SD戦国伝の祖、武者頑駄無に熱くなれ!

文:なかむら ひろし

 皆さんは、BB戦士をご存知でしょうか?ガンダムといえば、元々リアルタイプのロボットなのですが、1980年代後半ぐらいから様々なキャラクターが2頭身や3頭身にデフォルメされるSD(スーパー・デフォルメ)ブームが起こりました。SDガンダムは、SDブームの先駆者的な存在です。2頭身のかわいいヴィジュアル、ギャグ要素を大きく含んだ内容は、小さい子供に馴染みやすく、当時の子供たちは夢中になったものです。恐らく私と同年代の方は、SDガンダムからガンダムシリーズに入ったという方も多いと思います。
 そんなSDガンダムのプラモデルシリーズがBB戦士です。BB戦士という名前は、BB弾を発射するギミックに由来します。ただ、このギミックを備えているのは最初期のキットのみで、後はミサイルなどBB弾以外のものを発射するギミックに変更されました。
 また、同時期に同じバンダイから『元祖SDガンダム』という組み立て式の玩具が販売されていたのですが、こちらはBB戦士と比べてプラモデルというよりも玩具色が強いものでした。BB戦士とは異なるキャラクターが多数キット化されるなど、住み分けがなされていました。BB戦士の主力となったのがSD戦国伝シリーズで、今回紹介する「ムシャガンダム」がその第1弾です。

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 武者ガンダムは、元々コミックボンボンで連載されていた『プラモ狂四郎』という漫画で主人公がガンダムMk-IIを元に作った戦国時代のような甲冑姿をしたガンダムのプラモデルで、SDではないリアルタイプのモビルスーツでした。そのリアルタイプの武者ガンダムがSD化され、BB戦士でも発売されたのですが、この時はまだSDガンダムのバリエーションのひとつでしかなく、SD戦国伝として正式にシリーズ化され、ストーリーが作られるのはムシャZガンダムからとなります。

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 兜や肩当てを外した軽装タイプは、SDでのオリジナルです。以降のシリーズのフォーマットがこの時点で完成しています。パッケージには多数の軽装タイプの武者ガンダムのイラストが描かれていますが、最初は足軽というイメージだったのでしょうか。
 右手の銃は、「タネガシマライフル」という名前が付けられています。スプリングでミサイルが発射できるギミックは、BB戦士ではおなじみです。最近のキットは、安全性を重視して、このようなギミックは廃止されてしまいましたが。実は口の部分(「へ」の字の部分)を押すと、兜が飛び出るギミックがあるのですが、これは引き継がれることはありませんでした。正直、無意味ですし、コスト面を考えてもボツで当然でしょう。

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 兜や武器は、付属の台座に飾ることができます。後に発売される仲間たちには動物や支援メカが付属し、それらに鎧を装着するという形になるので、武者ガンダムだけパートナーがいないという状況になるため、武者ガンダムは「乗り物酔いがひどい」という後付設定がなされました。

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 余ったランナーでお手軽「のぼり」を作ってあげるのは定番です。本当に適当に作ったので、後でもう少しちゃんとしたものを作ることにしましょう。

 1988年に発売された古いキットということもあり、成型色が赤と薄いグレーの2色だけで、塗装しないと「何じゃこりゃ!」という出来になってしまいますが、部分塗装だけでも十分見られるようになります。リアルタイプや最近のスタイリッシュなBB戦士だと塗装に気を使いますが、古いSDだと気楽でいいですよ。全部筆塗り、はみ出しなんて気にしないという作品ですが、私は満足しております。あと、個人的には愛嬌があっていいと思うのですが、「この間抜け面が気に入らない!」という方は、シールをスキャナで取り込んで瞳を修正し、市販のシールに印刷すると、お手軽にプチ整形できます。

 今後もこんな感じで少しずつ昔のBB戦士を紹介しようと思っています。塗装よりも写真の技術が酷いのは勘弁してください。
 古いキットもちょこちょこ再販されたりしているので、気になった方は近所の模型店、なければamazonなんかで探してみると比較的安価で購入できると思います。一部のレアものを除いては。

なかむら ひろしのTwitter

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