せてくる将来への不安に追われながらも、まだどこかその先に光が見えてくるようなそんな微かだけど希望が少ないながらもある。ほんの僅かだけど。だけどその僅かながらでも希望がまだ微かに見える分マシである。
20代が終わり次の30代というステージはどんな舞台が待っているか。
それは希望の光が僅かどころかもう何も見えない完全な真っ暗闇。そう、何も見えないのである。もう夢とか希望とかの火は消沈し暗く閉ざされてしまっている。
そんな光が全く見えなくなってしまっては「なんでそんなこと続けてるの?」と聞かれても曖昧な返答しかできない。
自分でもなぜやっているのか、すでに惰性になってしまっているのかもはやこの「続ける」という行動自体の意味が分からなくなる。
そう、30代って全ての面において手遅れなのだ。
だってスポーツ選手で言えばそろそろ引退がチラついてくる頃。中田英寿なんて29歳で引退ですよ。
他にも芸人でいえばネタの披露よりもひな壇トークにシフトしていく頃だろうか。
そもそもでいえば30を超えてからのチャレンジはきつい。覚えも悪くなるし、自分よりひとまわりも下のカルチャーも鬱陶しくなってくる。そうなってしまえば「今」という時代の波に乗れないただの人間なのだ。
もう少し突っ込んで言えば。
30代って仕事の波も乗ってきて、家族ができて、ローンを組んでファミリーカーや家でも買ってしまう頃だろうか。ある意味では自分の人生が終わって他者のために生きる新しいステージになる。
ただ、「他者のため」って一見、不幸せに聞こるけど、実は他人のために生きるっていうことが一番、幸せに感じるらしい。まぁある意味自己洗脳に近い形なのだろうけど。
だからこそ日本国民にとってはこの30代という期間が一番楽しいらしいですよ。
子供という毎日変化のある生き物がいる上、会社の部下やその他友人関係。
おそらく花火で言えば一番シュワーってなっている時だろうと思う。
しかしである。
自分の人生を追いかけて30代になった夢に取り憑かれた絶望の末人たち。
場末のライブハウスや音楽スタジオ、そしてSNSなんかにもそんな人はいる。
どこかまだ「自分は特別だ」なんてべルタースオリジナルの爺さんのようだけど気がつけば「若いなー」から「おっさん」と呼ばれるようになってしまって。増えるのは人気ではなくシワとシミ、そして抜け毛。どんどんと老いぼれていく。
そんで気になる女性にDMを送れば速攻でブロックされ、そろそろリツイートですらブロックされてしまうそんな頃だろうか。
しかし悲観することはない。いくら老いぼれていったとしても勝てる方法はあると思います。端的に言えば君たちは戦い方を間違えている。戦い方を間違えているからどんな努力をしようとも負ける。それはボクサーが相撲ルールで相撲をするようなものだ。だから勝てる方法はある。
それに30代で夢を追ってもそこに希望はなくとも不幸ではないはずだ。
例えば幸せそうな同級生の家族を見たとして、そこに何も僻むこともない。あの家族の幸せはそれを維持するために「自分の人生」というものを代償にしているのにすぎないのだ。
だから順風満帆に見える家族でもそこにいる個人も結局のところ幸せとは限らないのである。
そんなわけで今回は角に詰められた王将状態の詰み詰み30代バンドマンたちへの脱絶望をご紹介していきたい。
ここではアマチュアもしくはインディーズのことをさします。それではよろしくお願いします。
まず、30代バンドマンには大体3種類に分けられる。
1.ワイワイガチャガチャ軽音楽部タイプ
いろんなバンドの楽曲をコピーして演奏を楽しむ人たちのこと。
よくいるハードロック親父バンドや歌うことが好きとか言ってカバーしか投稿しない人たちなんかはこのタイプに属する。
一見人畜無害のように見えるけど、バンドメンバーにこのタイプが入っていると、バンドをもっと人気にして上にしたいと思っている人たちとぶつかりやすい。
その理由としてはこのタイプの人は演奏することに喜びを見出しているからだ。バンドマンというより演奏家が近いかもしれない。
だから下手に人気を獲得しようと広告をつけたり、少し体力の使うバンドスケジュールを組むと途端にバンドが崩壊していくケースが後を立たない。
それにこの人たちはオリジナル楽曲の概念がないのでだいたいどこからかパクってきたようなフレーズが多い。
あと、なぜか服装がだいたいダサいのが共通している。
要はオリジナルバンドの一員としてはかなりの害悪思考の持ち主ということ。
その場合、すぐさまに息の根を止めて差し上げた方が両者のためなので早い目にその兆候を感じておきましょう。
ヤバイキーワードとしては「歌うことが好き」とか「もっと練習しないと」とか表現の鍛錬よりも自己鍛錬でしか考えられないことを言い出す奴は結構危険。
じゃないと最悪の場合、「バンド活動」ということに反発ばかりされて、スタジオで演奏するだけのバンドになってしまう。
