第一回 ブックオフ280円CDレビュー

文:田渕竜也

 どうも第一回ブックオフ280円コーナーCDレビューです。
ここでは毎回、私がブックオフへ足を運び、280円コーナーにある超重量級の名盤から一発屋、クソ盤までをジャンル問わず、レビューしていきます。
 記念すべき第一回目は大江千里の『redmonkey yellowfish』(89年発売)。大江千里というと私の世代で言うとポンキッキーズの『夏の決心』の天然フリーザボイスの人という印象が強いが、全盛期はこれより以前の80年代の人である。その全盛期に発売された『redmonkey yellowfish』は現在では廃盤となっている。
 89年というと日本は空前のバブル景気でこの前年にJ-WAVEが「J-POP」という言葉を掲げ、この言葉が定着していった頃であり、楽曲には当時の売れっ子だったアレンジャーの清水信之のサウンドが全曲において聞くことができる。中でもTrack3の『魚になりたい』は特に清水信之の色が強く、ファズの効いたギターのコードとブラスのイントロに16ビートのハネのリズムで彼特有のウキウキサウンドになっており、まさにバブルな楽曲になっている。
Track10の『ラジオが呼んでいる』ではまるでウェストコーストのAORサウンド全開の洋楽を意識した楽曲になっている。
 全体的に清水信之特有のエレピ、シンセ、弾むブラスに弾むリズムを取り入れたサウンドで構成されており、その後の90年代の次世代の広瀬香美や槇原敬之によって模倣、踏襲されていくJ-popのアレンジフォーマットの一つとして、このアルバムは存在感自体は薄いものの、J-POP史においては重要な作品なのである。

バブル

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