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名も無きバンドは人気者を入れろ論

文:田渕竜也

この前、メタクソ久しぶりにライブハウスへ行った。その行き先道中に思うのはやっぱりそこへ行くのがめちゃくちゃに邪魔臭くなってくるということである。まるでそっちへ行きたくない柴犬の如く、まるで綱で引っ張られる思いである。
これってなんというかこういった何かその日にイベントがあるときって決まって昨日までは「行こう」って多少なりともワクワクみたいなのはあるけど、その当日になると急激に「もうやめたろかな」とか「邪魔くさ」って心境になってしまう。
こういった昨日の自分とは全く異なるこむら返りというか180°回転してしまうって若干の鬱めいたそんなのに罹ってしまうことってあるじゃないですか?
旅行とか、久々に会う友人なんかでもそんな症状があるんだけど、それにしてもライブハウスへ行くことだけは特段にその気持ちは大きいような気がする。

なぜなのか?

その邪魔くささの理由としては不特定多数の知らない人たちに囲まれること、ただただ流れる時間そして財布から消えていくお金なんだろうなと思う。短く言えば財産が消えて行く喪失感ていうかそんなの。
なんだってこんなわけのわからん連中に囲まれて酒を飲まにゃならんのだ。そもそも観客よりも対バンメンバーのほうが多いじゃねーか。盛り上がってるのステージのお前らだけじゃねーか。

それにしてもやっぱり邪魔くさいものは邪魔くさい。もう邪魔くさい何度言わせるんだというぐらい邪魔くさいのだ。
そう、ただtだ邪魔くさい。そこへいくのが。そこで過ごす時間が。

名も無きミュージシャンを見る。

こんなのなおのこと邪魔くさいはずだ。だって普通、メジャーアーティストのアルバムでも2500円ぐらいですよ。安くても1500円ぐらい。それと同等の金額を名も無き人たちに支払うわけですよ。いわば財産をドブ溝に投げ捨てるのと同じ。
この空間に存在している生きている限りある時間をそこで浪費しているわけである。ただただ辛い。それにどうやってこの妙なノリに合わせればいいんだ?そんなわけで僕は今だにライブというものを楽しめたことがないような気がする。まぁ好きなバンドなら行けばめちゃくちゃに楽しんだけど。ここでの話は知り合いのよしみで行ってしまったライブのことです。
おそらく「音楽イエーい」みたいな脳みそまっさらなやつらでも大半がこんなかんじなのではないだろうか?いや、ほぼ100%に近いかと思う。

そもそも名も無きバンドというものはライブハウスでライブをしないといけないのか?これが今回のお題です。

だって、何回もライブをやってもそこのライブハウスの関係者には説教をされ、その上、出演料金を払って、また次のスケジュールを抑えてもらって、そしてその後もまるで無限回廊のようにずっとそれが続く。
はっきり言ってこれではバンドというよりは都合のいい拝金者であって、これを続けたって未来はない。これはもはやデスロードである。

いわばこの無限回廊っていうのはバンド活動という「夢」や「自己満足」を依存状態にさせているだけにしかないのだ。
しかしこれはライブハウスにとっては大事な生命線であり、資金源であり、ここの源が途絶えればその先は破綻しかない。
そう、このライブハウスのステージというのは発表の場ではあるけど、「夢」という甘い蜜を塗りたくっている食虫植物でもあるのである。

だから、最近のライブハウスって登場するバンドってパッとしないじゃないですか。
だってブッキングが素人以下のバンド出すかいつもと同じ行き遅れたオヤジバンドとかそんなのばっかだし。だから余計にライブハウスシーンは沈んでいっているように思う。だって音楽文化に対してこれでは真新しさがないから。
そう考えれば歌い手の市場が大きくなっているのは頷ける。だっていいバンドを紹介してくれないんですよ。ライブハウスの関係者たち自体が。しかもいいバンドたちはみんな下北に行ってしまうし。これではバンドの一極集中ドーナツ化現象である。

だからこんな観客が対バン相手しかいないようなライブってやっても無駄なんじゃないかなって思うんですよ。
だってお客がいないわけだから。ライブっていうのは興行であって観客がいないとその場は成り立たないわけで、考えてみれば掛け算でゼロに対して何を掛けてもゼロなわけじゃないですか。だからそんなことに何か爪痕を残そうとしてもゼロなのはゼロな訳です。まぁこれにはバンド側ももっと集客を頑張れよとも思いますがね。じゃないと行った俺がばかみたいじゃないですか。

だったら、なぜ名前も上がっていないようなバンドがライブをしたがるのか?これに対して答えるなら「知名度を上げるため」「腕試し」「ステージを楽しみたい」「夢」「自己満足」こんなもんだろう。だけどさっきも言った通り、そんな努力値に対してゼロを掛けたところでなんの意味もない。それはただの「ステージに立てた」っていう自己満足のみである。

ここまでが無名がどんなに頑張ったところで意味がないということを説明してきた。それじゃあライブハウスに依存しない方法はあるのか?救済方法はあるのか?

まずそもそもで言えばなんでライブしても無名なのか、その根本的なところをつっこまないといけないんだけど、その答えとしてまず人気者がバンドをやっていないからだと思うんですよ。
多分、人気ない奴ら集まっているからいくらライブをやっても意味がない。そんで「じゃあ次はスタジオライブ配信だ」ってやったところでおそらく誰も見向きもしないし、人気の曲をカバーしても同じこと。それは先天的に人を惹きつけないそいつら個人の問題である。これでは抽象論だけどやっぱり人気のあるやつははじめから人気があるし、人が集まってくる。

だからここでの打開策はまずはなんでもいいから人気者をメンバーに引き入れることだろうと思う。
思い起こせば昔のバンドってそんな感じだったと思う。XjapanにしろDead endにしても当時の関東や関西で人気があったバンドメンバーたちで構成されていたわけだし。なのでまずは人気ある人たちを集めて行くことが重要だろうと思う。
どうやって人気ある人を引き入れるんだと思われるかと思いますが、それはバンドマンが頑張ってください。
ひとついい例を挙げるなら電気グルーブのピエール瀧とHappy mondaysのベス。この二人は別に楽曲に貢献しているわけでも、楽器が弾けるわけでもないけど、ただそこにいるだけで人が集まってくる。だから人気があるやつと言っても何も音楽ができなくてもいいってわけです。

なので今回の結論としましてはまずは名も無いバンドはまず、冷酷な話にはなりますがメンバーの構成を考え直したほうがいいかもしれません。それがライブハウスのスケジュール埋めの役割から脱却する方法の一つだろうし、その上、ライブハウス依存からの脱却にもなるどうかと

今回は以上です。

それでは。

田渕竜也のTwitter

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