余計なお世話と言わざるを得ない『ジョブチューン』
あなたは『ジョブチューン』というTV番組を御覧になったことはあるだろうか?TBSで放送されている番組で、現在はコンビニやファミレスなどの商品を一流シェフと呼ばれる人が合格か不合格かを判定するという企画を軸としている。
私が初めてこの企画を観た時の感想は「なんじゃこりゃ?」である。どう考えても誰も得をしない、クソみたいな企画としか言えないのである。理由はいくつかあるので、ひとつずつ語っていこう。
○余計なお世話である
「判定される商品はまだ広く認知されていない新商品もあるが、ほとんどはその企業を代表するような人気商品、看板商品である。つまり世間からはすでに評価された商品なのである。それを一流シェフだかなんだか知らない人に評価をやり直させるのに一体何の意味があるのかという話だ。これから売り出そうとしている新商品、企業が自信を持って送り出したものの売り上げが不振だった商品に対して、一流シェフの目線からアドバイスをもらうなら理解できるが、率直に言って“余計なお世話”でしかない。」
○権威的な気持ち悪さを感じる
「最近はかなりマイルドになってはいるが、一流シェフと呼ばれる審査員たちは、いくら世間から評価されている商品であろうと、時に辛辣な評価を下す。これが友人同士の会話であれば、好みの違いは人それぞれだよねで済むのだが、一流シェフが言うと意味合いが変わる。「大衆はこんなものを有り難がって食べているのかwww」とは言わなくとも、見下しや嘲笑として受け取ってしまう危険性を孕んでいる。逆に合格を貰ったとしても、強者の余裕みたいなものを感じて、小馬鹿にされているような気分を味わうこともある。そもそも大衆向けのチェーン店と高級店ではまるで土俵が違う。どちらが上でどちらが下などないのに、ミシュランの星などの権威を使って審査を行うのはそもそもおかしな話である。」
○好きなモノを否定された時の嫌悪感
「多くの人は食べ物に限らず、自分の好きなモノを否定されると嫌悪感を抱く。特に外食なんて思い出と結び付いたりするものなので、思い入れのあるメニューを否定されたりなんかすると、不愉快極まりないことであろう。そんな人の気持ちを慮ることもできない制作者サイドのサイコパス性に嫌悪感を抱かざるを得ない。」
○全く得しない一流シェフ
「この番組は基本的に審査するシェフたちにヘイトが集中することはご理解いただけただろう。TVというメディアは腐っても、まだまだ影響力は強い。自身やお店を広く知ってもらい、スターを気取りたいかどうかは知らないが、宣伝になるからといって、安易に出演するのは危険である。実際、酷い目に遭ったシェフもいるらしい。はっきり言って、出演するシェフに全く得はない。」
○一流シェフの評価に涙する開発者
「合格にしろ不合格にしろ、シェフの評価に涙する商品開発者たちの映像が流れると何とも言えない気分になる。彼ら彼女らは我々のような一般大衆が素晴らしいと言っても涙するのだろうか?本来のターゲットは我々である。仮にシェフが満場一致で合格を出した新商品の売り上げが伸び悩み、思ったような結果が得られなかったとしよう。商品開発者たちは味の分からない大衆、使えない広報部や現場の従業員などと他人のせいにしないのだろうか?などと邪推してしまう。私だけかもしれないが、シェフの評価に一喜一憂する姿は権威に飲まれているように映ってしまう。」
○企業側にも得がない
「番組が放送されると、合格した商品はもちろん、不合格となった商品にも興味を持ってもらい、売り上げ向上に繋がる。良い宣伝となり、企業側には得しかない。そう思われる方もいると思うが、これははっきり言って炎上商法と何ら変わらない。例えば、シェフが満場一致で合格を出した商品をどれだけ美味しいのかと試しに食べてみたが、それほどでもないと感じた場合、どれだけTV局にお金を積んだんだ?などと考えてしまうこともあるわけだ。特にTBSの番組にCMを打っている企業なんて疑われやすい。刹那的に売り上げは伸びても企業のイメージを毀損することに繋がる危険性も大きい。」
以上のような感じで、TV局、シェフ、出演企業の三者ともに悪いイメージを与えかねない『ジョブチューン』のこの企画は破綻していると言わざるを得ない。人気企画なのか知らないが、とっとと畳んだ方が良いぞと提言しておく。必ずまた何かやらかすぞ。