30代というのはもう時間がありません。考えようによっては明日死ぬかもしれないぐらいの意識で動かないと本当にすぐに次には40代となってそして死んでしまいます。だから貴重な人生の時間を無駄に使ってしまうのももったいない。
とにかくこの人たちって意外と一番邪魔な人たち。
30代バンドマンはしっかりとこのタイプは切り捨てておこう。
2.社会人とバンドマンハイブリッド型
会社で得た知識をバンドに持ち込んでやっている意識高い人たちのこと。
まぁこれが一番全うというかしっかりしている。
これからのマネタイズやそれに伴うスケジューリングなど管理をうまくしようとしているというのが特徴的だ。
デメリットとしてはバンドという野良猫のような奴らを集めているから「管理」されているという意識を持たれてしまうと反発を招いてしまう可能性がある。だからしっかりと「全てはバンドのため」という共通意識は必ず作っておこう。
それから、あまり衝突を起こさない傾向も強い。
何よりも社会人ですからね。なんか下手な喧嘩で殴って警察沙汰とかなったら困るし、バンドパフォーマンスもあまり尖ったことをすると社会人として失格なので緩い感じにはなりやすい。
ただ、バンド活動資金にはあまり困らなくなりやすいのでやっぱりこれのタイプが一番堅実的なのは確かである。
3.絶望的バンドマン
問題はこのタイプだ。なんとなく大学でバンドを始めて、なんとなくライブとバイトの日々の中でハット気がついたらもう三十路。
とにかく30代を超えたバンドマンは危険だ。
だってよく考えてくださいよ。彼らから楽器を手放させたらただのフリーター、ニート、こどおじですよ。将棋でいえば端に寄せられた王将ですよ。
しかし30代からのバンドマンっていろんな人生における分岐点でもあると思うんですよ。
このまま続けるにしてもやめるにしても。
年を経ると曲に説得力がなくなるわけですよ。
そりゃそうだ。こんな人たちが夢だとか希望、愛なんて歌われても全く説得力がないし誰も救えない。むしろ「お前が頑張れや」なんて僕ならツッコむ。
それに年齢には老化という付随物があって、例えばめちゃくおじいになってしまうと本当に曲に説得力がなくなる。
じゃあ30代は音楽で夢を追うなっていうのか?と思う皆さん。うん、確かにやめたほうがいい。せめて社会人バンドマンの枠には入ったほうがいい。多分、推定で99.8%は誰にも認知されずに40代を迎え絶望が本気を出してくる。
やっぱり救いはないのか。神は見放したのか。
しかし逆に考えると0.2%である。少なくともこのくらいの僅かではあるけど可能性は残っているかもしれない。
結論から言いますといっそのこと「ギャグ」に振り切ってしまいましょう。そうですピエロになってしまうのです。
ここから一発逆転するチャンスはもうこの一択でしょう。
おそらく三十路のあなたはいま、十代終盤から二十代中盤あたりをボリューム層に考えていますでしょうか?
多分、バンドを始めた時からボリューム層の年齢が変わっていない。
これがかなりの勘違い。
あなたはもうすでに30代です。そうですおじさんなんですよ。
そんなおじさんの説教や考え方を共鳴されるでしょうか?しわくちゃのおっさんの恋愛の曲とかそれはもはやセクハラの領域。
そんなおっさんがDMやコメント欄に投稿してきたらソッコーでブロックされるのも当たり前のことだ。
結局自分の年齢に見合ったボリューム層で考えないといけないんですよ。
これは侮蔑でもばかにしているのでもなく現実問題の話。
だからこそ、ここでピエロとなって笑いの方向へ持っていくことをお勧めできるのです。
ピエロとなれば外見がどうなろうが笑いになればそれでいいのである。演奏や作曲に才能なんかなくったっていい。なんだったら本当に白塗りになってしまってもいい。30代の必死さと白塗りはたくさんの人たちが笑ってくれるでしょう。
そうです。全ては「笑い」につながればいいのです。
例えばニューロティカなんかは割とその成功例に挙げられるだろうし、ギャグがかえって感動を生み出した怒髪天もその一例だろうと思う。
もっと言えば海パン一丁でやるのもいいと思います。
とにかく必死さで同年代を笑かしにかかる。同年代なら笑かせるポイントはなんとなく肌感覚でわかるだろうから。
これすらできないならせめて定職についたほうがいい。
今回の話をまとめると30代という舞台は若者のフィールドでは勝てない。
それはさっきから何度も言っている通りおっさんに進化してしまっているからだ。だから曲を楽曲としてリスナーは聞けない。ここで肝心なのは勝てるフィールドはどこかを探ること。少なくとも30代という土俵しっかりと熟知すること。これが意外とできていないアマチュアミュージシャンが多い。確かに自分がおっさんであることを受け入れるのは結構キツイことだから。
しかしこれが30代バンドマンに送る絶望回避方法だ。まぁこれが上手くいくかは保証はないですけどね。
ともあれ絶望の渦中にいる30代バンドマンたちに幸あれ。
それでは。